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あしたの小窓から。

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小窓のむこうに、ちいさな「あした」が見える。 ここでは音楽、教育、投資、霊性などについて、考えたり感じたりしたことをつれづれに綴っています。
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人の気象。

人の気象。

人の内側には、天気があるのだと思っている。
からっと晴れた人もいれば、ジメジメした人もいる。風通しのいい人もいれば、蒸し暑い人もいる。そんなふうに。

そして、会って話をするとき、人は互いの気象を共にしているのだと思う。相手の内側で吹く風が、僕の中でも吹き、僕に降る雨は相手の内界も濡らす。

こんなことを思うようになったのは、奥さんと暮らし始めてからだ。
うちにいると、奥さんの気象の影響を感じる。

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親切にされるということ。

親切にされるということ。

このところ、人から親切にされることが続いている。
とてもうれしいと同時に、親切にされるというのは「一歩踏み込まれること」なのだと気がついた。

思ってもみなかった一言をかけられたり、祝福されたり、贈り物をもらったり。そういうとき、親切な人たちは、僕のとっていた距離よりも近くに来て、僕を驚かせる。

びっくりした後、うれしい気持ちがじわ〜っと出てくる。

人と人は、安心して生きていくために距離をとる

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ともに生きながら、違う夢を見る。

ともに生きながら、違う夢を見る。

「同床異夢」という四字熟語がある。

意味は、

同じ寝床に寝ても、それぞれ違った夢を見ること。転じて、同じ立場にありながら、考え方や目的とするものが違うことのたとえ。
(三省堂 新明解四字熟語辞典)

僕はこの言葉を、結婚生活において強く実感することになった。

まったく同じ場面に出くわしても、感じることが違う。解釈が違う。意味づけが違う。そんなの当たり前と思われるかもしれないが、実際に違うと気

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空振りしたバットにボールがかする音。

空振りしたバットにボールがかする音。

うちの夫婦は、結婚して五年目になる。
僕は勤め人ではないので、結婚することで奥さんという他人を四六時中そばで見守ることになった。こんなに長きにわたり、それも毎日、ある人の人生経験を間近で見られることってまずない。少なくとも僕にとっては、はじめてのことだった。

この稀有な体験を通して気づいたことは、とても多い。そのうちの一つが、奥さん自身は「無駄だった」という過去の行動について、僕は「意味があった

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傷のありか。

傷のありか。

奥さんとけんかになる時、「自分が自分でないみたいだ」と感じることがある。

感情に駆られて我を忘れているという側面もあるだろうが、どちらかというと奥さんに関わる何者かを演じさせられている感じがする。そうして奥さんの過去にあった、強く心に残っている出来事を再演するのだ。

再現の中で、僕は奥さんのお母さんになる。あるいは、かつての上司になる。時には奥さんが別の人で、僕が奥さんの役になることもある。

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華々しい一日。(ある誕生日の記録)

華々しい一日。(ある誕生日の記録)

今日は僕の誕生日だった。今年の誕生日はなんだか華々しい一日になった。

朝はそんな気配はなかった。普段通り早朝起きて、スーパーで野菜や冷凍食品の品出しをして。

ところが、そっからがすごかった。
まず、家に帰ったら、奥さんがプレゼントにと『鬼滅の刃』全巻セットをくれた。

(厳密には18巻が抜けているけど、今後補充される予定)

これは自分でリクエストしたのだけれど、なんだか数年ごしに本当に欲しい

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うちの奥さん。

うちの奥さん。

うちの奥さんは、僕にとって一番身近で観察できる、面白い生き物だ。

たとえば、うちの奥さんは、時々ものすごく大きな声でひとりごとを言う。今日、洗濯をするときには「いらないね、いらないね」と言っていた。「えっ?」と反応するとハッ!として恥ずかしそうにする。だったら言わなきゃいいのに、油断するとまたひとりごとを言っている。いったい誰としゃべっているのかと何度か尋ねたけれど、教えてくれない。

僕はひと

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案外、本だった。

案外、本だった。

昨日は快晴。僕たち夫婦は仕事がお休みだった。
雨降りが続いた後の好天で、どこかに出かけたい気分だったけれど、世は外出自粛。平日の真っ昼間にどこにも行くなという話ではなかったと思うが、なんとなく気が引けるし、行きたい場所も思いつかなかった。

スマホは見続けると疲れてしまうし、漫画は読み尽くした。YouTube は退屈だし、うちにはテレビもないし、ということで昼寝をしたらなにもすることがなくなって、

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あなたとわたしが好きな味。

あなたとわたしが好きな味。

毎朝、毎晩、おなじ食卓でいっしょにごはんを食べる。
夫婦でいて、いいなと思うことの一つはこれだ。

うちは例えば、マックスバリュの黒糖バターロールが二人とも好きなのだけれど、考えてみれば、同じものを食べて「おいしいね」と言い合えるのって不思議なことだ。だって、こんなにもいろんなことの好みが違うのだから。

違うように生きて、違うように食べてきた人と人が同じものを食べて「おいしいね」という。あるもの

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宇宙人かもしれない。

宇宙人かもしれない。

「地球人のフリをするのをあきらめましょう」

とカード占いで言われたと奥さんが言っていて、なんだか納得してしまった。

なにしろ僕ら夫婦が歩む道のりは、本に書いてないことばかり。問題が起きて解決するときにも「そんなのきいてないよ!」というところに扉がひらいたりしているからだ。

それでも小中高大学と学校教育を受け、会社員経験もあるから、そこで学んだ「常識」は頭の中に残っている。それは暮らしをらくに

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陰険と温厚。

陰険と温厚。

今朝、奥さんがちょっとうっかりして忘れていたことがあった。忘れるだろうなと思っていた僕は、予想が当たって笑った。他愛のない日常の一コマだ。

でも、ふと思った。僕がもし陰険だったら、このうっかりを責めて凹ませることもできるんだな、と。そう思うと、僕たちの日々の生き心地というのは、いとも簡単に他者によって左右されてしまうものなのだと気づかされる。

もし僕が陰険な親の家の子どもだったら、恐らく他者の

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流星の騎士団。

流星の騎士団。

うちは僕が自営、奥さんが会社員なので、朝、出勤する奥さんを駅まで送り、晩に迎えにいく。

このルーチン、先週くらいまではなんてことなかったのだけれど、今週になって急に冷え込んだため、晩のお迎えがつらくなってきた。

おまけにここ数日、僕はやたらに眠く、迎えに行く直前までふとんに入っている。したがって、最も体温が上がった状態から寒空の下に出ていかなければならない。

そんな時、僕は自分のことを「流星

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くらげみたいに。

くらげみたいに。

おとといのオンラインライブで、なつかしい曲を披露した。

『海月』
作詞 澤 祐典 作曲 澤 祐典

海の底 とてもちいさな
ガラクタを 集めた王国は
いま 時の中で 波に揺られ 息をする

透明なボトルシップの
中にある 豪華な船みたい
ボクら 誰の目にも
触れられない 場所をみつけた

なんとなく 肩寄せ合って
たがいの手を 強くにぎって
生きてゆこう

時には キゲンの悪い日もあるでしょう

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タブーに触れる。

タブーに触れる。

タブー【taboo】
〔ポリネシア語で、明確にしるしをつける意〕
① 聖・俗、浄・不浄、正常・異常を区別し、両者の接近・接触を回避・禁止し、それを犯した場合には超自然的制裁がくだるとする観念・慣習の総称。特定の人間(王・死者・妊産婦など)、事物(動植物・鉱物・食物など)、状態(出産・月経・成人・死など)、行為(戦闘・狩猟・近親相姦・食事・言葉など)、日時、方角などをめぐるものなどがある。禁忌。

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