海月

くらげみたいに。

おとといのオンラインライブで、なつかしい曲を披露した。

『海月』
作詞 澤 祐典 作曲 澤 祐典

海の底 とてもちいさな
ガラクタを 集めた王国は
いま 時の中で 波に揺られ 息をする

透明なボトルシップの
中にある 豪華な船みたい
ボクら 誰の目にも
触れられない 場所をみつけた

なんとなく 肩寄せ合って
たがいの手を 強くにぎって
生きてゆこう

時には キゲンの悪い日もあるでしょう
ココロの嵐が 吹く日もあるでしょう

それでもさ ボクたちは寄り添って
生きてゆくんだ
ああ!くらげみたいに

時々は きかせてくれないか
貝がらで つくったオルゴール
君の手のひらで ふるえながら
歌をうたっている

近づいては はなれて逃げて
波のように 寄せて返して
愛しあおう

不吉な魚に おびやかされても
巻きつくサンゴの 毒にしびれても

透明な からだを光らせて
笑い合うんだ
ああ!くらげみたいに

心配なんか しなくてもいい
ぼんやりふわっと 泳いでりゃいい
きっと平気だから
波が過ぎ去ったあとに きこえるメロディー

あまりに冷たい しぶきに泣く日も
西の海流に もてあそばれる日も

ぷかりぷかり
揺らめいて やりすごして
生き抜くんだ
ああ!くらげみたいに

泳いで 泳いで この海を
浮かんで 浮かんで くらげみたいに
泳いで 泳いで この海を
光って 光って くらげみたいに

この歌は、15分お話をきいて曲をおつくりする『あなたのうた』がはじまる以前に、オリジナル曲としてつくっていたものだ。

当時は結婚したてで、その後に起こるあんなことやこんなことは想像すらしていなかった。

「心配なんか しなくてもいい
 ぼんやりふわっと 泳いでりゃいい」とか

「ぷかりぷかり 揺らめいて 
 やりすごして 生き抜くんだ」とか

いま読むと、当時の僕の願望だとわかるし「そうはならなかったな」と思える。

そう、現実の僕たち夫婦は「ぼんやりふわっと」にはならなかった。

よく喧嘩をしたし、別居もした。
感情の起伏や次々に起こる出来事を「揺らめいてやりすごす」ことはできず、全部にぶち当たった。

その火花が散るような衝突から、新たに価値のあるものが生まれた。
くらげどころか、鍛冶屋が刀を打つような夫婦生活だった。

でも、それでよかったと心から思う。
その火花の中から生まれたものは、人生において得難いものばかりだったから。

そして、いま思うに、くらげにだって毒はあるんですよね。
人を痺れさせるような強い毒性が。

時には キゲンの悪い日もあるでしょう
ココロの嵐が 吹く日もあるでしょう

それでもさ ボクたちは寄り添って
生きてゆくんだ
ああ!くらげみたいに

振り返ってみて、この部分だけはノンフィクションだったなと思う。

そして、これからもたぶん、そんなふうにして生きていくのだと思う。

そう、くらげみたいに。

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