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あしたの小窓から。

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小窓のむこうに、ちいさな「あした」が見える。 ここでは音楽、教育、投資、霊性などについて、考えたり感じたりしたことをつれづれに綴っています。
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2020年12月の記事一覧

気の抜けた仕事。気の入った仕事。

気の抜けた仕事。気の入った仕事。

午前中、つまらない展覧会に行った。
尊敬している作家さんが出展すると聞いていたので楽しみにしていたのだけれど、彼の作品はただ置かれているだけだった。なんの文脈も、解説も、リスペクトもなく、ただ置かれていた。とてもさびしそう。悔しいと思った。

たくさんの作品が飾られていたけれど、見れば見るほど、視界がぼんやりして眠たくなった。自分が誰だか分からなくなった。「芸術ってつまらない」と思わせるような空気

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見えない仕事。

見えない仕事。

今日、ひとつの仕事が終わった。
外から見たら地味な仕事に映ると思う。

しかし、この仕事には複数の、わりと大切な目的があった。
たった一つの出来事が、こんなにたくさんのきっかけになる、というような。

それゆえか、地味な仕事なのに大いに揺れた。
途中でつぶされそうにもなった。妥協しそうにもなった。
ほんと大変だった。

でも、そのおかげで、会はとてもいいかたちで終われた。
複数の目的はすべてかなっ

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M1、なんで泣けたのか。

M1、なんで泣けたのか。

もうおとといのことだ。
2020年の『M1グランプリ』をやっていたのは。

去年もすごかったけど、今年もすごかった。

最後の審査は見事に割れた。
二本面白いのは、マヂカルラブリー、一本目が面白かったのは、おいでやすこが、漫才らしいしゃべくり芸なのは、見取り図という感じに。

でも、そんなこととは別に、僕はM1を観ながらウルウルしっぱなしだった。はじめはオープニングのところで、その後は敗者復活のイ

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「いい」はよくない。

「いい」はよくない。

いい人。いい親。いい子。
どれも目指すと、後々生きづらくなるものばかりだと気づくのは、いつ頃からだろう。

いい人もいい親もいい子も他者を息苦しくさせる。
なぜかそうなってしまうのは「いい」になることが目的化して、他人も自分の中の正直な気持ちも切り離しているからではなかろうか。実は誰ともつながっていないのに「いい」のせいでつながったように見えてしまいもする。

「いい」は「いい」からこそ、それ以上

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郷に入っては郷に従え(そして牙を剥け)。

郷に入っては郷に従え(そして牙を剥け)。

新しい土地に入るときは、その土地の風俗なり習慣に合わせよ。
それが「郷に行っては郷に従え」ということわざの意味だ。

処世術としては絶対そう。
でも、それだけではアカンかもなあとこの頃思うようになった。

たとえば家族であれ職場であれ地域であれ、新しい人が入ってくるとき、必要なのは「双方向性」だと思う。新しい人がその場所に適応するのと同時に、その場所も新しい人に適応する。お互いが自らの思うところを

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わたしとは誰なのか。

わたしとは誰なのか。

最近知り合った方にドライブに連れて行ってもらった。
それはそれはゆかいなドライブで、かなりの長距離だったがずっと楽しかった。

カーステレオで、高田渡さんとアイオラさんの曲を聴かせてもらった。

どちらもはじめて聴く曲だったが、めちゃくちゃよかった。
二組は曲調も歌詞の感じもぜんぜん違うのに、どちらも心身に染みる感じがした。

そしてふつふつと「自分の音楽ってなんだろう」という欲がかき立てられる感

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棒に当たる。

棒に当たる。

棒に当たるのは、犬が歩いているからなのだな、と思った。

なにか物事をするときに棒に当たる人と当たらない人がいる。
当たらない人の方がスマートに見えるけれど、当たらない人はもしかしたら、あらゆる物事から退いていて、なにもしていない人かもしれない。

かつて僕はそういう人だった。
何事に対しても、頭の中でくるくると考えて「こうすればいいじゃん」とかわして、実際に棒には当たらなかった。自分のことを「要

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背伸びの効用。

背伸びの効用。

今日は仕事が早く終わったので、早退して奥さんと博多駅に出かけた。

という経験があったため、都会に出てみようという試みだ。

結論からいうと、それはとてもうまくいった。
都会の中でも「シャレている」場所を選んでお茶したり、ウインドウショッピングをしたりして楽しんだ。田舎の旅館では消化不良だった奥さんもここでは嬉しそうに目を輝かせている。

ルイ・ヴィトン、エルメスといったハイブランドのお店にも立ち

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誰の声を聞くか。

誰の声を聞くか。

「他の人になんて言われるかわからないので」
「誰かから後から言われて、嫌な思いをするかもしれないので」

ある企画を進めていて、そんなことを方々から言われた。
え?と思って続きを聞くが、どうも話がぼんやりしていてよく分からない。

ぼんやりしているのは「他の人」や「誰か」と呼んでいる人の顔だ。
一体それが誰なのか、聞いていてイメージが湧かない。

不安なとき、人はそんなふうに存在しない存在を幽霊の

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大・拍・手。

大・拍・手。

今日、『鬼滅の刃』の最終23巻を読了した。

もうね、大拍手。
実際、読み終えて、その場に立ち上がり、部屋の中で拍手してしまった。
『ジャンプ』で最終回を読んでいた人は特に嬉しいんじゃないかな。

中身については、それ以上書くことはない。
つべこべ言うより読んでもらった方がいいと思うから。

その最終巻、今日、福岡市内の書店を4件まわって見つけた。
3件で「完売。次回入荷予定日未定」の貼り紙をみて

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暮れの予感。

暮れの予感。

今日『THE MANZAI』を観るためにテレビを点けたら突然、年末の空気になった。

今月が12月だということは、それまでも分かっていた。気温も寒くなってきたし、年末年始に実家に帰るかなんて話もしていた。

でも、まだ年末ではなかったのだ。
それがテレビを点けた途端にワッとやってきた。

体がリラックスして、テレビから流れてくる漫才につられたりして、なんだか空気がやわらいでいる。

仕事のことがど

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トンビが鷹を産む。

トンビが鷹を産む。

おととい、名古屋の母からラインでメッセージが送られてきた。

そこには、12歳になるめいの動画があった。
以前こんな記事を書いためいである。

動画の中で、めいはチアリーディングをしていた。
キレッキレだった。ダンスが得意な人が踊った時のキレッキレである。
開脚しながら飛んだり、片足だけで何回転も回ったり、知らないうちにめいはアスリートになっていた。

東山動物園の上り坂を手をつないで、おぼつかな

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いる場所を間違えた感。

いる場所を間違えた感。

自分はかなり偏った人間だと思う。
だから時々、人との間に摩擦が起こる。摩擦といってもケンカするわけではない。自分のことを懸命に話すけれど、理解してもらえず、正確に理解してもらいたくて、さらに言葉を重ねて、それでも埒があかず、だんだん疲弊していくのだ(もしかすると理解してもらえているのを勘違いしているだけかもしれないが)。

そういうことが起こると、決まって「いる場所を間違えたなあ」と思う。
そして

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