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カフェオレ広場を読んで(その3)
今回でカフェオレ広場season3の感想はラストです。
前回は木葉揺さんの『街の灯』まで書きました。
それではさっそく前回同様敬称略でいってみよー
こんな夜にかぎって 星野灯
「ほかほか」「つらつら」「なみなみ」「せらせら」各オノマトペに語り手の感情の起伏を感じた。
真夜中で他の店は「全て閉店時間」で「こんな夜に限って ハンバーガー」。故人を思うと「こんな夜」なのだが、「こんな夜」だから「ハ
カフェオレ広場season3を読んで(その2)
前回は角朋美さんの『龍の通り道』まで感想を書きました。
さて、続きです。
さっそく今回も敬称略でいってみよー
紫 能美政通
「餡子餡子餡子餡子の連呼」を思わず連呼したくなる。意味で捉えようとするのやめた。音で楽しむ作品だと思う。言葉遊びが面白いのは言わずもがなだが、一番面白いのはタイトル。これだけ餡子と連呼して「紫」とつけるセンスに脱帽。もう餡子とかどうでもよくなってその色のみが残った感じがし
カフェオレ広場season3を読んで(その1)
カフェオレ広場season3を尾崎ちょこれーとさんから御恵送していただきました。
忙しい忙しいとなかなか感想に着手出来ていませんでしたが、やっと書き始めました。
今回は「食」がテーマということで、美味しそうな詩がたくさん読めます。
では、敬称略でいってみましょー。
「傘はもういらない」長尾早苗
祖母との思い出を描いた作品。
「(そういえばおかき揚げを最近食べていない)」という気づきがこの詩を
歌舞伎町文学賞一次通過作品『歌舞伎町では歌えない』
それは夏。きみは私が見えなくなるまで見送った。と思う。私はただの中学生だけど、アコギ一本でどこへまで行けるか試したかった。できれば、歌舞伎町まで行ってみたかった。
「本当に行くんだな?」
先生と二人きりの体育館。私は『血反吐を吐く』という文字列を意味もなく浮かべていた。体操着からほつれた糸がてろてろと飛び出しているのを見つける。体育シューズの靴紐が縦結びだと気がつく。
「そこまでして探すものなの
ミシシッピアカミミガメを川に逃がす
めりりきりりくるるっぱ
とんで
アグリッパアグリッピナ
ひくことの
自由
を
お
まえに
あ、たえる
みしし
っぴ
あかみ
みがめ
を
川に逃がす
そんで
もって
カワニナにする!
川に何する!
とどのつまり、北米原産の外来種である。しかし、彼らが縁もゆかりも無い北米の地に思いを馳せるのはハリウッド映画を観るときだけだ。なぜなら、彼らはいつもカーチェイスをしているし、壮大な陰謀が渦巻いているし
帰り道の詩学 佐々木蒼馬詩集『きみと猫と、クラムチャウダー』を読んで
佐々木蒼馬さんの詩は帰り道だ。それもどこへ帰るのか定まった帰り道ではない帰り道だ。かつて確かにそこにいたと思えるけれど、そこがどこははっきりと言葉に託せない場所。そんな場所を求めて佐々木さんの詩は歩み続ける。
詩集『きみと猫と、クラムチャウダー』はたどり着かない帰り道、その先で待っているであろう「きみと猫」、いつまでも帰途であり続ける詩人の確固たる歩みの記録である。
雨がふりはじめたのはちょうど