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カフェオレ広場season3を読んで(その2)

前回は角朋美さんの『龍の通り道』まで感想を書きました。
さて、続きです。
さっそく今回も敬称略でいってみよー

紫 能美政通

「餡子餡子餡子餡子の連呼」を思わず連呼したくなる。意味で捉えようとするのやめた。音で楽しむ作品だと思う。言葉遊びが面白いのは言わずもがなだが、一番面白いのはタイトル。これだけ餡子と連呼して「紫」とつけるセンスに脱帽。もう餡子とかどうでもよくなってその色のみが残った感じがしてまさしく「紫雲に乗って虚空へと消え」たのだろう。

むらさき

全文ひらがなで書かれた本作が、この詩誌で一番難しい作品に思えた。
ただ、紫色のイメージがダイレクトに伝わってくる。ひらがなだから漢字と違って意味を自由に想像できる。それがこの詩の難しさであり、
読み味になっている。

豚の教室 でおひでお

文章を書くって何にでもなれてしまうから楽しい。この作品では人間、蛙、豚になれる。
それぞれの立場から「食べる」ことについての考えが述べられる。
食べることは命をいただくこととよく言われるけれど、この作品は他者の視点で物事を見る、考えることの必要性を説教臭くない語り口で教えてくれる。しかし、それにしても最終連の何と悲哀に満ちたことか。


猫博士よろず相談所

お馴染みの猫博士シリーズ。最後猫博士がねずみさんを食べちゃわないか心配になったけど、猫博士はそんな無粋なことしない。でも、ドラ猫に耳を齧られたねずみさんが気の毒でならない。


エビじゃん 木葉揺

「食べようとしたらエビがとぶ」って言うから生きているエビかと思いきや、まさかの茹でエビ。茹でエビとのユーモラスなやりとりが読んでいて楽しかった。食べるのではなく「おうちを作ってあげなきゃね」と言ってしまうところに木葉節を感じる。


街の灯

何気なく立ち寄ったいい雰囲気の店って記憶に残るけど、「あれはいつどこで行った店だっけ?」となることがある。「朝になると街の灯が消えて」「わからなくなる」けれど、「探さない」
散歩者の哲学を感じる終わり方だ。

今回はここまで
また続きは次回のお楽しみ!
またねー

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