愛ならば知っている
ジグザグで今にもちぎれてしまいそうだ。そんな私でも愛ならば知っている。昨夜、父親が首を吊った。死ななくてよかった。と思った。感情ってやつはどうしていつもちぐはぐなんだろう。始発電車だからか車両には私一人だった。
深夜、母からの着信で父のことを知った。電話越しの母は嫌に冷静だった。母は普段から声の平熱は低い。もともと声を荒らげたりする人じゃなかった。そんな母がより冷たい声で言った。
「お父さんが自殺未遂したから早く帰っておいで。」
「うん、わかった。」とこたえる私の声も低体温に