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冬の一滴

シナプスが、
コンプレックスに、
脈打つ朝は、
遠巻きに見てたあの子を、
台無しにしたくなる。

海が近い街で、
海を見ずに過ごす日々。
人ばかり見ている一人。
ぼくを見る人はいない。

澱んだ川には、
鴎が群がり、
ぼくの影を一層際立たせる。

石ころを転がした先に、
些細な仲違いや蟠りの、
あたたかい色はない。

イロニーと虚無、
重ね着と前借り、
青空と静脈、
虎落笛と耳あて
すけて、
みえて、
すけて、
みせて、

きれいな放物線を描いて、
あの子は彼方へ飛んでいった。
付け焼き刃の
ぼくは少し、
鼻がむずがゆくなった。

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