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月と私とゆれるカーテン

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月が満ち欠けするように、ゆらいで詩と自然と生きる日々を綴ります。
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2021年6月の記事一覧

【読書記録日記】栞の代わりに 6月20日~6月26日

【読書記録日記】栞の代わりに 6月20日~6月26日

はじめにこんにちは。長尾です。今週は低気圧続きで調子が狂いましたね。初日の日曜日は新たな刺激をインカレメンバーから受けつつの週になりました。気圧の変化に気を付けて毎日を過ごそうと思います。

6月20日

・大島静流『飛石の上』インカレポエトリ叢書Ⅳ 七月堂わたしの恩師、吉田文憲先生が去年の『現代詩手帖年鑑』に「今年の収穫」として載せていた一冊。圧倒的な語彙と緊張感が、一冊を通して全般的に貫いてい

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【読書記録日記】栞の代わりに 6月13日~6月19日

【読書記録日記】栞の代わりに 6月13日~6月19日

はじめにこんにちは。長尾です。新しく始めてみた読書日記、みなさんいかがでしょうか。ちょっと先週は読みすぎたかなあと思うので、ペースダウンしていきます。今週はわたしの手違いで途方に暮れる日からスタートです。無理しないで行こうと思います。

6月13日

野村喜和夫『幸福な物質』瀬尾育生『モルシュ』が手違いでバスと電車を乗り継いでいくところの図書館に搬送されてしまいました。地域のセンターから帰ってきた

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【エッセイ】坂道をたどる足跡

【エッセイ】坂道をたどる足跡

 わたしは坂道と共に生きてきました。物心ついた時から歩くのが好きで、坂しかない街に小さな頃引っ越してきて、そこで結婚するまで暮らしていました。

 駐車しにくい坂の半ばの家。そこでわたしの「ななめになってかしぐ」という感性が磨かれていったのだと思います。今の暮らしを営んでいる場所には、実家のような坂はあまりないので、近所を散歩していて坂を見つけるとうれしくなります。

 夫も実は実家がご近所という

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ポエトリーリーディング――詩のスタイルについて

ポエトリーリーディング――詩のスタイルについて

こんにちは。長尾です。

今日はポエトリーリーディングのことについてお話ししようと思います。

現代詩の発生と朗読以前詩の授業で教わったのですが、現代の詩はアメリカのラップがもとになっているところが多いようです。あと、歌詞とかね。(ボブ・ディランもそうですよね)

韻を踏むことは英語の詩に多く見られますし、リズムの発生なんかも「歌」「ミュージック」として広く広がるのはわかります。

朗読には詩人そ

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詩人の一日について ライフスタイルから見えてくるもの

詩人の一日について ライフスタイルから見えてくるもの

こんにちは。長尾です。

詩人の一日。想像したこと、みなさんあるでしょうか?

なかなか、小説家の一日は検索すると出てくるんですけど、詩人は特殊なのかなあ。

わたしはフリーランスで主婦とイラストレーター(副業)を兼業しているため、普段の職業欄には「主婦」と書いています。

……が、実際の所生活に最も大きな時間を割いているのは執筆です。

今日はわたしのライフスタイル(ちょっと特殊ですが……)をご

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そのとき、わたしに何かが降ってきた――詩想について思うこと

こんにちは。長尾です。

今回は詩創作の上で非常に重要になってくる「詩想」について、わたしが思うことをお話しします。

詩想とは?わたし自身、詩想ということばを知らなくてですね……。大学時代に恩師の城戸朱理先生の数年前のブログを読んで知りました。

ある種の詩を書くときの「インスピレーション」とか「ひらめき」に似たことばです。

ただ、人それぞれ違いますが、原体験と結びついた詩を書く初期衝動のなに

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【読書記録日記】栞の代わりに 6月6日~6月12日

【読書記録日記】栞の代わりに 6月6日~6月12日

ごあいさつこんにちは、長尾早苗です。今週から、読書記録日記をまとめてつけていくことにしました。ぜひ皆様に知ってほしい、読んでほしい……と思いつつも、あまりにも読む量が多すぎて、一日一回の更新では間に合わないとわかり、一念発起いたしました。お付き合いいただければ幸いです。

6月6日 日曜日

朝吹亮二『アンドレ・ブルトンの詩的世界』を予約。海外の詩の世界を少しでも垣間見たい。他3冊回送中。

6月

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詩の仲間が集まって――合評することで見えてきたもろもろ

詩の仲間が集まって――合評することで見えてきたもろもろ

こんにちは。長尾です。

わたしの所属する詩誌、ハルハトラムを運営している「現代詩の会」(主宰は北爪満喜さん)と、個人的に関わらせていただいている『て わたしブックス』発行人の山口勲さんと共催してきた詩の合評を重ねていくにつれ、見えてきたことを今回書こうと思います。

合評すること・詩人が集うこと本来、詩人は孤独です。

孤独に詩を部屋で、あるいはワーキングスペースで書き進めていくには多大な孤独の

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原田マハ『たゆたえども沈まず』を読んで

原田マハ『たゆたえども沈まず』を読んで

有名になった一冊なので知っている方も多いと思いますが、ゴッホとその弟のテオ、日本人画商の二人の四人の関係の物語です。

ゴッホとテオも画商をしており、二人の絆はとても深いものがありました。

ゴッホは神経質というか、少し風変わりなところがあって、絵こそすべて、という所があるように思います。

オランダ、アルル、そして日本の浮世絵への憧憬。

国境を超えてなお、ことばではないコミュニケーションで相手

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【エッセイ】些細なことでどうしようもなく落ち込んで、つらい日でも、書き続けること

【エッセイ】些細なことでどうしようもなく落ち込んで、つらい日でも、書き続けること

こんばんは。長尾です。

些細なことで、ずーん、と落ち込む時があります。疲れもあるでしょうし、私自身PMSをよくしよう、穏やかに日々過ごそう、とがんばってきて、がんばりすぎて、のものもあります。もちろん、PMSが少しは良くなってきたとはいえ、落ち込むことだってまだ全部解決、というわけにはいきません。

時々、私は物事の大まかな部分をつかみ取れてはいても、細かな部分まで覚えていないこともあります。そ

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『光源体としての西脇順三郎』を読んで

『光源体としての西脇順三郎』を読んで

最近、詩集や批評集を書籍、あるいは電子書籍で読む機会が多かったのですが、私にとって知識はいい意味で刺激的。

今回、西脇順三郎に対する様々な学者の方や詩人の方の論考を読んで、私の批評や詩作にも役立てたいと考えて読みました。

ディオニュソスとスサノヲを西脇順三郎と折口信夫になぞらえた論考が一番しっくりきたし、刺激的でした。

ディオニュソスは酒と酩酊と知識の神。そして、スサノヲは破壊とうたの神。

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檻之汰鷲『漂流夫婦、空き家暮らしで野生に帰る。』を読んで

檻之汰鷲『漂流夫婦、空き家暮らしで野生に帰る。』を読んで

芸術家夫婦。うーんなんだかわかる気がする。

私も小説を書く夫と(今は)自然豊かな郊外で家で文章を書くという生活に慣れているけれど、もう本とパソコンと筆記用具とスマホがあればどこでも書けるので、もし落ち着いたらまた引っ越してしまうかもしれない。

それだけ、自由です。

檻之汰鷲さんは石渡のりお・ちふみさん夫婦のペンネーム。いいなあ、と思います。結構サバイバルな暮らしでどきどきするけれど。

私も

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野村喜和夫『スペクタクル――そして最後の三分間』を読んで

野村喜和夫『スペクタクル――そして最後の三分間』を読んで

圧倒、されました。

読め! 書け! というような気負いを感じるほど、ことばがほとばしっている。

ナンセンスなところと音が楽しい所は、先日ご紹介した詩集と同じなのですが、対になっているぶん、こちらではある種の狂気と冷静のはざまを意識している感覚がありました。

野村さんが折に触れていっているのは「ウォーカーズ・ハイ」と呼ばれるもの。確かに、稼働しながら詩を作っていくとこういうものになるのかも……

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野村喜和夫『スペクタクル――あるいは生という小さな毬』を読んで

野村喜和夫『スペクタクル――あるいは生という小さな毬』を読んで

すごく刺激的な詩集でした!

視覚的であるにもかかわらず、リズムが面白くて、意味が分からなくても口に出して声にしてみると面白くて、舌が喜んでしまう。

詩を読むということはその人のリズムに触れるということなんだな、と体感的に思いました。

フォントを大きくしたり小さくしたり、幾層にも話者のレイヤーが重なっていて、重層的な読みができたり、改行するところを意図的に変えていたり……

意味など分からなく

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