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【読書記録日記】栞の代わりに 6月13日~6月19日

はじめに

こんにちは。長尾です。新しく始めてみた読書日記、みなさんいかがでしょうか。ちょっと先週は読みすぎたかなあと思うので、ペースダウンしていきます。今週はわたしの手違いで途方に暮れる日からスタートです。無理しないで行こうと思います。

6月13日

野村喜和夫『幸福な物質』瀬尾育生『モルシュ』が手違いでバスと電車を乗り継いでいくところの図書館に搬送されてしまいました。地域のセンターから帰ってきた後電話をかけ、なんとか手続きをしてもらってありがたいです。予約するときはきちんと確認しよう。

・伊吹有喜『今はちょっと、ついてないだけ』光文社

バブル期に自然写真家として一世を風靡した写真家、立花浩樹。しかしブームが過ぎると彼は忘れ去られてしまい、仕事もカメラも何もかも失ってしまいます。そんな彼に訪れる小さな仕事から、着々とカメラマンとして歩みを進めていく。伊吹有喜の作品は、どこか前を向かせる力があると思いました。一章ごとに掌編でまとめられているけれど、自分もがんばろうとどこか思えます。

6月14日

地域のセンターに例の2冊が届きました。くどうれいん『うたうおばけ』を予約。

・ほしおさなえ『菓子屋横丁月光荘 丸窓』角川春樹事務所

ほしおさなえ先生。大恩人の先生で、わたしたち夫婦で先生の著書全巻を買いました。これは最新刊。家の声が聞こえる守人。修論に「家と地形」を題材に夏目漱石『硝子戸の中』を選び、ひとが食べて生きていくことについての記述が印象的でした。わたしが関わらせていただいている朗読サークル「すずの音」や朗読家、鈴木千秋先生がモデルの『活版印刷三日月堂』に出てくる朗読サークル「ちょうちょう」や黒田先生も出てきてうれしかったです。

6月15日

地域のセンター・移動図書館を巡る旅。今週は忙しいのもあり、なるべく移動図書館では借りないように、借りないように自分を制していました。

・野村喜和夫『幸福な物質』思潮社

幸福とは物質である、という印象的なことばが詩集全体を通して語られていました。野村さんがよくやっている「散歩」などにより、脳から出る快楽物質によってナンセンス詩を書いているのは面白い試みです。詩人は空白が好きです。空白があるからこそ、詩を書けるという境地にたどり着いているから。心は脳で、書くことは空白によってなる快楽だと実感しました。

・瀬尾育生『モルシュ』思潮社

かっこいい……詩全体に緊張感が続いていて、知的です。社会に対する呼びかけのような、呼応のような散文は少し小さな字体で書かれ、抒情的なものは少し大きな字体で書かれているところにメリハリがあっていいなと思いました。たくさん社会を「読んで」、たくさんの知識を得た人でないとこの詩は書けないと思いました。

6月16日

午後、工藤玲音『水中で口笛』・瀬尾まいこ『見えない誰かと』を予約しました。工藤さん(くどうさん)は着々と予約人数が増えていて、ちょっと待ちそう。でも楽しみ!

・東野圭吾『夢はトリノをかけめぐる』光文社

東野さんのエッセイって読んだことなかったなあと思います。彼自身エッセイを書くのは難しいと思っているそう。今回は飼い猫の「夢吉」が人間になって、一緒に冬季五輪のトリノへの旅やウインタースポーツにかける熱いファンの目を書いた小説風エッセイです。かなりユーモラスで、東野さんのまた別の側面を見た気がしました。

6月17日

晴耕雨読! 今日は仕事と体のメンテナンスに午前中を使い、集中して読みました。午後はリラックスしながらやっぱり仕事。執筆は疲れるけれど、椅子でできるヨガやソファでできる瞑想は至福です。

・長野まゆみ『チマチマ記』講談社

猫のチマキとチマキの弟のノリマキ。彼らの目線から、翻訳家の小巻(コマキ)さん一家のほんわかとしたあたたかな日常を「ごはん」という要素を入れながら書かれた一冊です。猫視点の小説って増えてきているように思うのですが、小巻さんの宝来家の毎日はとてもおいしそうなレシピの料理でいっぱい。お腹がすく一冊です。おいしいもの作ろう。

・青月社編『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』

おお! 2013年までのノーベル文学賞に近い作家たちを集めていますが、ボブ・ディラン、カズオ・イシグロなど、日本でも話題になった作家たちがずらり。ノーベル文学賞作品はさすが世界規模だと思うのですが、難解なもの・純文学的なものが多いと思います。それでもどこかひきつけてやまない魅力に圧倒されます。また読みたい本が増えました。

・森見登美彦『四畳半タイムマシンブルース』角川書店

京都の夏って、暑いんだろうなと思います。京都の大学生たちが壊れたクーラーのリモコンを取り戻すために昨日にタイムマシンで戻るという話なのですが、それが壮大なスケールとなって、まさかの125年の時を経てクーラーのリモコン騒動になってしまい、果ては宇宙滅亡まで考える羽目になってしまう。奇想天外なストーリーでしたが、モリミー節が出ていて笑えました。

・辻村深月『ネオカル日和』毎日新聞社

辻村さんが大切にしてきた「好き」を思う存分堪能できました。そして、今更だけど彼女がママになっても書き続けていることに、改めて勇気が出ます。わたしの「好き」を貫いて、それでも書くことをやめないこと。好きなものたちに囲まれること。そして、文筆家としての「女」の「オン」「オフ」の回には勉強させていただきました。わたしもこのエッセイを読んでがんばるぞ!

・ノヴァイオレット・ブラワヨ 谷崎由依訳『あたらしい名前』早川書房

ジンバブエで貧乏だけど楽しく過ごした日々を思い出しながら、少女ダーリンはアメリカで暮らします。全く持っていなかった性の知識、そしてアメリカの少女との出会い・ジンバブエでの政治のことと葛藤。少女そのものは作者の自伝的な存在であると思われますが、彼女が肌で感じていたものをきちんとまとめあげ、自分より15歳ほど下の少女を書くことに成功した小説だと思いました。

6月18日

今日からほんの少し紙媒体の本から離れて仕事。昨日詰め込んだ分を実際に作品に生かしたいと思います。エッセイを新作2本、推敲1本、発表2本。詩はちまちまと過去作(ストック分)を推敲。

6月19日

今日は近くに用事があって拙著『聖者の行進』の出版社の七月堂さんに寄って詩集を2冊買い、編集者の知念明子さんとお話できました。用事を済ませた後カフェと電車の中で読み、圧倒的な緊張感の2冊でした。来週の日記に書きます。お楽しみに!


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