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想いを込めて刺していく刺し子

青森まほろば歴史館

日本の伝統的な刺繍、「刺し子」。
布が貴重であったひと昔、布や衣服に刺し子を施す事で布の補強と保温効果になっていた。
藍色の布に白い木綿糸で施された刺し子は素朴ながらに美しく、ひと昔の庶民の暮らしから編み出されたものであった。

以前「青森まほろば歴史館」で青森の刺し子、「こぎん刺し」の展示を見たことがある。
ずら〜と並んだ藍色の野良着には、様々な模様の「こぎん刺し」が施されている。

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花や幾何学模様などのシンプルなデザインは、どこかで見た事があるような気がした。
北欧の刺繍、ネイティブアメリカンのクラフト、アイヌの刺繍デザインにもなんだか似ている。
自然と近い暮らしをしていた人々はきっと刺繍のデザインも身近な自然からアイディアをもらっていたのなかな〜。。。国や地域が違えど、何か共通する暮らしがある気がして幸せな気持ちになっていた。

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「この野良着の藍染もとても素敵な色だな〜。」
私の目にはとても粋でおしゃれなデニム地のジャケットとモンペパンツに見えた^^。
こぎん刺しは刺し子でも、一番太い木綿糸を使って刺繍が施される。
太い一本一本の木綿糸が刺繍されることにより生地に厚みが増し、生地を温かくそして丈夫にしてくれる。
これぞ、寒い東北人の知恵なのだ。すごいね〜☆
展示されている野良着はどれも良い具合の年季が入っている。
この羽織りを着ていたご主人はほつれや破れを奥さんに直してもらっていたのだろう。奥さんは器用にチクチクと刺し子で繕いながらこの羽織りは長く愛用されていたのだろうな。野良着の展示からそんなストーリーを妄想していた。
それと同時に、「ファーストファッション」がトレンドになるくらい必要以上に服が溢れている今の時代に、少し皮肉な想いも感じていた。。。。展示を見ながらもイロイロに想うのであった。
その後、弘前市内の雑貨屋さんで若いこぎん作家さんたちによって作られた現代のこぎん刺しの小物を見た。
どれも素敵で可愛らしく丁寧な手仕事の小物たちであった。

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高まる刺し子熱

そうして、刺し子熱はいよいよ高まり、私は刺し子を始めた。
初めての刺し子は簡単に出来るキットから。
まずは、縦にチクチク、
そして、横にチクチク、
お次は斜めにチクチク、

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この辺まで来ると、ぺらぺらだった生地に木綿糸の厚みと重みが増して来る。
チクチクを進めながら、
「確かに刺し子をすることで生地の補強や防寒になるのだなあという事がよく分かる。」

最後の斜めのラインを挿し始めると「花十字模様」がはっきりと現れてきた。
「あら可愛い^^!!」キュン!と心が鳴る。
チクチクと刺す度に増えていく花十字模様に、モチベーションも急に加速する。
「よし、もうひと息!」

チクチク。。。。
。。。。チクチク。。。。

チクチク。。。

出来た〜〜〜!

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完成した綿の生地には刺し子糸およそ80メートル分が通り、ひと回りギュッと縮まり厚みのある
「花十字柄のふきん」となった^^。

縁起を刺していく

刺し子の柄は、古典的なものからモダンなものと無限にある。朝顔、アジサイ、亀甲、笹、七宝、菊、柿の花、りんご、井戸枠、ニャンコ、葉っぱ、、、

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昔ながらの模様に特に惹かれる。
七宝や菊、亀甲は縁起が良く、カゴメは魔除け。
毘沙門亀甲柄は毘沙門天が着る甲冑にある模様。
長寿や繁栄の意味を持つ亀甲柄と財をもたらす毘沙門天が合わさって、毘沙門亀甲柄となる。

着物の柄もそうであるように、昔ながらの日本人の縁起をまとう風習は素敵だ。
無地の生地に、自分で下地を描き、模様を組み合わせた寄せ模様に挑戦してみる。

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縁起良い模様や魔除けの模様を刺していく。
ひと刺しひと刺しに私の想いも乗っかる。

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つぼみ、毘沙門亀甲、カゴメ、段つなぎの寄せ模様。
縁起の良い模様を集め、階段を登るように上昇していく、
名付けて:You're going up ^^

今度はまっさらな白地に寄せ模様を施す。
柿の花、銭亀、花刺し、つぼみの合わせ模様。 
作品名:Green

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プラクティカルに使えるような小物を作ってみよう。
クラッチ的なものを作ってみた。

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そして、きんちゃく作りにハマった。
第一号は、藍色のコットン地に霞亀甲(かすみきっこう)模様

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二号はコットンキャンバス地にブラックの花刺し、裏地はパイン

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この巾着たちを普段の買い物に行く際、お財布や携帯を入れて使っていた。う〜〜〜ん、サイズ感がいまいち納得いかない。
と言うわけで、きんちゃく第三号は少し大きめに、

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模様は、明るめの糸を何種類か組み合わせ、グラデーションに刺していった花刺し。
裏地も楽しく派手な感じのはぎれを使う。

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サイズ感も良い感じ。
普段用のお使いバッグとして活躍しそうだ。

いつの間にか外しごとのできない雨の日は、作りかけの刺し子をするのが雨の日アクティビティになっている。
まだまだあんな生地にこんな糸を使って挑戦したい模様はたくさんある。

縁起を刺す、魔除けを刺す、季節の柄を刺す。
想いを込めて刺していく刺し子は、大切な人たちへのプレゼントとしてもとても良い気がしている。

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