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【詩】

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2023年5月の記事一覧

クルリ

クルリ

脱ぎ捨てた殻を

また身に纏い

中から外に向けて

壁を叩いている

愛し合った記憶を胸に

あの人がいなくなっても

僕が消え去っても

残った心象は

君を癒す

だから

良い思い出を集めてもいいよ

いずれそれ以上の

溢れる感情が

君を待ってる

過ぎ去った時間が

それをさらに輝かせる

煌めく夜空の下

君は笑顔で

僕の宙の上をクルリと

回ってみせるんだ

リフレイン

住み慣れた町。背後では再開発。

翠の楓がそれを見下ろす。

息を吸う。樹々の香り。自然の匂い。

決められた土地の中で繰り返される営み。

2人の少年が僕を見ている。

まだあどけなく脆い思い出。

目をそらす俯いた僕。

踏み出す足の元には刈られた雑草が。

伸び始めた背と雑音にまみれた耳。

愛しい我が家。

住み慣れた町が今日も変わっていく。

そしてまた緩やかな登り坂を登る。

ホットミルクティーとティッシュ

風邪をひいた

鼻水と共に思い出が流れ出る

君と手を繋いで歩いた

寒さで頬が悴んだ

でも横には替えが効かない温もりが。

ポケットの中で繋いだ手を

ギュッと握り返す。

自販機で買ったホットミルクティーを

二人の手で温め続けたかった。

今は冷めたミルクティーをかき混ぜて

冷え切った心に流し込む。

鼻をかんで投げ捨てたティッシュは

放物線を描いて

ゴミ箱に吸い込まれた。

虹色の涙

虹色の涙

こだまするリピートに
眼を開いて

感じた胸の震えは
どこまでも続く
レールを走り出した

車窓から見える
虹色の街並みは
鮮やかに滲んで
涙と共に流れ落ちた

その流れは
川となり海へと返ってゆく

打ち寄せる波が
蒼き風となり
あなたへと帰ってゆく

生きていこう

死んで生きている
そんな日々を過ごし
今ここに生きている

「生きろ」
これは先哲たちの
メッセージ

どうせなら
君と僕で
活き活きと楽しく
時を過ごそう
生きていこう
そのための門戸は
開かれている

君が一歩一歩
踏み出すなら
その先に
仲間が絶対に
君を待ってる

今は見えないけど
独りかもしれないけど
君が歩く
その未来に
新たな景色が
生まれ変わったような
感覚が待ってる
仲間が待って

もっとみる

陽炎

沸々と
悶々とした蒸気を
頭から放つ中
初夏の風が吹き
さらにゆらゆらと
靡いている

ストレスを溜め込んで
イライラしながら
社会から吹く風に
さらにグツグツと
煮込んだ不満を
放つこともできず
その場に止まっている

そのエネルギーを
明日へ放て
未来へ向けて放て
推進力へ
顔を上げて
目線を上げて
蒼き青空へ
ロケットエンジンの
燃料へ変換して
自分を解き放て

収穫

どれだけ頑張ってきても
実った果実を
そう
あなただけの収穫を
しなければ
あなたの空腹は満たせない
そしてまた
誰かの空腹を満たすことも
できない

そのためには
少しくらい自分を出して
わがままになって
まず自分を満たす
少しでも満たされたなら
人にも優しくできるから

あなたが空腹で
収穫したものを
人に分け与え続けても
相手は満たされない
なぜなら
あなたが満たされていないから

青空に

もっとみる

花果実

花が成る

実を咲かせる

果物は空腹を満たす

才能が芽出る

あなたを愛でる

目出度いを愛でたい

祝いたい

新たな門出を

あなたと共に

無常は希望だ

生きるのは大変だ
変な型がついていると

型は文字通り固くなる
凝り固まって流れない
全てのものは流動的だ
それは生物も物質もである

原子は常に飛び回っている
じっと留まることはない

そして僕たちの身体・神経も
空気も気体も気持ちも心も
常に変化している
変化し続ける

無常は無気力ではない
無常は希望だ
いつだって
瞬間瞬間が変われるチャンスだ
良い方向へ
自分が望む方へ

描くという自由

イメージは無限だ

イメージは無料だ

イメージは希望だ

イメージに遠慮はいらない

誰にも邪魔されない

されてはいけない

君もイメージも自由なんだ

どこまでも果てしなく

広がっていく

流れを呼び込むのは継続である

軌道に乗るまでの苦労はあるだろうが
気が向かないってことは
今じゃないんだと思う

逃げるのと待つのは違う

無理なくやれることはやって
蛇足を付けないように待つ

臆病が臆病を膿むのが逃避

勇気の一歩は流れを呼び込む

その一歩こそが継続である

明日もまた継続するのである

ワンウェイ

人は最後は1人だ
その覚悟を持ったものが大人ということだろうか
書いて書ききってやる
それが自分にとっての幸せであり、経済であり、全てである。
後ろを振り向く暇があるなら書こう
未来への安心に向かって
窮屈からの解放のために

波動

荒野にただ1人
暮れなずむ地平線に叫んでいた
その声は何処にも届かず
ただ喉を枯らすだけだった
しかし空気の振動は
地球だけに止まらなかった
宇宙の果てまでこだましていた
それを森羅万象は逃さない
必ず誰かが
何かが聴いてくれている
だから今日も声を惜しまず
力一杯叫ぶ
僕はここにいる
今を生きていると