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エッセイ

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2019年10月の記事一覧

比べることなんかじゃないのに

比べることなんかじゃないのに

わたしの彼は27歳で、今年の春から社会人になった。それからと言うもの、彼の生活の中心は、わたしから仕事へと変わった。当たり前のことだけれど。

毎日終電まで仕事をし、仕事が早く終われば終電まで飲み会に行く。絵に描いたような、ブラックよりのサラリーマン。慣れない環境の変化に戸惑いながらも、彼は楽しそうに働いていた。

わたしはずっと寂しくて、とても心配だった。

以前は一日中していたLINEは、かえ

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英語の楽しさを、どうして誰も教えてくれなかったのだろう

英語の楽しさを、どうして誰も教えてくれなかったのだろう

「英語って楽しい!」

居酒屋で、隣の席にたまたま外国人が座った。イギリス人の彼らは、メニューがよくわからなかったらしく、わたしたちに英語で問いかけてくる。英語がわからないなりに説明をしようと必死になっていたら、いつのまにか一緒にお酒を飲んでいた。

そんな折、友人が楽しそうに、そう言って笑った。

思えばわたしは昔、「英語が楽しい」ということの意味がわからなかった。
そりゃ話せたほうがいいだろう

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帰りたくない夜がある

帰りたくない夜がある

家には帰りたくなくて、誰かに会いたくてたまらなくて。でもどこに行きたいのかも、誰に会いたいのかもわからないときがある。

そういう日は大抵、仕事が早く終わった日の夜で、なんとなく駅前のビルやアトレを覗いてみるのだけれど、だからと言って何かが満たされることはない。

目についたおしゃれなカフェでケーキを食べようが、どんなに胸が高鳴るワンピースに出会おうが、空っぽな夜は、それ以外の何物にもなりはしない

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ハンドルネームを使うのは、わたしが築いた世界をこの目でみたいから

ハンドルネームを使うのは、わたしが築いた世界をこの目でみたいから

「自分以外の何か」に憧れるような年齢はとうにすぎているし、そんな理由で今の名前を使っているわけじゃない。ただ、好きな名前を名乗っていれば、自分のやっていることにも自信を持てる気がしてる。

なつみ みどり。
どっちが名前ですか?なんて呼んだらいいですか?とよく聞かれるこの名前は、もちろんハンドルネームだ(半角スペースを入れるところがポイント)。

本名の苗字はあまり好きではないし、珍しいから少し目

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「頑張らない」という選択肢をなくす

「頑張らない」という選択肢をなくす

昨日からずっと、「頑張ること」とか「努力」について考えている。

頑張るとか努力に、明確な基準はなくて。それは、人によって違う。だからたとえわたしが頑張ってると思っていなくとも、側からみれば頑張ってるように見えることは、たくさんある。まあ、逆もしかりだけれど。

わたしは、自分で自分が頑張ってる、と言える状態は、頑張ってるうちには入らないような気がしている。実際、わたしがそうだからだ。

たとえば

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かっこいい彼女と、恥ずかしいわたし

かっこいい彼女と、恥ずかしいわたし

ただのOLを何年か続けていると、ふつふつと浮かんでくる、「手に職が欲しい」という思い。
以前までは実際に手に職を持って、たとえば資格職で働く人たちに向かってそれを簡単に言ってしまっていたけれど、今はそんな自分を心の底から恥ずかしく思う。

ネイリスト(の卵?)の友人の、ネイルの試験にモデルとして同行することになった。
彼女の夢を応援したい、そんな気持ちから引き受けて。試験が終わった今日、努力するこ

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恋にもならない、恋の話。

恋にもならない、恋の話。

たとえば、朝。いつものバス停で、いつものように本を読んで待っているあなたの姿を探したり。

あなたが書いた手書きのメモが読めなくて文句を言うことも、もうないのだと思ったり。

お昼にはいつもアイスを食べていたね。仕事中にハーゲンダッツを食べて一緒に怒られたこともあったね。

たまに外回りに行くと、海の見える場所に連れていってくれた。あなたも海が好きなこと、嬉しかった。

わたしが上司からのいじめで

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好きって、言わなきゃ伝わらない

好きって、言わなきゃ伝わらない

このまえnoteを開いたら、こんな画面が現れた。

「あれ、わたしってまだ350回しかスキしてないの?」というのが、正直な感想だった。

そのあとnoteのバッジが少し改善されて、「スキをした数」でバッジが貰えるようになった。一週間に3回、5回、10回・・・と言った形で、バッジがもらえるらしい。

一週間に3回スキをしたバッジをもらったときも、思った。

「わたしってこれしかスキしてないんだ」

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長女は頑張りやさんで責任感が強い、なんて言うけれど

長女は頑張りやさんで責任感が強い、なんて言うけれど

「長女は頑張りやさんで責任感が強いから、いつもなんでも黙ってやるけれど、本当はありがとうって言われたいんだよ」

昨日かな、たまたまテレビから聞こえた言葉。なんとなく聞き流してはいたけれど、今日の仕事中、それを思い返すシーンに遭遇した。

同じ仕事を、わたしと後輩がしていたときのこと。上司が後輩にだけ、「大丈夫?終わらなかったら言ってね。ありがとう」と言っていたのを聞いたとき、わたしはモヤモヤして

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世界を優しくしていくのは、わたしたち。

世界を優しくしていくのは、わたしたち。

犬も歩けば世界遺産に出会う、昼下がりのローマの街。あるトラットリアで、わたしはすっかり落ち込んでいた。

トリップアドバイザーで見つけた、おいしそうなトラットリア(気軽に入れるレストランみたいなもの)。ちょうどお腹がペコペコだったので、引き寄せられるようにお店に入った。

それがたぶん、30分ほど前の話。

わたしのテーブルの上には、最初からセッティングしてあったナイフとフォークがあるだけ。注文を

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自分の幸せなんて祈れないよ

今日、友人に誘われてマインドフルネス(瞑想)のワークショップに行った。

色々と考えさせられることが多くて、noteに書きたいことはたくさんできたのだけれど、今日はまず一番印象に残ったこと、呼吸瞑想について書きたい。

たぶん瞑想には色々なやり方があると思う。
今回わたしが教わったのは、こんな感じだ。

ゆっくりと目を閉じ、持てる意識のすべてを呼吸に集中させる。
しばらくして呼吸と心が整ったら、大

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ねえ、わたしはまだあなたの友だちですか?

ねえ、わたしはまだあなたの友だちですか?

セブ留学に行くことになった。SNSのキャンペーンがたまたま当たって、一ヶ月だけ。
先日、地元の友だちの結婚式があって、会った友だち何人かにもその報告をした。みんな、応援してくれた。

でもたった一人の友だちにだけ、留学の話をスルーされてしまった。

***

彼女とは保育園などの幼少期を一緒に過ごし、一度お互いの引越しなどで離ればなれになった。たまたま高校で再会し、意気投合。高校時代のほとんどの時

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