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恋にもならない、恋の話。

たとえば、朝。いつものバス停で、いつものように本を読んで待っているあなたの姿を探したり。

あなたが書いた手書きのメモが読めなくて文句を言うことも、もうないのだと思ったり。

お昼にはいつもアイスを食べていたね。仕事中にハーゲンダッツを食べて一緒に怒られたこともあったね。

たまに外回りに行くと、海の見える場所に連れていってくれた。あなたも海が好きなこと、嬉しかった。

わたしが上司からのいじめでボロボロになっていたとき、たった一人助けてくれた人。

あなたはいつも優しくて、でも口癖は「死ね」で。聡明で、頭が良くて、でも酒癖が悪くて、よくお酒で失敗しては謝ってきたね。

わたしが語学留学のことを一番に相談したのはあなただったし、応援してくれたのもあなただった。

最後にふたりで撮った写真、本当にいい笑顔なんだよ。



嵐が去って、秋がきたね。
でも決して、たったひとつの夏の話なんかじゃなかった。

恋とは違う。あなたは、大切な人だった。



世界はそれを愛と呼ぶんだぜ