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ふとーこーエッセイ【10】自分を認められないプライド

自分を認められないプライド

お粗末な学校の対応には、さすがに落胆した。

落ちた気持ちの幅と同じくらい
「もういかなくていい、学校なんか」
と、強く強く思った。

思ったけれど
思ったのに
もうそれでいい、とは
どうしても踏ん切りがつかなかった…


このまま学校に行かなければ、
受験に不利なことは明らかだ
勉強は、塾や家庭で補うことはできても
学校に行っていない事実を改ざんすることはできない

それに、受験で高校に行けないとなると
通信制?とかになるのだろうか?
今まで考えもしなかった、関心のない領域
息子が「そんな高校」に行くなんて…全くイメージできなかった。
ママ友、自分の親、義父母、親戚の顔が…次々と浮かぶ
恥ずかしい…カッコ悪い…

何より、今まで頑張って育ててきた労力との
バランスが全くとれなかった。

もう1つは
単純に、このまま不登校になるのが嫌だった

学校を休んでいた息子は
ほとんど時間を布団の中で過ごし
永遠とスマホで動画を見て時間を費やしていた。
決まった時間に起きなくてもいいから
夜通し視聴するようにもなり
昼まで起されなければ起きない日も増えていた

わたしは単純に
日中、1人の時間がないのも
何もしないで毎日をムダに過ごす息子を見るのも
不規則でだらしない息子を見るのも
イヤでイヤで、本当に心底イヤで、仕方がなかった
嫌悪感すらもつようになっていた。

完全に不登校になれば
そんな息子と、毎日まいにち、毎日まいにち
顔を突き合わせて過ごさなければならない。

息子から想像される未来を
わたしは、全く受け入れることができなかった。


※ ※ ※


数日して、学校から代替手段が2つ提示された。

1つは「別室登校」
学校には保健室とは別に、「心の相談室」という部屋があり
そこに通えば、出席日数にカウントされるという。

1つは「児童支援センター」
市内の大きな公民館に併設されている。
不登校の子が、校舎に通うことが難しい場合に
そこに通うことで、出席日数にカウントされるという。

「いいじゃん!」

出席日数にこだわっていたわたしは、
どちらも朗報に思えた。

さっそく息子にもそのメリットを説明し、
「支援センター」にいたっては、独断で予約をとって
嫌がる息子と2人で現地を見に行った。

しかし、息子はどちらのシステムにも
乗ってこなかった。

「相談室に通えるくらいなら、普通に通えてるし」
「あそこは(支援センターは)自分の居場所じゃない」
「出席日数のためだけ通うって、学校の意味ないよね?」

それが彼の答えだった。

「じゃぁ、受験はどうするの?」との問いかけに
「……」
答えは帰ってこなかった。

ハイ!手詰まり…3学期も不登校、決定!


その時わたしは、彼の中にプライドの高さを感じた。
息子は、いまの自分を、受け入れることができていない。
前の方を走っていたカッコいい自分、転がり落ちたカッコ悪い自分、
そのギャップの狭間にいるのだ。

現実的に考えれば、
母親や先生のすすめる代替手段に乗るのが正解なのだろう。
でも、それを受け入れることは
カッコ悪い自分を受け入れるということだから。


そんな息子のすがたは
そっくり自分と重なった…


わたしは、自分の感情を何とかコントロールしながら
24時間、息子と過ごすことになった。
先がどうなるかわからないというのは、ストレスが大きい。
普段はやらないところまで、妙に念入りに掃除したり、
DIYに打ち込んでみたりして、現実逃避していた。


3日で不登校になった3学期も、
担任は変わらず、週末に自宅を訪問してくれていた。
そんなある日、担任から保護者面談の申し入れがあった。

学年末に保護者全員を対象に行う面談。
最終学年を間近に控え、
成績だとか受験のシステムなんかを確認する目的だ。
不登校が長引いているわが家には、
他の保護者と顔をあわせないよう、別の日時が配慮された。

その日、伝えられたことは4点。
「クラス替え」は不登校を脱する絶好のチャンスだということ。
「仲のいい友達と一緒のクラス」になるよう配慮すること。
「内申は3年がメイン」、これから十分に取り返せるということ。
3年になってすぐ「修学旅行」があること。

そういえば、入学当初から給食費と同じ口座で
積み立てていたのを思い出した。


息子は相変わらず、糸が切れたように動画三昧だったが、
自由な毎日を過ごすうちに、明るさだけは取り戻していた。

あまりにも不健康になっていく生活を立て直すために
父親と旅行に行ったのも良かったのかもしれない。

父親と息子は男同士。
息子にとっては人生をイメージしやすい存在だ。
しかし30年も昔の体験が、ネット時代の息子の心に響いたかは怪しい。
自分の体験談をおりまぜながら、
「将来の選択肢を増やすために、勉強が必要なんだよ」
などと、超ありきたりなアドバイスをしたらしい(笑)


息子はとりあえず
3年生からまた学校に行くことを決めた。

学校からのアドバイス?父親からのアドバイス?
息子の中の自問自答?母親の現実逃避…?
そんなこんなが決意させたの?

若干14才の狭い視野では、周りの大人の意見を聞かずに
大きな決断をするほどの勇気も知見もない。

息子はこのタイミングでも「もういかない」
とは言わなかった。
言えなかった。

それならば、その方向でこちらも動くけど…
いいの?だいじょうぶ?





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