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ふとーこーエッセイ【12】頼む、救世主であれ!

頼む、救世主であれ!

「根本的な方向転換」…

頭は、自分の昔の記憶をたどっていた。

※ ※

10年以上前、わたしは転勤や子育てのストレスで、
軽い心身症を患った。

その時に受けた、数回のカウンセリングが
回復のキッカケとなった経験があったのだ。

そのときは動悸や頭痛、不眠に悩まされ、
やる気がなくなり、感情も消えた。
笑えなくなったのだ…

それまで、疲労は体に溜まるものと思っていたから
精神や脳も疲労すると知って驚いたのだけど。

最初は何科を受診すれば良いのかもわからなかった。
当時は、心療内科じたい少なかったし
心身症の認知度も低かったのだ。

ネットでなんとか「心療内科」にたどりついたものの、
薬には抵抗がなかったが、
カウンセリングなんて人生で初体験。
会話をして治療になるの?と思ってたし
1回 30分 3000円 のコスパへの疑問もあって
最初の予約まで、かなり時間がかかった。

カウンセリングは、週に1度を繰り返す。
早く治したいのだから、毎日やればいいのに、と思ったが
この「週1」が絶妙に良かった。

カウンセラーは、よくこちら話を聞き、メモをとる。
こちらの喜怒哀楽に、おだやかに共感してくれる。
そして、絶対にわたしを責めない。
しかも、よくがんばったと褒めてくれる。

しかし、「治る方法」は絶対に教えてくれない。

体調を崩して子育てができないなんて、
わたしはダメな母親だと
典型的に自分を責めていたから
共感も、責めないのも、褒められるのも、
全部うれしかった…。

話した内容は、次までの数日間に
脳内で何度も何度も反芻(はんすう)され、
回を重ねるごとに、気持ちが整理整頓されていく。

雑多に詰め込んだ、重たいリュックの中から、
一個一個「これはいるかな?」
「これはいらないかな?」と
いるものといらないものを取捨選択し、
本当に大事なものだけにする作業。

こんな物を後生大事に持ってたのかと笑えてくるような
不思議な感覚。
誰かに治してもらったというより
自然と答えが見つかるような感覚だった。

※ ※

息子もきっと
この作業が必要なんだ。


※ ※ ※


近隣の心療内科に
手当たりしだいに電話をかけるも、
未成年を診てくれる所はほとんどなかった。

必ず年齢を聞かれる。
14才です、というと、
難色を示す病院がほとんどだった。

すると最後の病院が
「スクールカウンセラー」制度を教えてくれた。
各学校に常在していて、カウンセリングを受けられるはずだと。

なんだ、こんな身近に!

すぐに担任に確認すると、
スクールカウンセラーは、
例の「相談室」に、火曜だけ常在しているとのこと。

息子がまた学校から遠ざかり、
わたしと同じタイミングで、担任も同じことを考えていたようだ。
話が早いですと言って、さっそく動いてくれた。

「来週、予約しておきます」
「30代の男性で、とてもおだやかな方ですよ」


※ ※ ※


おそるおそる
息子に提案しはじめた。

「来週さ、スクールカウンセラーさんに会ってみない?
なんかね、若い男の人で、いい人みたいだよ
不思議だけどさ、話しているうちに、元気になれるんだよ」

「は!? 勝手になに? イヤなんだけど」

(おい!即答かよ!)

「母さんさ、前に倒れたことあったでしょ?
あれ、たぶんカウンセリングで治ったんだよ。
だまされたと思ってさ?やってみない?」

「話して、何がどうなるわけ?
だってさ、所詮、相談室の人でしょ?
どうせ、先生の仲間だって!
結局さいごは、学校に来いってなるに決まってる!!
しかも、相談室自体、行くなんて絶対にイヤ!」


めちゃめちゃイライラしている……
ものすごい拒否… シャットアウト…
いや〜、思い込み激しくない?……

というか、
この子は、信用してない…担任も、先生も、学校も
校舎に、近づきたくもないのだ…

まさか、こんな反応が返ってくるとは、思わなかった。
別に学校に戻って欲しいわけじゃない。
ただただ、元気な息子に戻って欲しいだけ
それだけなんだよ…

そのあとも、あの手この手で
カウンセリングの良さをプレゼンしてみたが、
ガンコな息子の心は全く動かなかった。


「わかった、先生の一味どうか、母さん確かめてくるわ。
ちょっとでも学校に来て欲しい感だしたら文句いってやる!
それと、ウチに来てくれるように頼んでみるから。
それがOKだったら…1回は、会ってくれる?」

「……」

息子は、このセリフには応じなかった
けど、これって断らなかった、ってことだよね(ふふ)?
よし、とりあえず第一関門は突破!


初回は、わたしが1人で行くことになった。

重大な任務を背負わされてしまった。
けれど
ここが勝負な気がした。
頼む!スクールカウンセラーさん!
イケメンかな〜(笑)
いや、それより、救世主であってくれ!


※ ※ ※


久しぶりに学校の敷地内に入ったわたしは、
互いに顔がわかる何人かの生徒に2度見されながら
校舎内を進んだ。

相談室は、わたしにとっても遠かった…


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