夜会

目次

1【健康診断】387文字
2【はらぺこ大学生】167文字
3【図書館×展示】1117文字
4【夜会】2730文字       

※4403文字あります。お気をつけて。


1【健康診断】

今日は学校で健康診断があった。どうせ今年も健康なのだから受ける必要がない、と思うこともあるのだが、私が健康だということの再確認イベントだと思って受けることにしている。受付で「コロナ感染予防対策にマスクを配布しております」と言われたのでありがたく頂いた。まずは聴力検査。私は耳がすごくいい(という設定になっている)。サイコロの目を音で当てることができるのだ(手品)。そして視力検査。少し視力が落ちていた。おそらく寝不足か本の読みすぎかパソコンの見過ぎだろう。続いて尿検査をして身長と体重を測る。「大学はいろんな成長が出来るからいいね」と言われたが、身長まで伸びるとは思っていなかった。体重はまあ変わらずだな。もう7年くらい同じ体重をキープしている。次は医師による触診。お医者さんも大変だな。私の後にもまだ何人も並んでいる。最後にX線を撮って、おしまい。健康再確認イベント終了。

2【はらぺこ大学生】

お腹が空いたので学食へ。もう春休みで利用者が少ないからか、蕎麦とうどんしか販売しておらず「わんぱく大学生が蕎麦とうどんで満足できるかっ!!」と心の中で叫びコンビニへ。うっ......やられた。どうやら同志が多かったらしく、お弁当は残っていない。くそう......と悩んだあげく、どん兵衛きつねうどんを買って食べた。結局うどんかよと思ったが、美味しかった。

3【図書館×展示】

お腹も満たされたタイミングで連絡が。

「図書館の犬猫展示、手があいてる人がいれば撤去するのでご協力お願いします〜」

「はーい」

ということで、図書館へ。サクサクっと片付けて、13:30から図書館2階プレゼンスペースで長谷川先生の展示講座を受ける。

1.図書館の展示とは?
 図書館で展示を行う意義
 博物館における展示との違い
 他館の事例

2.図書館の展示に期待される効果
 来館者(学生)への効果
 来館者(教職員)への効果

3.展示の技術的側面
 効果的な展示とは?
 興味を惹く展示の方法
 デザイン・広報について

4.今後の展開と妄想
 図書館の展示をより魅力的にしていくために
 展示×イベントの開催(ギャラリートークなど)

というような内容だった。

ちなみにこの講座は、私が企画した。うーん。「私が企画した」と書くと偉そうでやだな。全然そんなのじゃないのに。ただたんに普段、長谷川先生と研究室でお話してることが面白いから図書館員さんや学生のみんなに聞いてほしかったという感じ。先生が日比谷図書文化館で学芸員をしてたころの話とかとっても面白いのよっ!

実際のところは、(元)学芸員の人が現在の図書館の展示を見てどう思ってるのかなぁ?っていうのが聞きたかったのと、一生徒(私)に教えるときと、図書館員さんと学生(学年もばらばら)に教えるときはどう変わるのかその違いを聞きたかったってのもあるんだけど。あとは、来年から長谷川先生の博物館学の講義を聴講しに行くつもりだからその前に予習したかったってのもある。だから、図書館員さんたちと長谷川先生の都合の良い日を聞いて、ただ単にそれを合わせたって感じ。うまく合ってラッキーだった。もっと早くやりたかったんだけど、12月は卒論で大変そうだったし、1月はテスト作りで忙しいだろうし、2月の中旬は卒論の口頭試問があるし、遅くすると熱量が冷めちゃうし。2月3日がちょうどよかった。(1日、2日はイベントに出演だったし、4日は京都と奈良だし、5日はシェアハウスのお金と鍵の管理と選書ツアーとデッサンのモデル、6日はまた奈良だ。私の予定も3日しかなかったのだ!) 

場を作ったら誰かが話してくれるということがわかったので、次は上小倉先生あたりとコラボしたいなーなんて考えたり。

展示講座はあっという間に終わってしまった。面白かった。相変わらず長谷川先生が作るレジュメは美しい。もちろん展示も美しい。資料の配置とか色使いとか、詳しいことは知識がなくてよくわからないけれど見ていてとても心地いいデザインなのだ。研究室に行くとときどき授業で余ったレジュメをもらえるのだが、どれを見てもレイアウトが素敵。レジュメ見てるだけでデザインの勉強になる。他学科だから資料が新鮮に見えるのかもしれない。

4【夜会】

まだまだたくさんお話聞きたいし、長谷川先生の得意分野の絵葉書の話も聞きたかった。ので。

私「先生〜。今日の20:00以降お時間ありますかー(にやにや)?」

長「えぇ、来ます?別にいいですよ?(少し困り顔)」

私「やったー!では、ぜひー!」

というわけで、16:45~20:15まで大学附属図書館でアルバイトをして、仲の良い司書さんを1人お誘いし、長谷川先生の研究室へ。

(私1人で行くと「夜遅くに学生(♀)と先生(♂)が研究室で何かやってましたよ」なんて訳の分からない噂立てられたら大変。先生の名前に傷がついちゃいますからねぇ!!そうなったら2度と研究室に行けない!と思って、司書さんも誘いましたとさ。)

私「先生こんばんはー!ゲストをお連れしましたー!」
長「おぉー、お疲れ様ー。わぁ、え?司書さん?お疲れ様です、どうぞお入りください。」
私「あれ?なんか部屋が綺麗になってる!!本棚もめちゃくちゃ綺麗だし、机もピカピカ!」
司「先生ー、お疲れ様ですー。突然お邪魔してしまってすみませんー。」
長「いえいえー、とんでもないです。部屋綺麗でしょ?色々終わったから掃除した!いいでしょー、へへへ。」
私「うれしそうw」

長「さて、今日は何しますか?なんだろう?なんかいつもと違って司書さんがいらっしゃるからかな、そわそわするね。どうしたらいいかかわんないですね。笑」
司/私「笑」
私「蓄音器見せてほしいです!」
長「あ、前も言ってたね、いいよー。」

見せてくれたのは、今から80年くらい前に作られた蓄音器。持ち運び式のやつ。15,000円で売っていたらしい。黒色をしていてとても綺麗。わくわくする。

長「何を聞かせようか?何がいい?」
私「うーん。」
どんな曲があるのか見当がつかない。

先生は楽しそうに何枚かレコードを持ってきてくれた。蓄音器のゼンマイを巻いて、針を下ろす。

「ズズ..ズ....」

針とレコードが触れ合うときの音が背筋に響いた。うぅ……。

「ズズ...♪〜」

おおおぉぉー!
知らない歌謡曲が流れる。予想以上の音量。昭和の音だ。どこか侘しくて、平成生まれだけど懐かしく感じた。不思議。片面5分しかないんだって。不経済だね、あんなに大きいのに。でもだからこそ、その不経済な音楽に贅沢を感じた。しばらくするとゼンマイの気まぐれで音が遅くなりやがて止まった。

長「いいでしょ?」
司/私「はい!」
長「これもいいんですよ、漫才なんだけどね。夫婦漫才。」

と、レコードを変える。

「ズズ...♪〜」

''お伊勢詣り''という漫才を聴かせてくれた。ミスワカナと玉松一郎という人が演じているらしい。最初はお囃子みたいな歌みたいなのがあってそこから漫才が始まった。言葉選びや口調から、顔も知らない、2人の漫才師を想像する。楽しい。当時の人はレコードの尺に合わせてネタを作ったりするのかな?オチの時にゼンマイがゆっくり回り始めちゃったりしたら悲劇だね、面白いけど。「トンボのケツ」という、しらないフレーズが耳に残った。

使い古されたレコードは溝がほかのより深くて、少し白くなっていた。蓄音機の針も摩耗するらしく、デッドストックを使っているらしい。

蓄音機とレコードを堪能したあとは、大正時代の絵葉書を見ながら、先生と司書さんの入っていた部活の話とか、スターウォーズの話とか、カレーの話、香辛料の話、銭湯の話やオーストラリアや中東を旅した話なんかを聞かせてもらった。
普段の講義や図書館では聞けない話だ。
先生は弓道部と居合道部に入っていたらしい。刀を持って戦うイメージはないなあ……。でも弓はすごくうまそう。いとも簡単に的を射抜きそうだ。「介錯が必要な時はいつでも呼んでくださいね」と言われたが、切腹はしたくない。それに死ぬなら海と決めている。司書さんは背が高くてすらっとしているから、バレーボール部かと思っていたけれどバトミントン部だった。「いつもバレーボール部と間違えられるの」とおっしゃっていた。先生の好きなものはスターウォーズで、ここ最近ずっとスターウォーズのことを考えているらしい。新作を見てたくてたまらないと言っていた。司書さんの好きなものは睡眠。何時間でも寝れるらしい。先生に苦手なものはなく、司書さんは蝶が苦手らしい。絵葉書に書いてある蝶もダメらしい。小、中学校のころは、教科書に蝶の写真や絵が出てくると紙を張って隠していたという。2人ともすきな食べ物はカレー。先生はインドカレーが特にすきらしい。東京に600回くらい通ったというカレー屋さんがあり、そこのメニューは先生がデザインしているらしい。最近カレー屋さんでもらったという香辛料を嬉しそうに見せてくれた。いい匂いだった。2人とも銭湯がすきで、ここの銭湯がおすすめですよなんて言いながら情報交換し合っていた。先生は大学3年生のとき、友達4人で中東へ旅行に行ったらしい。先生はなぜかアラビア語を話せる。ヒエログリフに書かれている文字も読めるし、よくわからない象形文字も書ける。そしてモールス信号も分かるらしい。実はここに来る前はスパイだったんじゃないかとときどき思う。カイロでの生活や、ラクダに乗ってピラミッドを見に行った話、ヨルダンまでのバックパッカーの話、現地にいた詐欺師とアラビア語で言い争った話なんかを聞かせてくれた。司書さんのオーストラリアの話も面白くって、コアラを抱っこするときは爪に気を付けろとか、だいたい5人目に抱かれたあたりからコアラの機嫌が悪くなるとか、動物園の鳥が飛んで行ったという張り紙があったんだけどその写真がいまいちで、きっとあの鳥は戻ってこないとか、そんな話をしてくれた。

ひとしきり笑い終わったら長谷川先生が紅茶を入れてくれた。笑い疲れた体に優しく滲みた。美味しかった。

そろそろ夜も更けてきたしお暇しようかと思ったら最後に「これ見てよ。」と葉書のファイルを持ってきてくださった。何かと思ったら戦後のものだった。宛名を見ると「マッカーサー元帥」と書かれていた。しかも直筆で。当時の人はマッカーサーに葉書を出していたのだ。子どもが書いたものもあって「おとうさんをはやくかえしてください」と書いてあって震えた。最後にとんでもないもの持ってきてくれたな!と思った。なぜこれが日本に、しかもここにあるんだ。怖いわ。アメリカの博物館とかにあってくれよ。

そんなこんなで23時(!)になったので夜会はお開きになった。

「またやりましょう」と言っていただけたので救われた。本当におじゃましました。お2人の貴重な時間をありがとうございました。

深夜の学校があんなに楽しいなんて思ってなかった。

ぜひまた遊んでほしい。

今日の話はこれでおしまい。

日記書くの楽しすぎた。
実は2月4日も濃いんですよー。
メモがぎっしり……。ふふふ、お楽しみに。
ではまた。


まい

2020.02.03

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