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水木三甫
2024年7月22日 08:37
電車が息を吐くように、たくさんの人たちを押し出していく吐いた息を取り戻そうと、今度はたくさんの人たちを吸い込む身動きの取れない体足の場所だけどうにか確保する電車の揺れに合わせて、人たちも波になる次の駅に着くまでの間に、私たちは酸素から二酸化炭素に変わってしまう目的地に着いて、ようやく電車から吐き出され、私も自分の息を吐き出す二酸化炭素だった私は、酸素になるヒマもなく、会社へと向かう
2024年7月16日 07:59
崩れてしまったプライドを粘度の低い粘土で固め直していく自己肯定感の低い自分が嫌いでプライドの高い自分になりたくてプライドはどんどん積まれていくせっかく時間をかけて高く積み重ねたのに自分の背丈よりも高く積み重ねたのに粘度の低い粘土で出来たプライドは再び崩れ落ちた崩れてしまったプライドの先にあったきれいな夕焼け空が目に飛び込んだ
2024年7月13日 19:56
湿っぽいため息ばかりついたからエアコンの除湿ボタンを押す
2024年7月9日 21:39
嘘をついてばかりいた頃僕は自分に自信がなかった嘘をついてばかりいた頃僕は自分が大嫌いだった嘘をついてばかりいた頃僕は嘘がバレることにいつも怯えていた嘘をついてばかりいた頃僕は他人に助けを求めていた嘘をついてばかりいた頃僕は一人ぼっちだった嘘をついてばかりいた頃僕にとって嘘だけが身を守る方法だった嘘をついてばかりいた頃僕は生きる意味を失っていた嘘をつかなくな
2024年7月5日 06:12
ため息をつくひと仕事終えたときラーメンの汁を飲み終えたとき彼女への告白が受け入れられたとき嫌いな過去を忘れて再出発したいとき会社の人間関係に疲れたとき心に溜まった何かを吐き出したいときため息ばかりついて嫌になったときため息には明るいため息と暗いため息がある爽やかな青だったり、満足げな赤だったり、緊張から解放された緑だったり、これからの未来を書くための純白だったりすべてを投げ出
2024年6月30日 09:24
君とつないだ手の温もりは春の風に消え去り、輝かしい季節には僕一人しかいない。孤独は嫌いではないけれど、君と出会い、君と別れて、孤独の意味はすっかり変わり果てた。真夏の太陽の光を集めて生まれた一羽のモンシロチョウが、波のように揺れながら、季節外れの僕を置いてきぼりにして、目の前を通り過ぎた。
2024年6月26日 07:31
透明人間が殺された。透明人間が車に轢き殺された。そう新聞に書いてあった。加害者は被害者にまったく気づかなかった。当たり前だろう。だって透明人間なのだから。透明人間は死んだ途端に姿を現したそうだ。透明になる意志が消えたからだろうと専門家は言った。人ごとではない。透明人間は一人だけではないのだから。それどころか、都会は透明人間で溢れかえっている。あなたが人殺しにならないために、ご忠
2024年6月24日 08:39
山を切り開いて作られた道は、たわみながら山の稜線の中に消えていく。一歩一歩確実に歩む僕に、いくつもの風がこれ見よがしにぶつかってくる。風になりたいと願うが、知識を詰め込みすぎた重い脳みそを持った僕が、風になれないことは最初からわかっていた。すべてが機械化された現代において、山道を登るのは人力に頼らざるを得ないなんて。僕はぶつかろうとした一筋の風を吸い込んで、地面に向かって吐き出した
2024年6月20日 06:38
真夜中の浜辺に君は立っている。波が君の足許を濡らしている。君はそんなことも気にせず、寄せては返す波を一心に見つめている。月の精が海の表面で揺らぎながら波に溶けてゆく。波は地球の揺らぎであり、波は生命の揺らぎである。君の心臓のリズムが波と重なり合ったとき、君は自分が波に生まれ変ったことに気がつく。君は海に向かって歩き出す。君の姿が少しずつ波に溶けてゆく。そして君は海となって、揺らいだ
2024年6月17日 20:05
熱い日差しの中を歩き続けた僕の体は熱くなり、溶け出してゆく僕は固体から液体へ、液体から気体へと変わり上昇気流につられて空高く昇っていく僕の体以外にも気体となった人たちが空に集まってくる空の温度に冷やされて、僕たちは線状降水帯になるそして一部は稲光になり、そしてまた一部は雷鳴になり、その他大勢はまとまって雨になって地面を叩きつけた僕たちはもう固体には戻れない氷河期が来るまでは
2024年6月15日 15:52
命はあずかりものだからいつか返す日がやってくる命はあずかりものだからそれまで大事にしなきゃいけないよ命は最初輝いているけど油断をするとすぐにくすんでしまうから命は毎日磨かなきゃいけないよものをキレイにすると心もキレイになるらしいよもしあなたがあずけた光が戻ってきたとき闇を含んでいたとしたらあなたはきっと悲しむでしょうだから命を返すときは光り輝いたまま返しましょうあなたの命は
2024年6月14日 09:31
引き出しの中から古い鍵が出てきた錆びついて赤くなった鍵が出てきた昔は青く輝いていたのに時が経つにつれて今や青さはどこにもない開かずの間の鍵のように僕が昔開けられなかった鍵あのとき勇気があれば開けられたのにあの頃の君の心の扉を開く鍵
2024年6月12日 07:46
眠れない夜を指折り数えてもなかなか眠れないのだから眠れない夜を羊の形に変えて羊を数えたら眠れるのかもしれない
2024年6月9日 11:04
詩 私 始 試 使 視 志 資 師 姿 示 仕 支 指 止 死 詩