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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを…
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#詩

満員電車(詩)

満員電車(詩)

電車が息を吐くように、たくさんの人たちを押し出していく
吐いた息を取り戻そうと、今度はたくさんの人たちを吸い込む
身動きの取れない体
足の場所だけどうにか確保する
電車の揺れに合わせて、人たちも波になる
次の駅に着くまでの間に、私たちは酸素から二酸化炭素に変わってしまう
目的地に着いて、ようやく電車から吐き出され、私も自分の息を吐き出す
二酸化炭素だった私は、酸素になるヒマもなく、会社へと向かう

夕暮れ色(詩)

夕暮れ色(詩)

崩れてしまったプライドを
粘度の低い粘土で固め直していく
自己肯定感の低い自分が嫌いで
プライドの高い自分になりたくて
プライドはどんどん積まれていく
せっかく時間をかけて高く積み重ねたのに
自分の背丈よりも高く積み重ねたのに
粘度の低い粘土で出来たプライドは
再び崩れ落ちた
崩れてしまったプライドの先にあった
きれいな夕焼け空が目に飛び込んだ

除湿機能(詩)

除湿機能(詩)

湿っぽいため息ばかりついたから
エアコンの除湿ボタンを押す

嘘をついてばかりいた頃(詩)

嘘をついてばかりいた頃(詩)

嘘をついてばかりいた頃
僕は自分に自信がなかった

嘘をついてばかりいた頃
僕は自分が大嫌いだった

嘘をついてばかりいた頃
僕は嘘がバレることにいつも怯えていた

嘘をついてばかりいた頃
僕は他人に助けを求めていた

嘘をついてばかりいた頃
僕は一人ぼっちだった

嘘をついてばかりいた頃
僕にとって嘘だけが身を守る方法だった

嘘をついてばかりいた頃
僕は生きる意味を失っていた

嘘をつかなくな

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ため息の色(詩)

ため息の色(詩)

ため息をつく
ひと仕事終えたとき
ラーメンの汁を飲み終えたとき
彼女への告白が受け入れられたとき
嫌いな過去を忘れて再出発したいとき
会社の人間関係に疲れたとき
心に溜まった何かを吐き出したいとき
ため息ばかりついて嫌になったとき

ため息には明るいため息と暗いため息がある
爽やかな青だったり、満足げな赤だったり、緊張から解放された緑だったり、これからの未来を書くための純白だったり
すべてを投げ出

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モンシロチョウ(詩)

モンシロチョウ(詩)

君とつないだ手の温もりは春の風に消え去り、
輝かしい季節には僕一人しかいない。
孤独は嫌いではないけれど、
君と出会い、君と別れて、
孤独の意味はすっかり変わり果てた。
真夏の太陽の光を集めて生まれた一羽のモンシロチョウが、
波のように揺れながら、
季節外れの僕を置いてきぼりにして、
目の前を通り過ぎた。

透明人間にご用心(詩)

透明人間にご用心(詩)

透明人間が殺された。
透明人間が車に轢き殺された。
そう新聞に書いてあった。
加害者は被害者にまったく気づかなかった。
当たり前だろう。だって透明人間なのだから。
透明人間は死んだ途端に姿を現したそうだ。
透明になる意志が消えたからだろうと専門家は言った。
人ごとではない。
透明人間は一人だけではないのだから。
それどころか、都会は透明人間で溢れかえっている。
あなたが人殺しにならないために、ご忠

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風(詩)

風(詩)

山を切り開いて作られた道は、たわみながら山の稜線の中に消えていく。

一歩一歩確実に歩む僕に、いくつもの風がこれ見よがしにぶつかってくる。

風になりたいと願うが、知識を詰め込みすぎた重い脳みそを持った僕が、風になれないことは最初からわかっていた。

すべてが機械化された現代において、山道を登るのは人力に頼らざるを得ないなんて。

僕はぶつかろうとした一筋の風を吸い込んで、地面に向かって吐き出した

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波(詩)

波(詩)

真夜中の浜辺に君は立っている。
波が君の足許を濡らしている。
君はそんなことも気にせず、寄せては返す波を一心に見つめている。
月の精が海の表面で揺らぎながら波に溶けてゆく。
波は地球の揺らぎであり、波は生命の揺らぎである。
君の心臓のリズムが波と重なり合ったとき、君は自分が波に生まれ変ったことに気がつく。
君は海に向かって歩き出す。
君の姿が少しずつ波に溶けてゆく。
そして君は海となって、揺らいだ

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線状降水帯(詩)

線状降水帯(詩)

熱い日差しの中を歩き続けた僕の体は
熱くなり、溶け出してゆく
僕は固体から液体へ、液体から気体へと変わり
上昇気流につられて空高く昇っていく
僕の体以外にも気体となった人たちが空に集まってくる
空の温度に冷やされて、僕たちは線状降水帯になるそして一部は稲光になり、そしてまた一部は雷鳴になり、その他大勢はまとまって雨になって地面を叩きつけた
僕たちはもう固体には戻れない
氷河期が来るまでは

あずかりもの(詩)

あずかりもの(詩)

命はあずかりものだから
いつか返す日がやってくる
命はあずかりものだから
それまで大事にしなきゃいけないよ
命は最初輝いているけど
油断をするとすぐにくすんでしまうから
命は毎日磨かなきゃいけないよ
ものをキレイにすると心もキレイになるらしいよ
もしあなたがあずけた光が戻ってきたとき
闇を含んでいたとしたら
あなたはきっと悲しむでしょう
だから命を返すときは光り輝いたまま返しましょう
あなたの命は

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鍵(詩)

鍵(詩)

引き出しの中から古い鍵が出てきた
錆びついて赤くなった鍵が出てきた
昔は青く輝いていたのに
時が経つにつれて今や青さはどこにもない
開かずの間の鍵のように
僕が昔開けられなかった鍵
あのとき勇気があれば開けられたのに
あの頃の君の心の扉を開く鍵

眠れない夜(詩)

眠れない夜(詩)

眠れない夜を指折り数えても
なかなか眠れないのだから
眠れない夜を羊の形に変えて
羊を数えたら眠れるのかもしれない

最初で最後の詩(詩)

最初で最後の詩(詩)

詩 私 始 試 使 視 志 資 師 姿 示 仕 支 指 止 死 詩