風(詩)
山を切り開いて作られた道は、たわみながら山の稜線の中に消えていく。
一歩一歩確実に歩む僕に、いくつもの風がこれ見よがしにぶつかってくる。
風になりたいと願うが、知識を詰め込みすぎた重い脳みそを持った僕が、風になれないことは最初からわかっていた。
すべてが機械化された現代において、山道を登るのは人力に頼らざるを得ないなんて。
僕はぶつかろうとした一筋の風を吸い込んで、地面に向かって吐き出した。
風の落ちた地面を三回靴で踏み固めてから、僕は再び山道を登り始める。
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