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音oto

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季節を感じながらちょこちょこ書いた短歌風の詩のまとめ。
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冬音2  :詩

冬音2 :詩

午前2時静けさの中雪が舞う
音のないその音が好きだよ

真っ白を眺めてココア飲む夜更け
ステレオタイプに飲み込まれてく

冬の夜の僕はもこもこ綿の中
ここが最後の楽園だといい

ファンタジーだよ真実は探らずに
そのままどうかそっとしておいて

冬音 :詩

冬音 :詩

奮い立ち抗う度に気付かされ
押し殺しては歩み寄った日

想われて想い繋がり育んで
慈しんでも遠ざかった日

歩いては俯き沈み立ち止まり
思い耽ってまた歩いた日

そんな日もいつしか懐かしめたなら
深く頷きそっと終わりたい

雑音3

雑音3

ウインカーを出し続けている心
望む方へと未だ曲がれず

意味なんてないよ小さな喜びで
潤したいだけ温めたいだけ

なぜ君のその目はその声は僕に
意味ばかり問うの意味なんてない

反射する無意味が僕を貫いて
ぐわんと揺れても崩れないよまだ

秋音2

秋音2

あの人が泣かなきゃいけない
そのわけを
僕なんかが知ってるはずもなく

あの人が泣かなきゃいけない
世の中を
僕がどうにかできるはずもなく

わかってるわかってるって呟いて
薄めた虚無を胃薬と飲む

どうやって明日に希望を抱こうか
このぐだぐだな星の上で今

色褪せた思念にやられてゆくばかな
僕を滅ぼしてはいてくのろじー

秋音

秋音

QQQ やつらは今日も問いかける
否否否しか返す気はないよ

背中から僕を突き刺す夕暮れは
よくある秋の色をしていて

夢の中でしか帰れぬあの家に
忘れたものを取りに行きたい

読めなくて構わないそうこの愛は
伝えるためのそれではないの

雑音2

雑音2

洗濯機回すたびあぁ伸びてゆく
服と思い出とこの恋心

あの人に憧れ疲れて諦めて
星を見上げてまた憧れる

どの年もあっという間に君はゆく
だから好きだよまた会いたいよ

遠くまで飛ばなくていいただ君に
何度でも深く刺さって響け

雑音

雑音

そうやって偽ることが悪だとは
言えなかったよ君が君だから

消え去った日々の全てが毒だとも
言いたくはない僕は僕だった

濃い青の期間もいつの間に過ぎて
姿かたちは大人になって

思い出す過去がいつでも事実より
美しいのは脳の作用か

悲しみを剥いてもそこに明日はない
早く刻んで食べてしまおう

夏音5

夏音5

高熱の体に染み入る冷たさの
バニラアイスは天国の味

ドア越しの世界は朝なの夜中なの
夏が過ぎてく 別の路線で

空っぽのくせに僕から滴った
涙を愛とか言うものだから 

パチパチと溶かして飲めば夜の底
ネオンパウダー僕を光らせて

夏音4

夏音4

この声に意味などないよ消えるのが
こわくて発信し続けてるだけ

処理できた試しのないこの感情を
今度こそはと切ってみるけれど

深夜2時電波に潜って灰になる
19の頃の君が素敵で

涙すら眩しい君の瞳から
こぼれた微かなダークサイド追う

3分間ただそれだけの幻か
インスタントな幸せを問う

夏音3

夏音3

なぜだろう君が夢中で連射する
素敵な言葉はいつも苦くて

届かない僕らを分ける空間が
不滅の並行世界のようさ

口内炎これが消滅する時に
空虚な記憶も消えてくれたら

もういっそバニラアイスになっちゃって
食われて溶けて終わるのもいい

朽ち果てて僕と君しかもういない
最後に知った機械の温もり

夏音2

夏音2

泣いて寝て泣いた体で飲み干せば
黄泉まで見せてよ幻想サイダー

急降下空切るすずめと目が合った
君も憂うか世の不条理を

毒針で眠って溺れた白昼夢
呼び覚ませるのは君の歌だけ

あと一度思い出せたら昇るから
あの日に繋いで追憶ソーダ

夏音

夏音

投げ出して冷えたラムネに浸る午後
途端に広がる夏風味のビュー

炭酸と氷が遊んで夢心地
安い至福と罵られても

鮮やかな緑が綺麗と捕まって
飼い殺されるツユグモの生

精神を蝕んでゆく赤い夏
キラキラだった彼女を返して

透明なゼリーを食べて蘇る
薬品まみれの虚ノスタルジー

はやされて光り急いだ小星の
末路を片目でそっと見ている