星るるめ
超短編、超ショート、読切など
季節を感じながらちょこちょこ書いた短歌風の詩のまとめ。
リリーと僕のただの雑談。
雨の匂いに導かれるまま 妙な懐かしさだけを抱え たどり着いた最果ての岬で 僕はまたあの奇跡と出会った 会うのはもう3度目だったけど それに名前があると初めて知って 激しく胸が高鳴った あの子にも教えてあげたい きっと驚くはず きっと喜ぶはず そう信じて疑わず 掟を破って 夢中であちらへ渡った けれどそれは あちらではすでに使い古され とっくに飽きられた幻で もはやなんの特別でもなくて あの子は 笑ってくれなかった 一緒に宝箱に入れて持って
未来ごと破壊するような 劣悪な約束だって 身勝手に交わしちゃう 結局あいつも変愛中毒 色に取り憑かれているの 消えた後の世界なんて 知ったこっちゃないって 安いきらきらを纏ってさ 期限付きのぬくもりに 喜んでその身をうずめてく 甘ったるいのは最初だけ すぐに味がしなくなること わかっているからこそ 滅びの歌は高らかに歌う 「星の終わりが来る前に みんな幸せになってね」 自己都合の延長線上に 不可解な一言を残して 泣きながら笑いながら ほら
散々嫌悪しておいて あの街が恋しいなんて 全部壊して捨てて 小さな海の街から 逃げ出してきたのに 過去を美化する作用は 相変わらずのよう 懐かしさとは 緩やかな呪いだ 時が経つにつれ だんだんと 心に生まれてゆき 奥のほうから じわじわと麻痺させる あの固い決意と誓いさえ まるで価値のない くだらないものみたいに 身勝手に軽蔑して非難して しまいには 全てが間違いだったような そんなおかしな音まで ここに立て始めるんだからね 懐かし
青ざめた星の上 あそびのない羽で 飛ぶ 落ちてはまた飛ぶ 少し窮屈な 飛行物体になりたい 絶望、希望、絶望、希望、 正しくやろうとするから 分からなくなるのだろ 美しくやろうとするから 見失うのだろ 曖昧で稚拙な 砂の星に住む人々よ 過去に縋らないとは 未来に甘えないとは 唯一の信念か いいや 単なる誓いか 何にしたって 「今」だけ見つめて 生きればよいだろう そうさ 「今」以外など 見えやしないのだから
どんなに頑張ったって 僕ら100年ぽっちも 生きられやしないなんて こんな絶望 あっていいものか 答えがあるのなら知りたいよ だから探しにゆくんだ この星の行末などわからない だから見に行くんだよ 船に乗せてくれると そいつは言ったのさ とても大きくて眩しい船 君の手をもう2度と 握れないことだけが 少しだけ寂しい けれど後悔はないよ 全部自分で選んできたことで これはその結果だもの ねぇそうでしょう 僕がそうつぶやいた時 そうね、って冷たい瞳で 君が言ってくれてるといい 泣
「Mother」
失敗なんてないんだ 僕らは皆、成功作だから 足りないところや 余計な部分も全部 愛し愛されるべきなんだって そういうところ とても好きだよ いつだって正しくて 最高に素晴らしくて ひどくうんざりする だってそんなんじゃ 何も守れはしないよ 言いたかったけれど 今日も言えなかった 思えばずっとそうだった 真っ白で真っ直ぐな君を 直視できない憂鬱 わかるかい わかるわけないか
まだ気付かないのか なんて 知ったかぶって 得意げな顔した やつらに言いたいよ 知っていたら 何がどうだっていうのか うだうだ愚痴って 嘆いたところで 何もできず 何も変えられないのなら それは知らないことと 何が違うっていうのか 大切なもの大事なこと この世が滅びたら 何の意味もないこと 何もできなきゃ 結果知らないのと同じ 大事に抱えて使わないのなら それは持ってないのと同じ この世界は? その先はないよ ああわかった 戯言は
命って人によって 重さも価値も違うのよ 澄んだ瞳であの子が言う 皆同じく人なのにね どうしたって 分かり合うことはないのだろう 同じ星に生まれ 同じく人間だとしたって 細胞に刻み込まれた各々の思想に 知らぬ間に支配されていて 簡単に抗えはしないのだ 悲しいけれどね 仕方のないことだって 僕ら同じ星に生まれただけの まるで違う人間なのだから
あの人はまるで 全てわかってるみたいに 優しく諭すような口ぶりで 僕から魔法を剥がそうとする 僕がどこにいると思う 僕はそこにはいないよ 残念全部ハズレさ 真意なんてものは頭からなく 答えはもっと単純で 呪文もたったの一つだけ 表とか裏とかそんなものの 全てを突き抜けた ずっとずっと向こうに ほら無邪気に漂っている
一つ前に「期待しないで生きるのが楽でいいのになぜ人は期待しちゃうんだろう」と書いたけれど「"生きたい"と思うためには期待が必要」という見ず知らずの方の呟きを見かけなるほどなと思った。しない方が楽だけど生きる意欲を維持するためには期待が必要。期待しすぎない、のが一番なのかもしれない
信じていても期待しちゃいけない。期待しなければ勝手に裏切られた気になることもないし、期待してない分良いことが起こった時の喜びも大きい。そうわかっているのにどうして人は期待しちゃうのだろう。「期待しないで生きるのが楽で良いよ」と教える時、なぜだか虚しくてやるせない気持ちになる。
作品紹介その③です。①、②もあるのでお時間のある時に読んでいただけたら嬉しいです。 その①↓ その②↓ 「回顧」 「ミッドナイトは霧雨」 「宵星」 「Dirtyを噛み砕いて」 「水になりたい」 「推し推しクライシス」 「錠」 「fantasia」 「好きだよ、Blue green」 ✴︎あとがき 最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。noteはわたしにとって気負ったり気取ったりしなくてよい自由な作品置き場なので、書きたい時に書き載せた
作品紹介①はこちら↓ 「夜をちょうだい」 「コールコール」 「滴」 「夜彷人」 「Ridiculous!」 「kei」 「日常」 「ていくとみー」 「それだけ」 「30」 その3へ続く
今年も創作大賞があるのですね。この期間中はいつもより多くの方に読んでいただけるチャンスがあるので嬉しいです。 わたしは5年ほど前からnoteで詩やショートストーリーなどを不定期に書いています。空や海、星、花を眺めるのが好きで、最近は自分の好きな風景や景色の写真に詩を載っけてみたり、絵は苦手ですが時には自分で背景を作ってみたり。試行錯誤しながら気ままに楽しんでいます。 今年書いたものも増えてきたので、作品紹介を兼ねて記事にまとめてみました。再掲ではありますが、読んでい
誰かの希望になれたら素敵だね それは限られた人だけに 与えられる使命のよう 僕にもあの人にも届かない だから彼は尊いの いつもより早い五月雨の日々 彼の声が僕を憂鬱から 今日も目覚めさせてくれる 真っ黒い悪意を塗りたくられても 彼をやめない彼がいるから 僕も僕をやめないでいられる だから彼は尊いの 尊くてとても遠いよ この世界に立っている それだけで尊いのだと彼が言う その瞬間、僕は 僕も君もあの人も同様に尊いってこと 思い出すんだけれど