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懐古 :詩

散々嫌悪しておいて

あの街が恋しいなんて

全部壊して捨てて

小さな海の街から

逃げ出してきたのに

過去を美化する作用は

相変わらずのよう

懐かしさとは

緩やかな呪いだ

時が経つにつれ

だんだんと

心に生まれてゆき

奥のほうから

じわじわと麻痺させる

あの固い決意と誓いさえ

まるで価値のない

くだらないものみたいに

身勝手に軽蔑して非難して

しまいには

全てが間違いだったような

そんなおかしな音まで

ここに立て始めるんだからね

懐かしさは

僕を逃がさない呪いなんだ

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