- 運営しているクリエイター
記事一覧
Dry Cleaning 『New Long Leg』ロンドンの傍観者であり表現者が打つ、不機嫌でミニマルなビート
KKV Neighborhood #85 Disc Review - 2021.4.22
Dry Cleaning 『New Long Leg』(4AD)
review by 村田タケル
真っ白なスケッチブックに落書きを描き倒すように、瞬きをする間も惜しいほどのニヒルな音と散文詩が雨あられとリスナーに降り注ぐ。 あらゆる音を鳴らすアーティストが再び集結し出したロンドンで唯一無二の不機嫌でミニマル
2016年、デビューアルバムが全英初登場1位になったViola Beachというバンドを知っていますか?
Viola Beach2015年春にイギリス北西部の町、Warringtonで結成。
Kris Leonard (ギターボーカル)、River Reeves (ギター)、Tomas Lowe (ベース)、Jack Dakin (ドラム)の4人組ロックバンドViola Beach。
耳馴染みのいいキャッチーなリフと、踊りたくなる陽気なグルーヴはVampire WeekendやTwo Door Ci
月額マガジン『樋口直哉の食と生活』について
こんにちは。僕(=樋口)は作家として文章を書いたり、料理家として料理したりしています。で、このたび月額マガジンの申請が通ったので、更新していくことにしました。月4回(基本、月曜日)、更新していく週刊連載方式です。
無料マガジンとなにが違うか?無料マガジンではレシピと調理法を中心に更新していますが、有料マガジンでは料理についての考え方や飲食店や外食産業のことなど、僕が日々食べている料理について書い
樋口直哉 小説『美しい味』─第2章-1
第2章
それから一年を待たずに房次郎は千坂を辞めた。房次郎の頭にあったのは「金が欲しい」という切実な気持ちだった。はじめは金を貯めることも考えたが、義母が毎月給金をとりにくるので、それも叶わなかった。
このままここで丁稚をしていては、いつまで経っても画学校にはいけない。それで彼は思い切った行動に出た。年内一杯で千坂を辞め、家に戻ったのである。
「なんで戻ってきたんや」
面を食らったの
【ショートストーリー】バニラアイス
キンと冷える2月の半ば、夜は山奥のようにすっかり冷え込み、仕事が終わり家から徒歩5分のコンビニに寄ってカップのバニラアイスを買い、100円のホットコーヒーを片手に家に帰る。帰って食べようと思っていたカップのバニラアイスはまだ固く、テーブルの上に置いたホットコーヒーの近くにそのバニラアイスを置いてわざと溶かした。
半分空っぽの本棚、半分空っぽのクローゼット、2人分の食器、ふたりがけのIKEAで
【ショートストーリー】クロノスタシス
「ただいまー」
アパートの4階まで階段で上がり、雑貨屋さんで買ったゆるい白くまのイラストが可愛らしいアイボリーの肩掛けのトートバッグから鍵を取り出す。ガチャッすぐに履いていた5cmのブラックの太いヒールのサンダルを脱ぎ捨て、スリッパを履いて部屋に上がる。
「今日も疲れたなー」独り言を言いながら前の家から引越すついでに奮発して買ったベロア生地のモダンなピンクのソファにバッグを置く。
8月の終わり