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『愛子の日常』 物語をまとめて見たい方はこちら↓↓↓
第一話 〜愛子の誕生〜序章 Ⅰ.
ハピバースデートゥーユー
ハピバースデートゥーユー
ハピバースデー ディア セントー
ハピバースデートゥーユー
彼の名はルーカス・セント・トーマス
緑豊かなロンドンの郊外に堂々とたたずむトーマス邸の主となったジョージが、スコットランドから嫁に来た一つ年下の妻オリヴィアとの間に授かった元気な男の子だ。
トーマスという苗字は、新約聖書からきている。つまり
第二話予告 『愛子の日常』
愛子が4歳の時。
愛子はセントと初めてデートをした。
<中略>
その日は真夏の日差しが照らす夏日で、少し歩くだけでも汗が出てくるような日だった。
<中略>
愛子はセントと一緒に街中をぶらぶらと歩いて回った。
セントは愛子の好きなように歩かせた。
<中略>
20分ほど歩いただろうか。と言っても愛子の足で20分だから、そこまで遠くには行っていない。
<中略>
愛子は電信柱の前で急に立ち
小説『愛子の日常』 本編3.
〜運命〜
グリニッジ天文台に行った次の週の金曜日。
この日もセントはイライラしていた。
なんでも、さやかがアメを配ったことが原因だったらしい。
さやかは袋いっぱいにアメを持ってきていた。そのアメを職場のみんなに配って歩いていた。
セントはそれを見て、アメなんかいらないと思った。どうせ配るなら、チョコレートやお菓子を配ればいいのに。アメなんかもらって喜ぶのは子供だけだと、さげすんだ。
さやか
小説『愛子の日常』 本編2.
〜セントの記憶 Ⅱ.〜
実は、さやかとセントは同じ会社の同じ部署で働いていたのだが、セントがそれに気づくまでには長い長い時間がかかった。
時を知らせるハト時計までもが黙りきるほどの長い長い時間だった。
きっとこの話を聞いた人々は、セントは馬鹿なのだと思うことだろう。
まさか自分の席の右隣りに座っていた女性が大西さやかだとは、セント自身も気づいた時にはものすごい驚きようだったのだから。
こ
小説『愛子の日常』 本編1.
〜セントの記憶 Ⅰ.〜
何はともあれ、セントとその女の子は再び出会う事になるのだが、その時の記憶はあまり覚えていないのがセントである。というのも、あまりにも自然な出会いすぎてセントにとっては日常生活の一部としか思っておらず、一つの思い出として頭の片隅に記憶する事すらなかったからだ。
今となっては、どうしてこの女の子と付き合っているのか分からないほど、告白した記憶もなければ、付き合った経緯も覚え
小説『愛子の日常』 序章 Ⅱ.
誕生日会の翌日、セントは公園で一人で遊んでいた。
広い芝生が広がる公園には、いくつかの丘がつらなっていた。
セントは、その丘の一つに這い上がり、持っていたボールを大空にむかってポーンと蹴り上げた。
そのボールは、大きな空の中に雲と一緒にフワッと浮かんだかと思うと、急にセントめがけて空から落ちてきた。
ビックリしたセントは、一瞬目が閉じ、その場で棒立ちになったが、すぐに目を開けた。
先ほどま