Masaru Kitahata

『愛子の日常』という物語を書いています。

Masaru Kitahata

『愛子の日常』という物語を書いています。

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  • 物語で考える人生

    物語のおちも決まらない中、勝手に不定期に投稿しています。とある男の子の人生をもとに、人生とは何かを考えさせられる作品になったら良いなと。いつかこの物語が仕上がって、私が伝えたい思いを形にしようと奮闘中です。

  • 物語 〜愛子の日常〜

    『愛子の日常』という物語を書いています〜 是非覗いていってください。近々、書籍化もしますので、そちらも宜しくお願いします。

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『愛子の日常』 物語をまとめて見たい方はこちら↓↓↓

第一話 〜愛子の誕生〜序章 Ⅰ. ハピバースデートゥーユー  ハピバースデートゥーユー ハピバースデー ディア セントー ハピバースデートゥーユー 彼の名はルーカス・セント・トーマス 緑豊かなロンドンの郊外に堂々とたたずむトーマス邸の主となったジョージが、スコットランドから嫁に来た一つ年下の妻オリヴィアとの間に授かった元気な男の子だ。 トーマスという苗字は、新約聖書からきている。つまりは、イエス・キリストの十二使徒の一人であるトマスに由来する苗字だとされている。

    • Amazonで販売することになりました。

      私が描いた物語『愛子の日常』をAmazonで販売することになりました。 noteから始まったこの物語を楽しんでいただけると嬉しいです。                北畑 優

      • 物語で考える人生

        はじめに・・・はじめに皆に問いたい。 『我々は、どうしてここまで不完全で不確実な世界で生きているのだろう?』 この物語の主人公のレムだってそうさ。 いつも悲観的な不完全な心を持っている。 心だけじゃない。この世の中はいつ戦争が起こってもおかしくない。いつ争いが起こってもおかしくない。まさに、不確実な世界だ。 そう、 この物語は、そんな不完全で不確実な世界を舞台にしている。 因みに。物語を始める前に皆に問うたのには理由がある。 今は平和でも明日は何が起こるか分か

        • 第二話予告 『愛子の日常』

          愛子が4歳の時。 愛子はセントと初めてデートをした。 <中略> その日は真夏の日差しが照らす夏日で、少し歩くだけでも汗が出てくるような日だった。 <中略> 愛子はセントと一緒に街中をぶらぶらと歩いて回った。 セントは愛子の好きなように歩かせた。 <中略> 20分ほど歩いただろうか。と言っても愛子の足で20分だから、そこまで遠くには行っていない。 <中略> 愛子は電信柱の前で急に立ち止まった。 しばらく待っていても電信柱と一体となっているかのように直立して動か

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        • 物語で考える人生
          1本
        • 物語 〜愛子の日常〜
          15本

        記事

          小説『愛子の日常』 本編10

          〜はじまりの物語〜 あれから4年後、セントは再び日本にいた。 「オギャー オギャー オゴー」 「やっと産まれた!」セントは立ち上がった。 「この声は、確かに自分の娘の声だ!」(果たして自分の娘が本当に産まれたのかどうか、その事実はまだ分からなかったが、そうとしか考えられなかった) 名前はもう決めていた。『LOVE』だ。(日本語で『LOVE 』って何て言うんだろうか・・・?!) セント30年(AD2048年)7月6日、セントとさやかは結婚をし、それから2年後の3月、

          小説『愛子の日常』 本編10

          小説『愛子の日常』 本編9

          〜セントの悟り〜 セントの熱心な希望もあり、バカンスの後半は、京都に行くことにした。 そこでは、とあるお坊さんとの出会いがあった。 セントとさやかは新幹線で京都まで行くと、お寺を転々と訪ねて歩いたのだが、とあるお寺に行った時、お坊さんが現れてお寺の縁側にセント達を案内してくれたのだった。 その縁側からは、質素で何か静寂さを感じる日本庭園が見渡せた。 お坊さんは言った。「まぁ、この寂しげな空間の中に浸り、孤独の中に身を置いてみて下さい。大自然の中で生きるものは、誰しも

          小説『愛子の日常』 本編9

          小説『愛子の日常』 本編8

          ~セント、バカンスに行く~ セントはさやかが日本に帰ると言ってから、僕はどうしようかとずっと考えていた。毎年バカンスには、スイスの山々に登るのがセントのスタイルとして定着していたが、さやかと会えなくなるのではという怖さもあり、結局この日本行きの飛行機にさやかと一緒に乗ったのだった。 セントはスイスの山が好きだった。山々に登ると言っても、その頂きに登頂するわけではない。セントはいつも山腹や峠にある山小屋を転々と渡り歩くのだった。 今回はどのルートでどの山小屋に泊まろうかと

          小説『愛子の日常』 本編8

          小説『愛子の日常』 本編7

          ~セントの過去~ 「大丈夫だよ」 セントのスマホにメッセージが届いた。 見ると、さやかからだった。 なんでも、今日退院をして家でゆっくり休んでるとの事だった。 セントは久しぶりにさやかと待ち合わせをした。 場所は職場の近くの公園だ。 この日は平日だったが、セントはぱっぱと仕事を切り上げ公園に向かった。 セントが公園に着いてから20分後にさやかはやってきた。 頬はやつれ、身体は痩せ、なにか疲れきった表情だった。 セントはその姿を見て何も言葉が出てこないでいた

          小説『愛子の日常』 本編7

          小説『愛子の日常』 本編6

          〜セントの青春 Ⅱ.〜 あれからどれ程の日数が経っただろうか。 さやかのいない世界にセントは一人取り残され孤独な日々を過ごしていた。 セントがどんなにもがこうとも、どんなに叫ぼうとも、さやかと通じることすら出来なかった。 夜空に向かって手を伸ばしてもさやかに触れることは出来ず、月に向かって囁いてもさやかの声が聞こえる事はなかった。 この広大な宇宙に一人取り残され、そこから脱出することすら出来ない無力さに、セントは歯がゆさを感じていた。 どうする事も出来なくなり、セ

          小説『愛子の日常』 本編6

          小説『愛子の日常』 本編5.

          〜セントの青春 Ⅰ.〜 次の日。 セントは朝起きて母親に挨拶するも、母親は「彼女と結婚する事は許しません」の一点張りだった。 「それは日本人だからかい?」「お母さんは差別しているだけじゃないのかい?」とセントは反発するも母親は聞かなかった。 そんな会話を一時間もした後、セントは会社に間に合わないと思い話を切り上げ職場に向かった。 職場に着くとさやかの姿は無かった。いつもならもうとっくに着いている時間なのだが、彼女の気配すらまったく無かった。 普段いかに彼女が作り出

          小説『愛子の日常』 本編5.

          小説『愛子の日常』 本編4.

          〜陶器のコップ〜 時間というものはすぐに過ぎ去ってしまうもので、来週の火曜日はすぐにやってきた。 2人は15時に仕事を終えるとセントの家へと向かった。セントの家はロンドンの中心街からは離れていてバスに乗って行かなければならない。 2人がセントの家に着いた頃には16時をまわっていた。ただ、アフタヌーンティーには丁度いい時間にも思えた。 セントはさやかを自分の部屋に案内した。 さやかが部屋に入ると、部屋の真ん中にはソファーが2つミニテーブルを挟んで置かれていた。ミニテー

          小説『愛子の日常』 本編4.

          小説『愛子の日常』 本編3.

          〜運命〜 グリニッジ天文台に行った次の週の金曜日。 この日もセントはイライラしていた。 なんでも、さやかがアメを配ったことが原因だったらしい。 さやかは袋いっぱいにアメを持ってきていた。そのアメを職場のみんなに配って歩いていた。 セントはそれを見て、アメなんかいらないと思った。どうせ配るなら、チョコレートやお菓子を配ればいいのに。アメなんかもらって喜ぶのは子供だけだと、さげすんだ。 さやかは皆んなにアメを配りながら一言二言交わして席に戻ってきた。 セントはそれを横目

          小説『愛子の日常』 本編3.

          小説『愛子の日常』 本編2.

          〜セントの記憶 Ⅱ.〜 実は、さやかとセントは同じ会社の同じ部署で働いていたのだが、セントがそれに気づくまでには長い長い時間がかかった。 時を知らせるハト時計までもが黙りきるほどの長い長い時間だった。 きっとこの話を聞いた人々は、セントは馬鹿なのだと思うことだろう。 まさか自分の席の右隣りに座っていた女性が大西さやかだとは、セント自身も気づいた時にはものすごい驚きようだったのだから。 これは、グリニッジ天文台に行った週末が過ぎ、新しい週をむかえた月曜日の話だ。 「

          小説『愛子の日常』 本編2.

          小説『愛子の日常』 本編1.

          〜セントの記憶 Ⅰ.〜 何はともあれ、セントとその女の子は再び出会う事になるのだが、その時の記憶はあまり覚えていないのがセントである。というのも、あまりにも自然な出会いすぎてセントにとっては日常生活の一部としか思っておらず、一つの思い出として頭の片隅に記憶する事すらなかったからだ。 今となっては、どうしてこの女の子と付き合っているのか分からないほど、告白した記憶もなければ、付き合った経緯も覚えていない。 セントにとっては、その女の子と付き合っているという事実は二の次の話

          小説『愛子の日常』 本編1.

          小説『愛子の日常』 序章 Ⅱ.

          誕生日会の翌日、セントは公園で一人で遊んでいた。 広い芝生が広がる公園には、いくつかの丘がつらなっていた。 セントは、その丘の一つに這い上がり、持っていたボールを大空にむかってポーンと蹴り上げた。 そのボールは、大きな空の中に雲と一緒にフワッと浮かんだかと思うと、急にセントめがけて空から落ちてきた。 ビックリしたセントは、一瞬目が閉じ、その場で棒立ちになったが、すぐに目を開けた。 先ほどまで目の前にあったボールはどこかへ消えてしまったようだった。 目をキョロキョロさ

          小説『愛子の日常』 序章 Ⅱ.

          小説『愛子の日常』 序章 Ⅰ.

          ハピバースデートゥーユー  ハピバースデートゥーユー ハピバースデー ディア セントー ハピバースデートゥーユー 彼の名はルーカス・セント・トーマス 緑豊かなロンドンの郊外に堂々とたたずむトーマス邸の主となったジョージが、スコットランドから嫁に来た一つ年下の妻オリヴィアとの間に授かった元気な男の子だ。 トーマスという苗字は、新約聖書からきている。つまりは、イエス・キリストの十二使徒の一人であるトマスに由来する苗字だとされている。 名前から分かるとおり、トーマス一家

          小説『愛子の日常』 序章 Ⅰ.