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よりぬきしりんさん

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#日記

日記/法悦四八〇

日記/法悦四八〇

神性だの、無に充たされるだの、考え、書いていても、わたしは六万円の電気代におびえる、電気子羊にすぎない。または、わたしは六万円におびえる電気子羊にすぎないが、神性だの、無に充たされるだの考え、また書いている。どのみち、まさか、墓石に「六万円」と彫られることもあるまい。かつて、池田晶子おねいさんは、哲学に救いなどあるもんか、すがるなんて、お門違いだわよ、と喝破なさった。御意。とはいえやはり、繭のよう

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日記/追儺の変

日記/追儺の変

どうにも、虫の居所が悪い日であった。肚のなかに虫が居る、とは頓狂な謂いだが、大脳辺縁系の機能亢進より、体感として、よほど的は射ている。腹には虫など居りませんよ、と断言するのは、腹に虫が居なかった者の特権だ。小五のとき、わたしと信ちゃんだけ、別室に呼ばれた。虫がおったとよ、と保健の先生に言われ、赤いのみ薬をもらった。蟯虫だ。おしりぺったんフィルムを、朝いちばん、肛門に押しつける検査に引っかかった。当

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日記/ 政権批判

寒いですねえ、と言っているのだ。あの禿頭の紳士もあのアナ雪のトレーナーの女の子もあの金髪の店員もハシブトガラスも、だれもが、口を開けば、寒いですねえ、ええ、寒いですねえ。なんとまた、藝のないことよ。マイナス7度程度で、岸田政権の無策批判もまいぜんシスターズの声変わりも彼氏の怪しい動静の愚痴もかあかあかあも忘れはて、ビッグ・ブラザーの指令に従うように、ハイル・なんとかのように。創造性に乏しく、従順き

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あっちこっち

あっちこっち

たとえば、航空写真を撮ったあとには、ポートレイトを撮りたくなる。
心ゆくまで電子顕微鏡で細胞組織を見たら、次には満天の星空など眺めていたい。

自伝を読んだら、そのひとが生きたころの地域、国、世界、もろもろについて知りたい。
ある出来事を概説的、包括的に学べば、その渦中にあった誰かしらの日記や書簡、そんなものを無性に読みたい。

うどんがつづけば、鶏モモ焼きが食いたくなる。おせちもいいけど、カレー

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わかれみち

わかれみち

リアリティあふれる夢を見た。

まるでこっち側が現実、みたいな言い方だけど。あっち側が現実なんじゃないかと、この時間(朝の10時過ぎだ)になっても訝しく、いちいちわざとらしくキーボードの手触りを確認しながら書いている。

起き抜けにコーヒー2杯とアリナミンVを飲んで、それでも目が覚めきれない。
こっち側に覚めているが、しばらくすればあっち側に覚めるんだろう。コーヒーもアリナミンも、こんどはあっち側

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耳塞いで音楽を

耳塞いで音楽を

音の連なり(とチープな言葉)に過ぎないモノ、ぼくは最後の最後に、そこに逃げ込む、泣き込む。

誰もぼくを value してくれないわけではない。それは分かるの。周りは昨日と何も変わっていない。変わったのはぼく。原因はないのに。少しだけ仕事が辛くなった、少しだけ自分のポンコツに嫌気がさした、その程度。よくあること。

朝から溜めた食器を洗いながら、プラスティックのコップから手が滑り、床に落ちた。はだ

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さあ、プレスを掻い潜って

さあ、プレスを掻い潜って

先日、ある若い癌患者の不平を扱うニュースを読んだ。彼がサバイブしたとたん、彼の動画チャンネルの視聴者数が急減したそうだ。
これを読んで、短時間にわたしの両チームを巡った複数の印象を、つらつら書き起こしてみたい。
なお、これは彼の事情や言動に関する文章ではない、それは単なる思考の引き金だ。
どれも、わたしの内心のあったかくていい気な俗情(以下 チームA)に対して、チームBが《プレスをかける》物言いに

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こころの小骨の備忘録

こころの小骨の備忘録

コロナは存在しなかったり、ちょっとした配慮を求める小さな声は甘ったれであったり、イチローは所詮三流選手であったり、Twitter をはじめとする SNS の『世間の声』を眺めてると、この国って、(控えめに言って)かなり深刻な病理学的症状を呈していると思うの。

こういう「オレ様の持論」は、とかく狭量で独善的で高飛車でセンセーショナルで、そのくせデータだエビダンスと騒ぎ立てて、隣に座っている人がこん

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紀尾井坂にぞ散る紅葉

紀尾井坂にぞ散る紅葉

今年もまた、急な坂を転がるように、寒が来た。

当地の寒さは、2枚から3枚、少し厚手にして、そろそろ4枚というふうにはゆかない。
ある朝突然2枚から4枚、明くる日にはコート、来週はステテコ、カイロという具合だ。

リモートワークの合間、コートを羽織って散歩をすると、あっちこっちに真っ赤な葉っぱが散っている。
急な坂を転がるように、ひといきに赤くなる。
急な坂を転がるように、ひといきに散り落ちる。

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Bluebird Lullaby

Bluebird Lullaby

むかーしむかし、あるところで『青い鳥』という卓れた寓話を書いたのはリリエンタールではなくてハイエルダールでもなくて、作者とチルチルとミチルという内縁関係にある3名は、何かのために唐突に青い鳥を探しにゆくのだが、それは確か、この子の七つのお祝いにお札を納めに参るその途上、実にさまざまの魔物――スライムにはじまり森喜朗に至る魔物オールスターズ――に出会いと別れを繰り返し、やがて倒れた彼らは青は藍より出

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断簡1

断簡1

在ることは幸福であるということ
であるので
わたくしは幸福である

在ることが幸福であるという
(やや老練な)
心理に想到し
故に
わたくしはもう充分に
幸福である

それはもはや後戻りも磨耗も錆びもせぬ
(真理は物質ではないため)

死は
(喩えだ)
他の大事な誰かに
この真理を継承する唯一の
儀式だ

今日も生きていた

今日も生きていた

 おんもはバイ菌だらけだから蟄居というわけにもいかず、車移動に拘りつつ今日も朝の求職(@西区)昼の求職(@北区)夕方の求職(@中央区)とトリプルヘッダーでいずれも勝敗つかず、よって年俸に変動なし。以上『本日の銭闘』のコーナーでした次は太陽系の天気予報ですささきさーん?

* 禁煙席まで脂臭い喫茶店で意味なし写経(履歴書/ポートフォリオ)に勤しむ。手書きに予測変換機能が付くのは令和何年くらいだろうか

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