Bluebird Lullaby
むかーしむかし、あるところで『青い鳥』という卓れた寓話を書いたのはリリエンタールではなくてハイエルダールでもなくて、作者とチルチルとミチルという内縁関係にある3名は、何かのために唐突に青い鳥を探しにゆくのだが、それは確か、この子の七つのお祝いにお札を納めに参るその途上、実にさまざまの魔物――スライムにはじまり森喜朗に至る魔物オールスターズ――に出会いと別れを繰り返し、やがて倒れた彼らは青は藍より出でて愛よりも恋よりも濃い何かを、ふと、それは言葉ではない、言葉など要らない、ただ何かを感じ取り
と、風の子どもの絶唱をきくや、パーティ4人の眼前には、あれだけ長く苦しい旅を続けてなお見つけることのできなかった ダットサン・ブルーバード(前期:310型) それも『品川 5』のワンオーナー車、ときた日には
ケンとメリー、あーふたりは征くのさ、何物にも遮られることのないー、ああーふたりだけのあの世界へララララララ
さて狭いトランクで手足を縛られ猿轡を噛まされたるはおさるのジョージ(en: Curious George)、だが彼は、ありったけの知恵と政治的コネクションを絞り、この最大の危機を乗り越えたとの情報もあるが、現地メディアはいまだ混乱しており、虚実は糾える縄のごとく錯綜していた。
という面妖な書き出しではじまる傑作ミステリー『ヤコブの端末』が、派遣社員への登竜門である「パソナ平蔵賞」を受賞したのは、ちょうどそんな時代のことであった。そしてド忘れしていた作者はメーテルリンクであったし、副賞の青い鳥は翌年の差押えにより公売にかけられ、ちゃんとどこかへと居なくなったとさ。
おしまい。
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