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わかれみち

リアリティあふれる夢を見た。

まるでこっち側が現実、みたいな言い方だけど。あっち側が現実なんじゃないかと、この時間(朝の10時過ぎだ)になっても訝しく、いちいちわざとらしくキーボードの手触りを確認しながら書いている。

起き抜けにコーヒー2杯とアリナミンVを飲んで、それでも目が覚めきれない。
こっち側に覚めているが、しばらくすればあっち側に覚めるんだろう。コーヒーもアリナミンも、こんどはあっち側にしっかりと覚ましてくれるんだろう。
そんな、たよりない感じだ。

私がかつて恋をしたあの人が、あっちでは今も私の恋人であった。彼女はクロアチアにいるのだ。そして私はクロアチアに飛ぶのだ。
彼女は宗教系過激派のリーダーであり、身辺を厳重に囲われている。一目でいいから彼女に会いたい、と側近の誰かに懇願するが、それはかなわない。
ミャンマーにいるはずの友人が、私に一通の手紙と小箱を持ってきた。
その手紙には私への愛情がしたためられていて、小箱にはネックレスが入っていた。私はそれをもらって、もう彼女に会うことは叶わないと了解した。
ひどくはっきりと、私はわかった。

夢の話は、とんでもなく馬鹿げている。
どっちが夢だか分からないときは、何もかもが、とんでもなく馬鹿げている。

あっち側では彼女に会うことが叶わなかったが、こっち側でも彼女に会うことが叶わない。
それならどっち側に転んでも同じことで。
いつかどっち側でもない、そっち側に首尾よく覚めれば、彼女はきっとまだ平気な顔でのんびりと生きていて、私がこんな仰々しい夢を見た報告を笑ってくれている。

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