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豊かなこと

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#エッセイもどき

出版社という推し

出版社という推し

推している出版社があります。作者でもシリーズでもなく、出版社。推しているので、もちろん課金し、そしてふと気がついたのです。「出版社」というジャンルって、実はめちゃくちゃ潜在力を秘めているのではないかと。

そもそもわたしは、結構な優柔不断なのです。タンクトップとキャミソールのどちらにするかで20分悩み、日傘を買おうと店を除いてはなんか違うと買わずに早数年。どれか一つを選び、そしてその他を捨てること

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先輩としての贈り物

先輩としての贈り物

もうすぐ大学を卒業して1年になる。ということは、わたしのひとつ下の後輩たちも卒業するということ。
部活の後輩にメッセージを送ると、家に遊びにきてくれるというので、今日は後輩への卒業祝いを探しにいきました。

卒業祝いなのだから、消えるものではなく残るものを贈りたい。それに、一応は社会人として働いている先輩としてはやはりちゃちい物は選びたくありませんでした。何がいいのだろうと物も決めずに歩き回ります

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牛の鳴き声

牛の鳴き声

群ようこさんの「衣にちにち」を読んでいると、ふいに牛の鳴き声が聞こえました。

出勤途中の電車の中です。当然、牛がいるはずもありません。驚いたのはほんの一瞬。すぐにその音の正体は電車のきしみ音だとわかります。
今までこんな音鳴っていたかしら?記憶をたどりましたが、思い至らず。車内放送も流れてこないので、いつもと違う速度で走っているわけでもないようです。

それにしても、この音の野太さよ!本から視線

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髪を切ったら最高に可愛くなった

髪を切ったら最高に可愛くなった

長さでいえば10センチにもなりません。もともとショートカットでしたし、美容院に行くのもたったの2ヶ月半ぶり。

それでも、家に帰って改めて鏡を見ると、切る前とは別人かと思うくらい可愛くなっていました。そういえば、久しぶりにメイクもきちんとしましたし、服もお気に入りのもの。短くなった髪は少しアイロンで巻かれていて、あら、芸能人でも通用するんじゃないかしらと本気でうぬぼれます。

髪を切ったのは、もち

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文字とキーボード

文字とキーボード

よく時間の経過を示すために〇〇から△月(日でも週もあるけれど)という言い方をします。そして○に入る言葉は区切りとなる出来事が入ることが多い。わたしの場合、今年度を示す区切りとしては「社会人になって」よりも「一人暮らしをはじめて」のほうがしっくりきます。
正直まだまだ社会人としての自覚なんて芽生えていないですし、社会人になったことでわたし自身、大きく変わったかといえばそうでもありません。いろんな流れ

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地元ではないどこかで

地元ではないどこかで

SNSを一切していない友達に、引っ越したことをどう伝えるか、悩んだ

わたしの世代は物心ついたときには携帯があって、中学に上がった時にはアメーバブログが流行り、高校に上がるとTwitter、大学はインスタと、進路が分岐した同級生とも「つながる」ことがとても簡単な時代に生きている。

わたしも当然のように、インスタのストーリーで引越し先の地域を伝えた。
数人の深い関係の人には住所をLINEで伝えたが

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家事のまねっこ、おままごと

家事のまねっこ、おままごと

家事が好きだ、と言えば誤ったイメージを招きそうですが、少なくとも今日みたいな家事は好きです。

親が法事で不在の3日間。最終日。兄と姉はまだ寝ているようです。

出勤のため家を出るのは10時40分。起床時間7時。前日はなんだか眠すぎて21時半には寝たので気分もスッキリ爽快。

白湯を飲みながらコーヒー沸かして、レタスをちぎりお惣菜のゴボウサラダも乗っけます。彩りはレンジでチンしたカボチャ。たまこ2

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ふたりの(遊ぶ)場所

後輩と遊ぶ約束をした私は、どこに行こうか悩みます。楽しみと先輩としての見栄と、あの子とわたしの都合。それらが全て合致するところを探していたら、なぜかわたしの自己分析が深まりました。

あの子と2人きりで遊ぶのは今回が2度目。前回は占いに行って、手相を見てもらいに行ったのに顔を見るなり「日本酒とワインには気をつけなさい」と言われました。日本酒好きなのに…

今回はどうしよう。夜には違う後輩も交えてご

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トキメク何も変わらない誕生日前

トキメク何も変わらない誕生日前

来週の5月14日はわたしの誕生日です。
例え誰からも祝われないかもしれなくても、楽しみな誕生日はあるぞ!と、当日まで一週間切った本日、叫んでみました。

でも、過去には誕生日を楽しみどころか、すっかり忘れていたときもありました。そのお話もせっかく思い出したので書いちゃいます。ガハハ。(書き終えた後に見返したら文量だけむしろこっちの話が多くの割合を占めてしまいました。ナンテコッタ)

高校2年生のこ

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手のひらのにおい

手のひらのにおい

DVDデッキの青い光が昼よりもずっと眩しかったことは覚えています。ふすま1枚を隔てたところにいる兄はまだ起きていたんでしょうか。今となってはわかりません。

顔を手で覆うと、安心します。
視界が遮られて、指と指の間から見える洗濯物は、別の何かに見えて、自分の家じゃないみたいです。世界の誰も知らない、わたしだけの穴ぐらで、ただただそこに在ると、手のひらの匂いや温度に気がつきます。温度はともかく、手の

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