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50になって振り返ってみる
2021年度がスタート.これは年齢が50になったのではなく,研究業績(査読付きの論文公表の数)が50になったというお話(年齢は40代前半です).
業績主義うんぬんと言われる昨今ですが,ここでは業績の数そのものについての考えは置いといて,大学院入学からおよそ25年が経った今,査読付き論文の掲載数が50となった節目で感じたことを書きたいと思います.私の最新の研究業績は以下の私のwebサイトをご覧くだ
恩師からもらった言葉
9月に入り,学会(研究集会)のシーズンになりました.今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点で学会はオンラインでの開催が多く,研究成果発表の場も"新しい様式"が色々と始まっています.
私の研究分野で関係が深いつある地球科学系の学会で,京都大学大学院時代の恩師が学会賞(その学会では最高の名誉)を受賞されました.恩師にとって初めての博士号取得者であった私としては,恩師の学会賞受賞にとても感慨深いも
地下でのフォースをどう感じるか?
地面の下にどんな力(フォース)が働いているか目には見えません.じゃあどうするか?という話です(スターウォーズの話ではありません,あしからず).
地震が起きたり,火山が噴火したり,ゆっくりと時間をかけて地面がたわんだり凹んだり,などから間接的に地面の下で"力のかかっていること"を私たちは知ることができます.岩石に働く力(厳密にいうと応力)の単位はPa(パスカル)です.例えば,地下の岩石が◯◯の分だ
説明するのに例え話は必要か?
難しい話(難しいと思う話)を相手に分かりやすく伝えるために,例えを使って話すことはよくあります.新型コロナウイルス感染拡大防止では,ウイルスを乾いていないペンキという説明は,なるほどイメージしやすいと思いました(以下のリンクを参照).
ただし,場合によっては,例えを使ったことで伝えたいことが相手にとっては分かったような気がするだけで,実はその相手にとっての理解には遠回りしている気がすることもある
七夕でふと考える地球の鼓動
7月7日は七夕,天の川の両岸にいる織姫と彦星が年に一回出会う日.
七夕にちなんで,遠く離れたものたちが出会うことをプレートテクトニクスで物語ってみようと思います.下の図のように,太平洋プレートが日本列島の下に沈み込んでいます.太平洋プレートの上にあるハワイ諸島は太平洋プレートが西に進むことでだんだん日本列島に近づいています.
(出典:地震調査研究推進本部『地震発生のメカニズムを探る』)
太平
過去は将来を考えるヒント
過去を知ることは将来をイメージするヒントになるという話です.私が日頃研究で取り扱っている地球科学,その中でも地質学はまさに過去を解き明かす学問の一つです.今から2万年くらい前だと一番新しい氷期の時代で海水面が今よりも100メートルは下がっていた時期,2000万年くらい前だと日本列島にあたる地域が大陸から離れていく時期,1億年くらい前だと恐竜が繁栄していた時代.このように人間生活の時間のスケールを超
もっとみる地震が起こって思うこと3
地震の規模を示す「マグニチュード」について.マグニチュードは1上がると約30倍,2上がると約1000倍というものさしです(大雑把に).戦後で代表的な海溝型巨大地震としては,1946年南海地震はマグニチュード8.0,2011年東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9.0でした.内陸地震(活断層での地震)では,1995年兵庫県南部地震はマグニチュード7.2,2016年熊本地震はマグニチュード7.0でした
もっとみる100万年の鼓動を感じる
私たち地球科学の分野で地殻変動を研究する時には「100万年」を一つの単位として扱っています.いわゆる地質学的な時間スケールと呼ばれる時間の単位です.100万年というと途方もなく長い年月ですが,46億年の地球の歴史から見れば一瞬かもしれません.
プレートの沈み込み方向が変化する/変化しない,を議論する際の最も短い時間の単位がおおよそ100万年と考えられています.ここで100万年を最小の単位と考える