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地下でのフォースをどう感じるか?

地面の下にどんな力(フォース)が働いているか目には見えません.じゃあどうするか?という話です(スターウォーズの話ではありません,あしからず).

地震が起きたり,火山が噴火したり,ゆっくりと時間をかけて地面がたわんだり凹んだり,などから間接的に地面の下で"力のかかっていること"を私たちは知ることができます.岩石に働く力(厳密にいうと応力)の単位はPa(パスカル)です.例えば,地下の岩石が◯◯の分だけ歪んでいる→この岩石の硬さは△△である→△△の硬さをもつ岩石が◯◯の分だけ歪むには□□だけ力を受けていたはず,という考え方で地下の力のかかり方を考えます.地表であればカーナビでおなじみのGPSで日々日本列島の歪みが観測されています(下の図を参照).

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(GPS連続観測による2005年4月〜2009年12月までの各地点の移動速度.赤色矢印の方向が移動方向で長さが速度の大きさを示しています.ここでは兵庫一宮(図のRef)を基準として日本列島各地の移動速度を計算しています.出典:西村(2017)活断層研究46号, 33-39)

東北地方太平洋沿岸で西向きの矢印が長いのは日本列島の東側から沈み込む"太平洋プレート"の影響です.東海〜四国の太平洋沿岸で北西向きの矢印が長いのは日本列島の南側から沈み込む"フィリピン海プレート"の影響です.どちらの地域でも,プレートの沈み込みに伴って蓄積する歪みがある限界に達すると,津波を生むような海溝での巨大地震が発生すると考えられています.

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(出典:日本列島周辺のプレート.地震調査推進本部「日本の地震活動 -被害地震から見た地域別の特徴- <第2版>」 )

地下の歪みを直接的に測るために,以下の写真のようにボーリングで下に穴を掘って測定する試みも行われていますが,地震が起こっている地下10 kmまで穴を掘って測ることは非常に難しいの現状です(科学掘削ではまだ実現できていません).

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(写真:紀伊半島でのボーリングの様子)

人間が到達できていない地下深い環境を過去に深さ10 kmあたりの温度や圧力で変形したと思われる岩石からいろいろな観察や分析をすることでイメージすることが行われています.そのため,地下の岩石を手にすることは地下の多くの情報を手に入れる貴重な機会です.地下で手に入れる岩石はこれまで受けた変形などを記録しているので,過去を知る手がかりにもなります.

手段として,科学掘削で地下数キロの岩石をゲットして研究しようという国際科学掘削計画が進んでいます.陸上だとICDP(国際陸上科学掘削計画)で,海だとIODP(国際海洋科学掘削計画)となります.掘削船ちきゅうを使った研究プロジェクトはIODPのプロジェクトになります.

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(科学掘削船ちきゅう.2019年3月静岡県清水港で撮影)

ICDPも,IODPも,どちらも国際的な研究チームで挑戦する研究プロジェクトです.国内では日本地球掘削科学コンソーシアム(Japan Drilling Earth Science Consortium: J-DESC)という組織が地球掘削科学の科学推進や各組織・研究者の連携強化を行っています(下記リンク参照).


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