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過去は将来を考えるヒント

過去を知ることは将来をイメージするヒントになるという話です.私が日頃研究で取り扱っている地球科学,その中でも地質学はまさに過去を解き明かす学問の一つです.今から2万年くらい前だと一番新しい氷期の時代で海水面が今よりも100メートルは下がっていた時期,2000万年くらい前だと日本列島にあたる地域が大陸から離れていく時期,1億年くらい前だと恐竜が繁栄していた時代.このように人間生活の時間のスケールを超える過去にはロマンを感じたりするもの.でもそんなロマンに興味を持たない人にとってはそんな過去なんて知ってどうするの?と思う人もいるかもしれません.

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(出典:地質学的時間のスパイラル,Wikipedia「地質学」より)

過去を知って将来をイメージするについて,ここでは,夕飯の味噌汁の具材を一ヶ月間記録していた...という例え話をします.一ヶ月間記録した結果,下の図のようになったとします.

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(夕飯の味噌汁の具材に関する,ある一ヶ月間の記録の例)

29日(土)まで記録をつけたこの一ヶ月間の具材は,シジミ&豆腐が三日に一回,ワカメ&豆腐が二週間に一回でした.記録をつけておくと過去の傾向が見えてきます.では,その傾向が仮に今後も続くと考えたら,30日(日)は,具材が「ワカメ&豆腐」になることは考えにくいですね(ワカメ&豆腐の傾向を知るには一ヶ月間の記録では足りないかもしれませんが).このように,過去のある程度の期間の傾向が続くと仮定して将来を考えることを外挿法といいます.活断層の活動の将来予測も,過去の活断層の活動パターンが今後も続くならば...という外挿法の考え方がベースとなっています.

「家の日々の味噌汁の具材になんでこんな傾向が出てくるんだ?」と考えてみます.例えば,

ビタミンXは数日のうちに体内から出てしまうため,ビタミンXが豊富なシジミを数日に一度取得するとちょうど体のバランスがいい.だから体が数日のうちにシジミを欲している.

となると,一ヶ月間の傾向の解釈が少し科学的になります(あくまでも架空の話です).じゃあ,上の解釈を仮説として,この仮説を検証するために,◯◯の分析をやろう,△△のモニタリングをやろう,と計画を立ててみると,研究スタートになりますね.

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