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#推薦図書

うたかたの日々(日々の泡)

うたかたの日々(日々の泡)

「泡沫」。
「うたかた」と読む。
水面に浮かぶ泡。
儚く消えやすいもののたとえ。

ボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」。
肺の中に睡蓮が生長してしまう奇病にかかったクロエと、恋人のお話。

毎年、冬に風邪をひいて咳が胸のあたりから出ると、
「肺に睡蓮の蕾がね・・・。」
曇った空の色に、モネの「睡蓮」の薄紫色が思い浮かんで、
そんな風に冗談を言っていた。

しかし、今年はそんな冗談は言えない。

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ささやかな日常

ささやかな日常

昨年の今頃は、何をしていただろうか。
ささやかな日常に大きな変化が起きてみると、その大切さに改めて気付かされる。
自分の生活のルーティンが、普通に続くと思っていた日常が、コロナの影響で変わってしまった。

もう、マスクのない日常は、しばらく戻ってこないだろうし、人と簡単に物理的な距離を縮められなくなってしまった。
ハグしようにも憚られるし、握手でさえもできない。

人間同士の結びつき方が変わってい

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はな と ほし

はな と ほし

2冊が一緒に箱に入っている『クリスマスプレゼント』。
1冊目は、はな。
2冊目は、ほし。
母と子のクリスマスのお話。

おとうさんがいないおうちの、おかあさんとむすめ。
クリスマスの1日を、それぞれの視点から描いています。

おかあさんは、かじかんだ手を何度もこすりながら、ケーキを売る仕事していています。
そして、おんなのこは、忙しく働くおかあさんと、パーティーをするのを家でまっています。

おん

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お母さんが作った子供のための美術全集

お母さんが作った子供のための美術全集

「おはなし名画シリーズ」は、全20巻。
お母さんたちが子供のために作った画集ということで、子供の幼稚園で一冊ずつ購入しました。

絵本のような外見ですが侮るなかれ。とても綺麗な画集です。
そして、解説が子供にむけた文章なので、大人としての理解も深く入ります。

美大に通っていた頃、西洋美術史は眠ってしまったり、日本美術史はアルバイトで休んでしまったり・・・今からするとなんともったいないことをしたの

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ジョージア・オキーフの家

ジョージア・オキーフの家

会ってお話を伺いたい方に直接会えなくなる日が続くことは、今年初めには想像もできなかった。
学生の頃からお世話になっている方に、楽しい近況を伺いながらご馳走になり、また近々・・・と思っていながら随分経ってしまった。

「今、古い鍾馗(しょうき)に興味があってね。」
鍾馗は道教系の神様で、魔除の効験があり屋根の上に像を載せたりするのだそうだ。
道教についてはとても興味があるのだが、鍾馗のことは全く知ら

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