マガジンのカバー画像

実家通信

23
週に一度、都内の実家に泊まりで通っています。 こちらのnoteマガジンには、認知症で要介護認定を受けた母と過ごす時間の記録、ぼやきを含めたつぶやきなどをまとめています。 実家から… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

夕食後、実家に一つだけある苺スプーンで苺をつぶしイチゴミルクを作っていたら母が自分もそうしたいと言う。スプーンを渡したら「こりゃ便利」と嬉しそうにつぶしている。練乳と牛乳をかけてあげたら「こりゃ美味しいわ!」とまるで初めて食べたかのように無邪気に喜んでいる。’忘れる’ことも佳き。

紆余曲折ありつつもついに母が初めてデイサービスに(半日だけだけど)1人で参加してきた!途中で帰ってこなかったのは初めて!お昼ごはんもいただいてきた。有り難くてサクラサク気持ち。帰宅した母に「今日は何したの?どうだった?」と聞いたら「まったく人付き合いも大変だよ」だって。ウケるー。

今日は父の命日。あれから19年。あの日も桜が咲いていた。そのせいか桜が咲くと少し寂しくなる。父が全てだった母は、毎年この日のために精を尽くし韓国式の祭礼の準備をしていた。今年は何の日かもわからなくなり、祭礼もあっさり省略となった。これでいいのだ。お母さん、これまでご苦労だったね。

すっかり歯も弱くなってしまった母は、固いものを嫌がる。入れ歯だから歯ではなく、歯茎が弱くなったということか?母の最近のお気に入りは、ネギトロ、茶碗蒸し、プリン、あんパン、蒸しパン、はんぺん…などなど。付き合って食べていたら、なんだか私も頭フワフワしてきたような。おせんべ食べたい。

食べてもらうしあわせ

食べてもらうしあわせ

最後に母が作ったものを食べたのはいつだったのだろう。
料理好きだった母が、料理をしなくなり半年近くが過ぎた。正確にはできなくなって、だが。

今でも私たちが「お母さん、このキャベツ切ってくれる?」「これ菜箸で炒めてくれる?」とお願いする形で作業をしてもらうことはある。
すると、迷いなく手は動く。何十年やってきたことだ。体が覚えている。

料理をするということは、思っている以上に様々な段取りや手順が

もっとみる

久しぶりの晴れ。抑うつ状態の母を促し散歩へ。よかった。その気になってくれた。お日さまのおかげ。歩き出すと前より更に歩幅が小さくなってしまったよう…それでも88で杖もなしで歩いているからいいのかな。あれこれ思いが巡る。ふと足元に黄色が目に入る。タンポポだ。何はともあれ春はくるのだ。

こんなことしてていいよ

こんなことしてていいよ

母の抑うつ状態が続いている。

「認知症になったら、人が変わったようにずっとニコニコしているの」
いつだったかそんなお友達の親御さんの話を聞いたこともあり、たとえ何もわからなくなっても、穏やかに微笑んでいてくれればいいなぁと思っていたが、現実はそうではなかった。もちろんこれからそうなることもあるのかもしれないが。

最近の母は
「お母さん、こんなことしてていいの?」
「お母さん、ここにいていいの?

もっとみる
きのう初めて母を

きのう初めて母を

きのう初めて母をお風呂に入れた。
すっかり足腰が弱くなり、認知機能も衰え、実家の古いお風呂に1人で入るのが難しくなってきたから。

着替えを手伝うことはしていたけれど、お風呂の介助は初めて。
私は服を着たままで。
腕まくり足まくりをしたら気合いが入った。

まだ寒いので、重ね着しているから服を脱がせるのも一苦労。一枚、一枚…脱ぐのにも時間がかかる。やっとのことでスッポンポンになった母は、痩せてしま

もっとみる

週に一度のおツトメ。夕方、実家に着くと母が驚いた表情で「どうしたの??」という。「毎週来てるでしょ」「お母さんのごはん作りにきたよ」と返してもワケわかってない。もう慣れたけど。台所に行くとテーブルにジャムの瓶。トースターにはパンが用意されている。母なりに夕飯の準備をしたらしい笑。

5年日記の2年め

5年日記の2年め

去年から「5年日記」をつけ始めた。
時々、まとめて3日分書いたりもするが、1日4行なので気楽に続いている。1日の終わりに書くのは心地よい。

同じページに同じ日にちの記録が、上から下へ5年(5列)並ぶことになる。

今年は2年めになったので、SNSの過去投稿のように、去年の同じ日の記録を振り返ることができるようになった。
読み返すと、お天気の差や、毎年恒例の行事のこと、去年と変わったこと、相変わら

もっとみる

ハッピーバレンタイン♡お休みの今日は朝から母のレクリエーションにおつきあい。最近は歌のほかに塗り絵も楽しんでいる。姉が用意してくれた高齢者用の塗り絵は、ページ毎にひと言と大きくてシンプルな絵。母がこれまで塗ったページを得意げに見せてくれた。黄色いバラとありがとう。上手に塗れたね。

実家でもヒヤシンスが開いていた。部屋中によい香りが漂っている。母は姉に「ニンニクの花が咲いた」と言ったらしい。笑。確かに球根の形が似ているね。母の記憶にあるニンニクと、この形が結びついたのだ。お母さん、よく思い出したね。香りとともに花の生命力がここにいる人たちに光を与えてくれる。

今日のラブリー!会いたいという気持ち

今日のラブリー!会いたいという気持ち

いつだったか、実家の母へプレゼントに贈った鉢植えの薔薇が、今年も花を咲かせてくれた。

ベランダのプランターに植え替えられたその薔薇は、しっかりと根をおろして成長を続けている。久しぶりにみると、ずいぶん大きくなっていた。

プランターは、母が台所のテーブルに腰掛けると、ちょうど目に入るところに置いてあって、私が実家に行くと、食事をしながら母はいつもプランターの花たちの話をする。

「あの時のあの薔

もっとみる

実家で迎える朝。高齢の母と生きづらさを抱える姉によりそうため、週に一度、実家に泊まる。こうしてもう3年くらい。自分が育った家なのに、実家だとあまり眠れない。暑さでさらに眠りづらい。毎週毎週、老いること、弱ることをみせてもらう。重たくて切ない朝。ベランダの鉢植えに露草が咲いていたよ