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卒業の日

怒涛のひと月が過ぎた。
綱渡りのような、決して落とせないバトンリレーのような。

人間はこんなにももろく
そして、たくましいのかを感じたひと月だった。

悲しくて辛くてイライラして腹が立って切なくて
眠いけど眠れなくて。

でも同時にそんな中

家族、きょうだいみんなの優しさや陽気さや
瞬発力やあれこれを工夫する創造性やら。

緊張感の続く、大変な状況でしか生まれない底力が、この時期を支えてくれた。

おかしな言い方だが、私のどこかでは、この「大変な状況」を楽しんでいたし、きょうだいみんなでこの体験ができることが嬉しかった。

母が弱くなればなるほど、私たちのその力は強まっていった。

その力が、愛というものなのか。

生誕104年!

きのうは亡き父の誕生日。
実家でお祝いをした。
お嫁ちゃんがケーキを用意してくれた。

数年前から私は、空の父にお願いをしていた。

父と母の夢だったこの家。
私たちきょうだいが幼い頃から過ごしていたこの家。

たくさんの思い出が積み重なり、たくさんのモノたちが積み上がっているこの家から、
母がいちばん佳きタイミングで「卒業」できるようにと。
それをサポートしてあげてほしいと、父にお願いしていたのだ。

くちなしを飾った

そうして今日、その願いが叶えられた。

父の誕生日の翌日の朝。
母はこの家を卒業した。
あきらめの悪い母が、ついに手を放したのだ。

これまでの長い時間、家族とこの家を守るために、ただそれだけのために母は生きてきた。

これからはバリアのない安全な場所で、守られながら、助けてもらいながら生きてほしい。

あれは何の木かな

新しい母のスペースからは、窓の外に大きな木がみえる。

緑のみえるお部屋で、私はほんとうにうれしかった。

また一緒にお散歩に行ける日を楽しみに。

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