![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143500568/rectangle_large_type_2_6db6e37eb910b00b6f9996503f0cfad8.jpg?width=800)
卒業の日
怒涛のひと月が過ぎた。
綱渡りのような、決して落とせないバトンリレーのような。
人間はこんなにももろく
そして、たくましいのかを感じたひと月だった。
悲しくて辛くてイライラして腹が立って切なくて
眠いけど眠れなくて。
でも同時にそんな中
家族、きょうだいみんなの優しさや陽気さや
瞬発力やあれこれを工夫する創造性やら。
緊張感の続く、大変な状況でしか生まれない底力が、この時期を支えてくれた。
おかしな言い方だが、私のどこかでは、この「大変な状況」を楽しんでいたし、きょうだいみんなでこの体験ができることが嬉しかった。
母が弱くなればなるほど、私たちのその力は強まっていった。
その力が、愛というものなのか。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143492950/picture_pc_d1261e228e0a8c54256d919703c99473.png?width=800)
きのうは亡き父の誕生日。
実家でお祝いをした。
お嫁ちゃんがケーキを用意してくれた。
数年前から私は、空の父にお願いをしていた。
父と母の夢だったこの家。
私たちきょうだいが幼い頃から過ごしていたこの家。
たくさんの思い出が積み重なり、たくさんのモノたちが積み上がっているこの家から、
母がいちばん佳きタイミングで「卒業」できるようにと。
それをサポートしてあげてほしいと、父にお願いしていたのだ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143493907/picture_pc_7ef914015e193ca5634e4d0fb5d4fe4c.png?width=800)
そうして今日、その願いが叶えられた。
父の誕生日の翌日の朝。
母はこの家を卒業した。
あきらめの悪い母が、ついに手を放したのだ。
これまでの長い時間、家族とこの家を守るために、ただそれだけのために母は生きてきた。
これからはバリアのない安全な場所で、守られながら、助けてもらいながら生きてほしい。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143498548/picture_pc_c915b5b7371bbce16ca0847e6148499a.jpg?width=800)
新しい母のスペースからは、窓の外に大きな木がみえる。
緑のみえるお部屋で、私はほんとうにうれしかった。
また一緒にお散歩に行ける日を楽しみに。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?