マガジンのカバー画像

夢日記

16
僕は小さい頃から沢山の夢を見てきました。ここ5,6年では夢を日記として書いています。さすがに個人の名前などは仮名にしますが、とても面白い内容だと思っているので公開していきます。
運営しているクリエイター

#短編小説

【夢日記】朧げな注射痕

【夢日記】朧げな注射痕

 昔、重度の糖尿病を患った女の子と付き合っていた、という記憶がある。でも、顔も名前も、どうやって付き合うに至ったのかも、なぜ別れてしまったのかも、一切思い出せない。本当に付き合っていたのかさえ分からない気がする。唯一思い出せるのは、彼女の雰囲気と、彼女がインスリン注射する姿だけだ。

 彼女は大阪に住んでいて、僕が住む東京と大阪の中間の熱海や小田原でよく会っていた。初めて彼女と食事に行った時、彼女

もっとみる
【夢日記】シャワー越しの涙

【夢日記】シャワー越しの涙

 ガーニュ、プリューヌ、オヴォールと僕は、約地下100階まである地下迷宮へ遠征に潜っていた。無事目的を果たして帰路に着くと、20階にある「ネバー」と呼ばれる大きな砦が見えてきた。その時僕は本当に大きな喜びを覚えた。というのも、本当に長い旅であったからだ。2.3ヶ月地下の中に閉じ籠って、ようやくここまで戻ってきたのだ。

ガーニュの涙
地上に戻って来た時、僕は久しぶりに夕陽を見た。空は虹色で、大気

もっとみる
【夢日記】吸血鬼の料理人

【夢日記】吸血鬼の料理人

 ある少女が線路沿いに住んでいた。鍵もろくにかけずに一人で暮らしており、彼女の家から線路をまたいだ反対側に僕も住んでいた。彼女には名前がなかったから、僕は彼女のことを「君」と呼ぶしかなかったが、彼女はとても美しく、声をほとんど聞いたことがないほど彼女は寡黙だった。度々彼女は僕の家にやってきたが、僕の家にはベットしかなく質素なもので、特にやることもなく、話すこともなく、何もない空間を彼女がただ埋めて

もっとみる
【夢日記】邪魔なラテ

【夢日記】邪魔なラテ

 どこか遠くまで、出かけることになった。駅でナジェーテと待ち合わせて、駅の南のロータリーを歩こうとした。俺は彼女がちょっと疲れているようだったから、他愛もない話をしながらさりげなく彼女の手を甲の方から優しく握った。彼女は特に反応することなく話し続けるから、俺は彼女の手を握り続けた。彼女の小さくて、少し冷たい手が、細長くこんなにも綺麗な指が小刻みに震えていた。この震源がどんなものだとしても必ず駆逐し

もっとみる
【夢日記】アスファルトに願いを

【夢日記】アスファルトに願いを

 僕は真っ黒なビルにいた。そのビルは高校の友達のウーリのマンションによく似て、20階以上あるマンションだった。おそらく4階か5階くらいには、エントランスがあり、沢山の人がいた。たぶんそこの住人だったのだろうか。その人たちはロビーのドアとエレベーターを行き来していた。
 僕はそれを遠目で見ていた。そして僕は手にしていたナイフで無感動にその人たちを次々に刺していった。例えるなら、まさに呼吸のようで、意

もっとみる
【夢日記】エロスの有明

【夢日記】エロスの有明

 エロスはそこにあった。僕はそれをリューヌ、君へ押し付けた。だが、君の笑顔を見た時、僕の中に自我理想が生じたのだ。君に僕のすべてを吸い出される傍ら、もちろんこのエロスも吸い出され、その理想は蓄積されていた。

 でもあの時。そう、ちょうど君が低俗的で、愚かで、冷血で、卑しく、不遜で、傲慢で、醜く、気取り、悲惨であることを知った時、死への階段を下っていたエロスは、一気に駆け上り、その勢いのまま天まで

もっとみる
【夢日記】銃口の先の透光

【夢日記】銃口の先の透光

 僕は通気口の下に隠れていた。通気口の外は明るく、沢山の人がいるようだった。よく見てみれば、サークルのみんなが何やら話し込んでいる。話している人達みんなを僕は知っていたが、僕は手にしていた拳銃で何人も撃ち殺した。何も感じず、考えず、ただひたすらにトリガーを引いたのだ。だが不思議なことに、彼らは血を出している様子もなく、銃弾が当たるとバタバタと倒れ、気にもせずに話を続けている。僕は何やら寂しい気持ち

もっとみる