北村敏泰

北村敏泰(Kitamura Toshihiro) ジャーナリスト(現在はフリー)、元・…

北村敏泰

北村敏泰(Kitamura Toshihiro) ジャーナリスト(現在はフリー)、元・全国紙大阪本社編集局部長、元・宗教文化専門紙編集局長、現在は客員論説委員。最近は、宗教者による社会貢献、社会的諸問題への取り組みなどを主に取材、発信。

記事一覧

「津久井やまゆり園」事件から8年  一人ひとりのいのちを見つめる

 論説アーカイブとして、2016年7月26日に神奈川県相模原市の重度障がい者施設「津久井やまゆり園」で、「障害者は不幸を作る」と主張する元職員の男によって入所者…

北村敏泰
6日前
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能登半島地震ボランティアで得たもの  現場でこそ見える「支縁」の関係性・共苦

 被災地の状況報告に続き、炊き出し活動で考えたことを述べる。およそ支援というもの全般、ケアとはどういうことか全般に通底する視点でもある。長文御免。  2月に計…

北村敏泰
8日前
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能登半島地震 被災地ボランティア   での教訓

これは、発災から間もない時期の報告だが、現況はまだ避難所に多くの被災者、特に高齢者ら「災害弱者」がおられるので、我々の 炊き出しなどボランティア活動からの 教訓 …

北村敏泰
9日前
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能登半島地震 被災地報告 その4  各地での状況②波被害現場、仮設住宅で

 被災した人の話を少しでも伺おうと、炊き出しの合間を縫って、被災現場や開設されたばかりの仮設住宅を訪問した。当然ながら、苦難の訴えに返す言葉がなかった。助け合い…

北村敏泰
10日前

能登半島地震 被災地報告 その3

そこそこ前になるが、能登半島地震被災地にボランティアと取材に赴き、各地で見聞した事柄のごく一部を。今後現地に行かれる皆さんの参考にも。ほとんどが半年以上たった今…

北村敏泰
10日前

アカデミー賞2作品 『オッペンハイマー』『ゴジラ-1.0』を語る      祭り上げられる「仮想敵」

※病気による長期投稿休止後なので、話題が古くてすみません。 今後、続々と論評を投稿します。  米アカデミー賞で作品賞などを受けた『オッペンハイマー』と視覚効果賞…

北村敏泰
10日前
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能登地震 宗教者たちの緊急支援情報

緊急報告 能登地震:宗教者らによる現地への緊急支援               ジャーナリスト 北村敏泰  現地の惨状については多くのメディアが伝えているのでそ…

北村敏泰
6か月前

《論説アーカイブ + 》      東日本大震災月命日の供養  “名前”のある一人ひとりのいのち思う

※再び東日本大震災の話を投稿する。犠牲者数の大きな「数字」ではなく、顔と名前のある一人ひとりのいのち、という観点から。3月11日にもSNSで発信した事例だ。 ・・…

北村敏泰
1年前

《論説アーカイブ+》 「いのち」への熱い思い 震災・原発事故の映画2作品から

 東日本大震災から12年を経て2作のドキュメンタリー映画が注目を集めている。原発事故で全村避難を強いられ、暮らしの全てを奪われた福島県飯舘村の酪農業の女性たちの奮…

北村敏泰
1年前
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《論説アーカイブ+》 東日本大震災 消えない悲嘆  サバイバーズギルトや「あいまいな喪失」へのケア

自己紹介したように、様々な「苦」の現場での寄り添いについて、ぼちぼち投稿します。多くは、メディアに掲載された「論説」に少し加筆したもの。掲載時期はやや以前のもあ…

北村敏泰
1年前
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投稿に当たっての自己紹介、スタンス

最初の投稿にあたって、長いですが以下にコメントと自己紹介を 【スタンスについてのコメント】  ここ20年ほどは、東日本大震災をはじめとする災害や貧困、差別、自死…

北村敏泰
1年前
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「津久井やまゆり園」事件から8年  一人ひとりのいのちを見つめる

「津久井やまゆり園」事件から8年  一人ひとりのいのちを見つめる

 論説アーカイブとして、2016年7月26日に神奈川県相模原市の重度障がい者施設「津久井やまゆり園」で、「障害者は不幸を作る」と主張する元職員の男によって入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負わされた虐殺事件に関連して書いた論説を編集して再録します。
 毎年のように論説に書いているのは、事件が、単に残虐な事をした犯人の問題ではなく、社会における“いのち”の問題を重くかつとても広く、現在に至るま

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能登半島地震ボランティアで得たもの  現場でこそ見える「支縁」の関係性・共苦

能登半島地震ボランティアで得たもの  現場でこそ見える「支縁」の関係性・共苦

 被災地の状況報告に続き、炊き出し活動で考えたことを述べる。およそ支援というもの全般、ケアとはどういうことか全般に通底する視点でもある。長文御免。

 2月に計3か所で昼・夕食を提供した炊き出しは、困難な日常を強いられる被災者への直接的な生活支援であると同時に、そこで話をし傾聴する、人との交流が生まれるという意味でいわゆる「心のケア」(精神的寄り添い)の面もある。かねてから、「心のケア」だけが独

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能登半島地震 被災地ボランティア   での教訓

能登半島地震 被災地ボランティア   での教訓

これは、発災から間もない時期の報告だが、現況はまだ避難所に多くの被災者、特に高齢者ら「災害弱者」がおられるので、我々の 炊き出しなどボランティア活動からの 教訓 も参考になればと。



神戸を拠点とする 災害支援の NPO のメンバーと2月 4日から7日にかけて 、 ハイエース など 車2台で 輪島と 珠洲に入り、 その間 計3箇所の 小中学校の避難所で 炊き出しをした。基本的に 市役所の 要

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能登半島地震 被災地報告 その4  各地での状況②波被害現場、仮設住宅で

能登半島地震 被災地報告 その4  各地での状況②波被害現場、仮設住宅で

 被災した人の話を少しでも伺おうと、炊き出しの合間を縫って、被災現場や開設されたばかりの仮設住宅を訪問した。当然ながら、苦難の訴えに返す言葉がなかった。助け合いもだが、強力な公助が求められている!

 能登半島先端を北から東へ回り込んだ津波は、最大5メートル近くだったとされる。当然、家屋は全壊、人も車も流される勢いだ。

 珠洲市中心部から国道249号を南へ4キロ余り、飯田湾に面する春日野地区

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能登半島地震 被災地報告 その3

能登半島地震 被災地報告 その3

そこそこ前になるが、能登半島地震被災地にボランティアと取材に赴き、各地で見聞した事柄のごく一部を。今後現地に行かれる皆さんの参考にも。ほとんどが半年以上たった今も続き、少なくとも数か月は変る事のない状況だ。
 ➀  多大な犠牲


 地割れや段差だらけの道を徹夜で走り、輪島市内に着いた2月5日未明。ようやく明るくなって来た街は、至るところで家屋などが崩壊する惨状だ。既にメディアが伝えているが、2

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アカデミー賞2作品 『オッペンハイマー』『ゴジラ-1.0』を語る      祭り上げられる「仮想敵」

アカデミー賞2作品 『オッペンハイマー』『ゴジラ-1.0』を語る      祭り上げられる「仮想敵」

※病気による長期投稿休止後なので、話題が古くてすみません。
今後、続々と論評を投稿します。

 米アカデミー賞で作品賞などを受けた『オッペンハイマー』と視覚効果賞の日本の『ゴジラ-1.0』がロングラン上映を続ける。奇しくも両作品とも核兵器に関連する内容だが、それぞれ戦争と平和について論議の重要性を感じさせる。“ツッコミどころ”が多いのが見ものだ。当たり前だが勝手な私の感想なので当然に独断である。

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能登地震 宗教者たちの緊急支援情報

緊急報告 能登地震:宗教者らによる現地への緊急支援
              ジャーナリスト 北村敏泰

 現地の惨状については多くのメディアが伝えているのでそちらを。生き残った多くの被災者が厳寒の中で食糧も水もなく苦しんでいる。行政は、まずは人命救助・遺体捜索をということで、「私人の被災地入りは控えて」と言っているが、東日本大震災などこれまでの災害での豊富な支援経験・スキルのある宗教者たちは

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《論説アーカイブ + 》      東日本大震災月命日の供養  “名前”のある一人ひとりのいのち思う

《論説アーカイブ + 》      東日本大震災月命日の供養  “名前”のある一人ひとりのいのち思う

※再び東日本大震災の話を投稿する。犠牲者数の大きな「数字」ではなく、顔と名前のある一人ひとりのいのち、という観点から。3月11日にもSNSで発信した事例だ。

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 東日本大震災から11日で12年3か月。被災地の寺院では、今春の十三回忌を過ぎても毎月命日ごとに深い祈りを捧げる僧侶たちがいる。岩手県陸前高田市の浄土宗荘厳寺では髙橋月麿住職が、全犠牲者の

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《論説アーカイブ+》 「いのち」への熱い思い 震災・原発事故の映画2作品から

 東日本大震災から12年を経て2作のドキュメンタリー映画が注目を集めている。原発事故で全村避難を強いられ、暮らしの全てを奪われた福島県飯舘村の酪農業の女性たちの奮闘を追ったのが、『飯舘村 べこやの母ちゃん』。
『生きる 大川小学校 津波裁判を闘った人たち』は児童74人が犠牲になった同小(宮城県石巻市)の遺族・親たちの物語。どちらも背景は自然災害ながら原発や学校の安全管理をめぐる人災が問題となってお

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《論説アーカイブ+》 東日本大震災 消えない悲嘆  サバイバーズギルトや「あいまいな喪失」へのケア

自己紹介したように、様々な「苦」の現場での寄り添いについて、ぼちぼち投稿します。多くは、メディアに掲載された「論説」に少し加筆したもの。掲載時期はやや以前のもありますが、指摘する問題点は現在進行中のことばかりです。
まずは予告通りに東日本大震災について(今春のものの再録なので注意)。
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 東日本大震災の発生から今年で12年。夥しい犠牲者にとって仏教的な供養の上では十三回忌

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投稿に当たっての自己紹介、スタンス

最初の投稿にあたって、長いですが以下にコメントと自己紹介を

【スタンスについてのコメント】
 ここ20年ほどは、東日本大震災をはじめとする災害や貧困、差別、自死問題、いのちのあり方が揺らぐいろんな事件事故、生命倫理が問われる諸課題と、それへの良き宗教者たちの取り組みやケアの現場を取材、報道しています。(以下のプロフィール参照)

 私自身は宗教者ではありませんが、そのような社会の様々な「苦」

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