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高齢期リハビリのココロエ

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これから高齢者になる方たちへ。高齢者リハビリ17年の作業療法士が考える高齢期リハビリにおけるたいせつなことをお伝えしていきます。リハビリは決して機能訓練だけではないんですよ。先入…
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高齢期リハビリのココロエ40 介護サービスは『楽しみ作り』に注目しすぎでは?

高齢期リハビリのココロエ40 介護サービスは『楽しみ作り』に注目しすぎでは?

高齢になったらどんな施設に入りたいですか?と色んな方に尋ねますと
『趣味のサークルがあるところ』
『利用者同士の交流が盛んなところ』
『健康管理を随時してくれるところ』
『機能訓練をしっかりしてくれるところ』
『マッサージなどリラックスできるサービスがあるところ』
と様々な答えが返ってきます。主に『趣味』『交流』『医療』『リラックス』がキーワードで『健康』を保ちながらで『楽しみ』がある場所が人気な

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高齢期リハビリのココロエ39 高齢者は時間を持て余すようにできている

高齢期リハビリのココロエ39 高齢者は時間を持て余すようにできている

要介護高齢者のほとんどは退屈です。時間を持て余します。施設や通所サービスにて無言で座っている高齢者さん、ホントに多いんですよ。自分がそこにいると想像してみてください、いかがでしょうか?
そんな退屈を解消する介護保険サービスの定番メニューは『塗り絵』や『クロスワード』など、いわゆる脳トレや集団体操です。そしてマンツーマンの機能訓練といったところでしょう。それらが好きなら問題はありませんが、苦手であれ

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高齢期リハビリのココロエ38 結局元気になる高齢者

高齢期リハビリのココロエ38 結局元気になる高齢者

 高齢者のリハビリと聞いてどんなイメージをされますか?『機能訓練』『歩行練習』は必須ですよね。現在の介護保険分野でのリハビリでも結構な割合でそのようなメニューをされている方は多いです。一方で『生活リハビリ』という言葉がありますが、『生活の中で元気になっていきましょう』という概念もあります。「料理は頭のリハビリになるね」「買い物に行くことはいいリハビリだわ。」など、普段何気なく活動していることが心身

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高齢期リハビリココロエ34【どんな状態でも行動あるのみ】

高齢期リハビリココロエ34【どんな状態でも行動あるのみ】

健康度チェックです。
1.お腹が空いたらどうしますか?
2.気分転換したいとき何をしますか?
3.楽しみたいとき何をしますか?
4.身体がなまっているとき何をしますか?
1〜4の際に、何か行動できればあなたは健康です。たとえばお腹が空いたら『カップラーメンをつくる』『コンビニへプリンを買いに行く』などがその行動にあたります。
「それが健康?」という声が聞こえてきそうですが、そうなんです、それが健康

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高齢期リハビリのココロエ32【恥骨骨折後の触れないリハビリ】

高齢期リハビリのココロエ32【恥骨骨折後の触れないリハビリ】

 恥骨骨折をされた80代後半の女性を担当いたしました。骨折後は言わずもがな車椅子生活でした。本人も「もう歩けるようになんて絶対にならない。」と落ち込んでおられました。
 恥骨とは骨盤の一部です。イラストのマルで囲んだところで、体重を支えたり、内蔵を守ったりしてます。

で、やっぱり足を動かしたり、立ったりすると痛いんです。2週間は安静が必要となります。
 さて、安静期間ですが、車椅子生活。動くと痛

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高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

セ=セラピスト 利=利用者 家=家族
セ「立ち上がれますか?」
利「できません、立たせてください」
→実際はものにつかまれば立てる

セ「歩けますか?」
利「全然、歩けないんです」
→実際は歩行器で歩ける

セ「◯◯さんは、ごはん食べておられますか?」
家「食欲が無く食べられてないんです」

→いつもの7割程度は食べられる
 えてして、医療職・介護職スタッフが利用者本人や家族へ質問した時に『客観的

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高齢期リハビリのココロエ26 こんな考え方は老化が進みやすい…かも

高齢期リハビリのココロエ26 こんな考え方は老化が進みやすい…かも

「病気になって動きにくくなったから、家族に家事をやってもらおう。」
「もう歳だから嫁に家事をしてもらって当然。」
「仕事を定年まで頑張った。もう何もせずのんびり暮らそう。」
「同居したから娘が家事をしてくれる。」
「妻が今までは家のことをしてきたから、これからも家のことは妻に任せよう。」
「車椅子になったらもう何もできない。」
「麻痺が回復しないと元の生活に戻れない。」
「人に迷惑をかけるから動か

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高齢期リハビリのココロエ25 【あなたは1日名前を何回呼ばれますか?】

高齢期リハビリのココロエ25 【あなたは1日名前を何回呼ばれますか?】

 ちょっと数えてみてください、1日何回名前を呼ばれたり話しかけられますか?お仕事してる方は20回は、あるかもしれませんね。反対に1日家にこもっていれば一度もないこともありますよね。
 名前を呼ばれるということは、その社会集団の中で存在が認められているということです。つまり社会の一員だ!と潜在的に感じている、ということですね。
 それに加えてその集団内で『ありがとう』とか『仕事がんばってるね』とか『

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高齢期リハビリのココロエ24『老衰だから積極的な食事介助はやめましょう、寝かせておきましょう』は本当に正しいのか

 老衰(ろうすい、英語: Senility)とは、加齢により脳を含めた全臓器・細胞の力がバランスを保ちながらゆっくり命が続かなくなるレベルまで低下していき、最後に下顎呼吸後に死亡することである。(Wikipediaより引用)つまり老衰は『全身の細胞が死に向かい、生が途絶える』という感じでしょうか。
 老衰の前兆は『体重減少』『食事量減少』『睡眠時間の増加』だそうです。「あれ?あのご利用者、食事量減

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高齢期リハビリのココロエ23 人は活動しないと死にます

高齢期リハビリのココロエ23 人は活動しないと死にます

 みなさん、1日どうお過ごしですか?自分の1日は自分で決めてますか?朝起きてから寝るまで何をしてますか?と、わたしたちは日課や仕事、趣味などを自分で選んで決定しながら毎日を送っています。『仕事や家事は行かなければならないから、選んでいるわけではない』ですって?いえいえ、その気になれば、無断欠勤したり家族のことはほっといて寝ることもできるわけです。ですので、基本的にわたしたちは自己選択、自己決定の連

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高齢期リハビリのココロエ20 高齢者には不親切に?!

高齢期リハビリのココロエ20 高齢者には不親切に?!

 突然ですが骨折したことありますか?わたしはあります。あれは中学2年のときにスキーで大転倒して右親指を骨折、その後控えていたテニスの大会に出られず、悲しい想いをしました。
 右手を骨折したら不便ですね。右手でしていたことを左手でしないといけないですし。と、私達、若い世代は何かしら身体に不自由があっても、なんとかかんとか工夫をして生活をしていきます。だって右手を骨折してようが宿題はしないといけない、

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高齢期リハビリのココロエ10 暇だからって一日テレビを観てはいけません

高齢期リハビリのココロエ10 暇だからって一日テレビを観てはいけません

『一日テレビを見て動かない』高齢者は日本中におられると思います。そんな方たちにぴったりな介護保険サービスはというと通所サービス(デイサービスやデイケア)です。そこで運動したり、人と交流してきてほしい、そんな願いを込めてケアマネさんやご家族は高齢家族を送り出します。
 ではなぜ、家で日がな一日テレビを見て過ごす高齢者が増えたのか?
①家族の過度なリスク管理
ご家族が『動いたら危ないから』とご本人の生

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