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#178 最初が肝心。なんのために「改善」するのか?

業務改善について自分の頭の整理でメモしています。
今日は、ありがちな最初の「対立」を回避するためには、最初が肝心、というメモ。


1、「改善」という言葉を使うから失敗する?

そもそも「改善」という言葉の意味ですが、広辞苑によると、

悪いところを改めてよくすること。

つまり、「悪いところ」があることが前提です。

そして、能動か受身かで印象が異なります。
「改善する」というと前向き
「改善される」というと後ろ向き
つまり、「改善する」側と「改善される」側とは、必然的に対立関係になります。

そして、「悪いところ」の有無を含めた認識の違いで対立します。

以前、以下の投稿でも書きましたが、

今、その企業で起こっていることは、現場の従業員が「やっていないこと」ではなく、「やっていること」の結果なのです。

現場もサボっているわけではなく、一生懸命やっているのです。

そこに、「改善するよ」と来られたら、そりゃ、対立関係になります。

つまり、「改善」という言葉を使えば、「対立」は必ず起こりますから、「失敗すべく失敗する」のです。


2、なんのために、なにを「改善」するのか?

では、「改善」という言葉を使わなければいいのか?というともちろん、それだけでは進みません。

「改善」という言葉を使うことによって起こる、「対立」を起こさないことが大事です。なんの「対立」か、というと、「悪いところ」の有無、内容についてでした。

「対立」を起こさないためには、方法が2つあります。

☑️ 当事者も認めるしかないような「悪いこと」を材料として使う
☑️ 当事者に考えてもらう(言ってもらう)

まず、1つ目ですが、一番わかりやすいのは、なんらか事故があって、行政処分を受けたような場合です。
これは誰が見ても「悪いこと」ですから、当事者も「改善」が必要なことは同意するでしょう。

行政処分はちょっと、という場合でも、内部監査による指摘や顧客からのクレームなどは良い材料になるでしょう。
また、KPIなど数値で表現できるもので、基準を満たしていないものがある、ということであれば、それも使えます。

次に、2つ目ですが、当事者が言ってくれれば苦労はしない、というところでしょうが、逆に、最初に当事者に言ってもらえればその後はスムーズなはずです。こちらから無理に押し付けて納得していないでスタートしても、都度抵抗に会いますから。

でも、どうやって?

管理職には、すでにプレッシャーがかかっているはずですから、そこにさらに「改善」を押し付けるのではなく、

「ということで、こちらも言われてやってきたのですが、具体的に何か問題あるのでしょうか?」

とすっとぼけて質問してしまうことです。

この際、大事なのは、場の設定です。
間違っても部下もいるような複数人対複数人のミーティングでする質問ではありません。そんな場で質問しても、部下の手前、「実は」などと言えるはずがありません。

そうではなく、管理職と1対1の場でする質問するのです。

ほとんどの場合、そっちが言ってきてるんだろ、とか、特にないよ、とか、この間の○○を問題にしているんだろうけど、きちんと対応しているから騒ぐようなことではない、といった防衛から始まると思います。

構いません。

ひたすら聞き役になります。

話が途切れたら、「わかりました。お伺いしていると、全く問題はない、ということでよろしいですね。」と質問します。

反応は2つ。
☑️ 「いやいや、全く、という訳ではないよ。」と問題点が引き出せる反応
☑️ 「その通り。全く問題ない。」という拒絶反応

前者であれば、問題ありません。

後者は、「全く問題はないので、特に我々の方でお手伝いすることはない、と仰っていた、ということで報告しておきますね。」と言えばいいのです。

そもそも、役員レベルで問題視されていることは認識しているはずです。
その中で、あの管理職は「全く問題ない」という認識だ、と報告をされることがどういうことになるか。

おそらく、「あいつは認識が甘い」「分かっていない」となります。

それに、この管理職を相手にしても、「改善」が進むとは思えません。
初めにそこをはっきりさせる効果もあります。

もちろん、この面談をする前に、役員には、「管理職に当事者能力があるか確認をさせて欲しい。もし難しければ、もう一つ下のレベルで進めることになるが、それで良いか?」とネゴっておくことを忘れずに。

単に「何も問題ないと言ってました。」なんて報告したらこっちが被弾しますので。


このように、入口で、なんのために、なにを「改善」するのか、明確にしておくことが非常に重要で、できれば、それは、誰が見ても明確な「悪いところ」か、当事者の口から言ってもらうか、のどちらかにすべきだ、ということです。


3、まとめ

こいつ、腹黒いなぁ、と思われたかもしれません。

でも、「あるべき論」で入り口で対立して前に進まないよりよっぽど生産的だと思います。

これは、営業と一緒です。

こちらが、いくら目の前のお客様にぴったりな良い商品、と確信して、それを一生懸命お伝えしたところで、相手にとっては押し売りでしかありません。

ところが、お客様自身の口から、「こういうものがあれば欲しい」と言って頂いた後に、これピッタリですよ、と提示することができれば、良いものを薦めてくれた人、ということになるのです。

ポイントは、相手の(当事者の)口から言ってもらう、ということです。

また、全くやる気がない、問題意識がない、人を相手に物事を動かすのは不可能です。早めに見極めをつけるべきです。

これで入口で不毛な時間を浪費することは少なくなるはずです。

なるべく前向きなことに時間を使いたいと思います。大変なのはこれから、ですから。


最後までお読みいただきありがとうございました。

個人的な経験に基づくメモですが、参考になる部分が少しでもあれば嬉しいです。

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