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俳句 まとめ記事 一覧

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#575

現代俳句 作品集 12 〜春の滝〜

現代俳句 作品集 12 〜春の滝〜


「 春の滝 」
~現代俳句集〜

百吹いて夕ぞらひとつしゃぼん玉

研ぎといで鉛筆画家よ木の芽どき

ねむらせておけねこの子と浅間山

鳥かえる空にもみちがあるように

人びとはあゆみをとめず彼岸西風

蝶また蝶ブルーベリーの花ざかり

侵攻といちりんの黄のたんぽぽと

たんぽぽ吹く表も裏もある路地で

アフリカ象アフリカ知らず春の雪



花虻につねにいちりん揺れやまず

チューリップ故郷を

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現代俳句 作品集 10 〜春を待つ〜

現代俳句 作品集 10 〜春を待つ〜


「 春を待つ 」
~現代俳句集〜

野のはてのけはい見つめて冬の鹿

飛立ってまた飛んでくる寒すずめ

早梅よ二階のまどのきょうあした

そしていまつむじ風吹く風邪の町

無心というこころ花咲く冬すみれ

たんものをひろげたように川よ雪

すなはまの松くろぐろとふゆの霧

マンションのいっ戸いっ戸が春隣

あしあとはバス停で消えけさの雪

発つ鳥よ日がさしこんで狩りの山



枝さきをぽたりぽ

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現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜

現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜


「 テント出て 」
~現代語俳句集~

笛吹いて天にとどくかあきまつり

ふるさとはきえのこる灯よ秋の雨

あかるさよ京都しずかに紅葉して

絵を描いてつぎの秋またつぎの秋

ひととして暮れのこったか秋遍路

すみだ川みずのひかりの朝寒むか

既視感のなかにたたずみ赤とんぼ

生きてこそかずかぎりない草の花

とうきょうもひと粒の灯よ星月夜

国じゅうがこころやすめよ十三夜



ふるさとか一

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現代語俳句への旅 39 〜灯していても〜

現代語俳句への旅 39 〜灯していても〜


「 灯していても 」
~現代語俳句集~

大宇宙をものおもいして灯の秋よ

まんてんの星きよめるか虫のこえ

つぎの代つぎの代へとばった飛ぶ

さきもりのすがたをいまに草の花

あかとんぼダムの放流とどろくか

そのむねに手をあててみよ秋彼岸

見つめればだんだん観えて名月よ

あかるさよ世捨てびとらも月見酒

ちんもくをもって真向かう台風よ

嶺揺れるかえで紅葉のそのおくで



デパートが

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現代語俳句への旅 37 〜西へ東へ〜

現代語俳句への旅 37 〜西へ東へ〜


「 西へ東へ 」
~現代語俳句集~

スカイツリーさえ大自然鳥わたる

そのままで富士そのままで秋夕映

あしおとも熊野の音かほととぎす

ほんもののひびきか奈良の秋の鐘

にわ石よしずかながらも秋のこえ

見ても歌聴いてもうたよもみじ川

琵琶湖からとおい都市まで水の秋

たくさんの船たくさんの秋の暮れ

隠岐の島いついつまでも秋夕映え

千ねんは生きていられず草絮吹く

住む街が問いかけてく

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現代語俳句への旅 35 〜かえってこない雲〜

現代語俳句への旅 35 〜かえってこない雲〜


「 かえってこない雲 」
~現代語俳句集~

しずかさをひびかせている風鈴よ

この世から消えてもきえず京の虹

いまの世の後ろすがたよ奈良団扇

目をつむっても瑠璃光寺蝉しぐれ

人として梅雨のなかゆく熊野古道

草笛は吹いてこそ野は晴れてこそ

富士の嶺はるかにひいてゆく汗よ

故郷までつらなって山ほととぎす

そのはてに都市いくつもよ夏の河

平およぎ海をひらいてゆくことよ

夜釣りして月

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現代語俳句への旅 34 〜いつからとなく〜

現代語俳句への旅 34 〜いつからとなく〜


「 いつからとなく 」
~現代語俳句集~

みな都市を育ててばかり夏の灯よ

まどあけてまっただなかへ天の河

柔らかにふれればともる夏の灯よ

盛りつける手ゆびやわらか冷素麺

おとこらに飲みほすちから生麦酒

ふるさととほろぶかくごの白団扇

遠ぞらよわすれた日々は蝉しぐれ

嶺いつかながし去るのが梅雨の河

ぜんいんの人生が夏ロックフェス

えいえんに明日あるような夏浜よ



とびうお

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現代語俳句への旅 33 ~夏こえゆく~

現代語俳句への旅 33 ~夏こえゆく~


「夏こえゆく」
~現代語俳句集~

ライオンがふと立ちあがる大夕焼

あおぎみるひとのかずだけ夏の月

大阪は灯でできているすずしさよ

咲いた幸せ散った幸せかきつばた

聴くまではきこえず坂の蝉しぐれ

アイスコーヒー氷残してまた街へ

くりかえすせんそうへいわ噴水よ

いのるひと虹でゆるしてきた地球

墓だけを地球にのこすすずしさよ

縄文遺跡いちまんねんの蝉しぐれ

たなばたよ恋でさかえて

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現代語俳句への旅 27 ~はじめての風~

現代語俳句への旅 27 ~はじめての風~


「 はじめての風 」
~現代語俳句集~

立ちあがるひと湯柱かはるの風呂

春の雨流行りやまいをしずめるか

傘にあめ春のにおいのゆたかさよ

男らがあおぐお日さま野にあそぶ

春星よかなしいものはじんるい史

はるぞらのしたがふる里そして墓

原子力はつでん所ごとかげろうか

今日までのさいげつのおと草笛よ

顔上げていのちかんじている春よ

草の芽よ大地はおまえたちのもの

植えた木もおおき

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現代語俳句への旅 17

現代語俳句への旅 17


「たどりつく海」
~現代語俳句集~

果てのないそらがあるだけ立冬よ

ぼうぜんとふる里に立つすすき原

生きてゆく音たてながら落葉踏む

ほかはみな風にきえたかのこる虫

もより駅すこしはなれて熱燗酌む

湯どうふのむこうにゆれる歳月よ

湯ざめして星がかがやきだす故郷

しろえらぶおとこは詩人冬の薔薇

あかえらぶおとこは画人冬の薔薇

平和とは燃えやすいもの聖樹立つ

焼き鳥屋笑いそのもの

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現代語俳句への旅 16

現代語俳句への旅 16


「 小春 」
~現代語俳句集~

さいげつがきこえる銀杏ふぶく中

湯からでてだれも道後の秋のかぜ

たい焼きとかわりつづける日本と

ほのとあるポストひとつの立冬よ

春夏秋冬あるきつづけて海のおと

手のひらにすくえばしずか冬の海

寒夕焼この世のはてはいましずか

一日をまっしろにしてしぐれるか

かたらいに行くさきざきの置炬燵

雪降ると酒はこんなに美味しいか



行くひとの手にもコ

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現代語俳句への旅 15

現代語俳句への旅 15


「むきあう心」
~現代語俳句集~

敵もまたおおいなる山ラグビーよ

自転車のひとりひとりがあきの雲

色鳥というたくさんのひかりとぶ

ほがらかにわらいだすのが今年酒

新酒の香時代をこえてゆくことよ

しずかさを聞いているひと秋の庭

台どころまかせたある日檸檬の香

とうきょうへ上りゆく日の鮭弁当

町というちいさなあかりあまの川

あまのがわみな百年のゆめのなか



ハロウィンの教会

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現代語俳句への旅 9

現代語俳句への旅 9


「 とおざかる香 」
~現代語俳句集~

スカイツリー空新涼ということか

街にいてこころは風のすすきはら

鳥わたる国さかえてもほろびても

かお上げて香につつまれる金木犀

靴のおとどのじんせいも霧のなか

ほんとうのかおはひとつよ鏡の秋

生きること死ぬこと天の河のした

かわらない村にかわらず小鳥来る



目つむって天上を聴くひぐらしよ

あらいあげた墓のかなたの終戦日

死者たちも

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現代語俳句への旅 4

現代語俳句への旅 4


「 五月富士 」
~現代語俳句集~

母という素朴なひとよ五月富士

寝ころんで宇宙に一人夏座敷

人生をとおく泳いできたことよ

さいげつのいよいよしずか青すだれ

ものおとの絶えたふるさと雲の峰

鮎のぼる川のこれまでこれからよ

わらうこえ富士へひびくよ夕涼み



さいげつのはるかさに滝とどろくか

ぼうぜんとながめて誰も梅雨に入る

厳島しずかに夏の霧のなか

ところてん皿一杯の大自

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