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現代語俳句への旅 16


「 小春 」
~現代語俳句集~

さいげつがきこえる銀杏ふぶく中

湯からでてだれも道後の秋のかぜ

たい焼きとかわりつづける日本と

ほのとあるポストひとつの立冬よ

春夏秋冬あるきつづけて海のおと

手のひらにすくえばしずか冬の海

寒夕焼この世のはてはいましずか

一日をまっしろにしてしぐれるか

かたらいに行くさきざきの置炬燵

雪降ると酒はこんなに美味しいか

行くひとの手にもコーヒー立冬よ

毛皮びとあるいて老いて風のおと

沖見つめろうじんというふゆの海

生き抜いて小春日和のなかにいま

ふたとって鍋ぐつぐつとにほん海

湯気たててじんせいという一人鍋

スケートの子らよそよ風つむじ風

ひとりゆく突風アイスホッケーよ

手にすくう近江のけしきみずの秋

かがみ見てうなづくことも立春よ






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