見出し画像

現代語俳句への旅 9


「 とおざかる香 」
~現代語俳句集~

スカイツリー空新涼ということか

街にいてこころは風のすすきはら

鳥わたる国さかえてもほろびても

かお上げて香につつまれる金木犀

靴のおとどのじんせいも霧のなか

ほんとうのかおはひとつよ鏡の秋

生きること死ぬこと天の河のした

かわらない村にかわらず小鳥来る

目つむって天上を聴くひぐらしよ

あらいあげた墓のかなたの終戦日

死者たちも見ているみらい終戦日

どのひともいつか火となる流灯よ

ひゃくねんののちは我らが大文字

客のこえひぐらしのこえ主のこえ

バスに乗りとおざかる香よ金木犀

大ぞらがあっけらかんと台風あと





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?