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現代語俳句への旅 39 〜灯していても〜
「 灯していても 」
~現代語俳句集~
大宇宙をものおもいして灯の秋よ
まんてんの星きよめるか虫のこえ
つぎの代つぎの代へとばった飛ぶ
さきもりのすがたをいまに草の花
あかとんぼダムの放流とどろくか
そのむねに手をあててみよ秋彼岸
見つめればだんだん観えて名月よ
あかるさよ世捨てびとらも月見酒
ちんもくをもって真向かう台風よ
嶺揺れるかえで紅葉のそのおくで
◇
デパートがどんとある世よ秋夕焼
横断歩道のまんなかあたり秋の風
顔あげてあっという間に都市黄葉
おとならのコーヒー店の夜長こそ
胸に灯をともして夜学こつこつと
若さとは消えたさだった秋晴れよ
とりどりのこえもあざやか色鳥よ
古町から傘さしてゆくあきしぐれ
之がつれてゆく之之之之之漁の秋
あざやかに都市おもいだす彼岸花
◇
地球ただ雄ぜんとしていなびかり
もともとをたどれば狩りの国原よ
移民来る雲よりたかいそらを越え
はたらいて又はたらいて秋の田よ
おおぞらとおおきな野はら秋日傘
ねんねんに身ぢかになって望月よ
とおい灯はとおい灯のまま秋の暮
歳げつはひとすじの道すすき手に
柿噛んで大のおとこになりゆくか
かえりみちいそぎはじめる十月か
◇
閑寂が身にしみてくるかしわ手よ
さかずきに新酒次々ちょっと待て
たまきわるいのちは歌にぬくめ酒
ひさかたの月のあかりの都会こそ
いちぞくもおおかた老いて後の月
いもうとをおもえばあわれ鬼胡桃
ふでとって描くすがたこそ美男葛
こうこうと灯していても夜寒さよ
しあわせかそうでなければ温め酒
そうそうにこたつを出して雨音よ
いつも
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