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現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜


「 テント出て 」
~現代語俳句集~

笛吹いて天にとどくかあきまつり

ふるさとはきえのこる灯よ秋の雨

あかるさよ京都しずかに紅葉して

絵を描いてつぎの秋またつぎの秋

ひととして暮れのこったか秋遍路

すみだ川みずのひかりの朝寒むか

既視感のなかにたたずみ赤とんぼ

生きてこそかずかぎりない草の花

とうきょうもひと粒の灯よ星月夜

国じゅうがこころやすめよ十三夜


ふるさとか一歩ふみだすあきの風

日本のゆうぐれいろに秋刀魚焼く

いちぞくのれきしは口伝秋うちわ

たいへいの眠りさめずよことし酒

嶺みねよ摘んでもつんでも菊日和

むらじゅうの子を満腹に柿の木よ

故郷出て三じゅうねんがゆく秋よ

思いだす過去があかるい秋の陽よ

声さえもかわりゆく世ぞ焼き芋屋

神社にも灯ともさせてよ秋のあめ


ハロウィンよ大地に感謝日に感謝

世界じゅう今宵満月ハロウィンよ

秋薔薇よちいさなレストランの夜

シャンデリア秋のひかりが燦々と

すっぱさのはての光のレモンこそ

さかえゆく港たくさんとんぼとぶ

わたり鳥からもこの窓よく見えて

基地と墓地となりあわせよ秋夕焼

見たいもの見えてくる都市秋の虹

四次元のさきを見つめてあまの川


秀才は都市に集まりいちょう散る

めいじんのこのいっ手こそ秋日和

おおぞらにおおうなばらに秋の虹

ずっしりと秋ぞらを踏む綱わたり

秋の蝶地価上がったり下がったり

大泣きのむかしがあった赤とんぼ

文化の日笑いがあるということよ

テントでてまんてんの星虫のこえ

とびが舞う都市まんなかに大枯野

マンションも建って日差の十一月





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