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俳句 まとめ記事 一覧

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記事一覧

口語俳句 作品集 13 〜ゴールデンウィーク〜

口語俳句 作品集 13 〜ゴールデンウィーク〜


「 ゴールデンウィーク 」
~口語俳句〜

叙景詩のひとりとなって花あおぐ

つばめ飛ぶピッコロ独奏のように

ほそみちよ奥かくされて山がすみ

ちんもくよやがてしずかに春の滝

遍路杖いまいまいまを行くおとよ

春の海見るおんがくということか

わかめ干す島をぐるりと隠岐の海

もりあがるちからづよさよ藤の花

げきりゅうを鮎のぼりゆく夕山よ

おぼろづきふるさとともす二三軒



若草よや

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口語俳句 作品集 12 〜ちる桜〜

口語俳句 作品集 12 〜ちる桜〜


「 ちる桜 」
~口語俳句〜

そよかぜよ天地吹きまぜ花すみれ

紋白蝶日ざしのいろということか

日に風にまかせる島よわかめ干す

大空をひっくりかえしつばめとぶ

さくら一枝咲きはじめたか白磁壺

春の富士羯鼓がひびきだすように

富士あおぐ耳におんがくはるの風

さいごまで見おくりはせず帰る雁

まんかいよ咲きうずもれて八重桜

離別後よ問いかけてくるはるの月



おたがいのためにはた

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口語俳句 作品集 11 〜花散歩〜

口語俳句 作品集 11 〜花散歩〜


「 花散歩 」
~口語俳句〜

永遠にあたらしい都市あさざくら

エイプリルフールコーヒー店の朝

舞い上がる花スクランブル交差点

ビルが建つ蛙鳴いても鳴いてもよ

東京タワー後の世へ花ふぶくなか

植樹してすでに花咲くわかざくら

菓子楊枝葉かおりたってさくら餅

ショーウィンドウ街を映すか夕桜

住宅街夜ざくらほどのあかるさよ

目にうかぶ「平成」「昭和」朧月



あけぼののベッドタウ

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口語俳句 作品集 10 〜初桜〜

口語俳句 作品集 10 〜初桜〜


「 初桜 」
~口語俳句〜

そよかぜよ空ふるわせて初ざくら

一輪よこころほころぶはつざくら

都市にこそ並木通りのあさざくら

舞うそらよさくらに浮かぶ天守閣

いけの面よ桜のかげのありどころ

ちかづけば紅のうすれて山ざくら

てのひらを波があらえばさくら貝

あらわれる彼岸ざくらの咲く村が

さかみちよみなあゆみ入る花の雲

夜ざくらよ月とも違うほのあかり



一凛よ日ざしのおくには

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口語俳句 作品集 9 〜帰る雁〜

口語俳句 作品集 9 〜帰る雁〜


「 帰る雁 」
~口語俳句〜

かおどれもぼんぼりいろよ雛人形

春の雷夜のそらを鳴りわたるのが

人生をとおくながめて野にあそぶ

航跡は消えのこるみちかぜひかる

おやが来て喜喜叫喚のつばめの巣

過去ほどにうつくしいのが落ち椿

また来いよそらいちめんを帰る雁

そつぎょうの自転車かごに花束よ

卒業かそらにおおきな伸びをして

パレットよ青絵の具溶く春の富士



木曽川よふねくぐり行

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口語俳句 作品集 8 〜春まつり〜

口語俳句 作品集 8 〜春まつり〜


「 春まつり 」
~口語俳句〜

春が来てやがて去りゆくバス停よ

春告げ鳥しみじみ耳にとどいたぞ

いるところどころへいわよ春の鳩

この村はたとえば日本タンポポよ

春の雷野やまそろそろ目覚めるか

想像よ咲いてはふぶくさくらの芽

つぎつぎかあかい芽吹きの吉野山

畑を打つひとのすがたも郷土史よ

雪とけて日がふりそそぐ海になれ

遅い日よ瀬戸に灯ともる島いくつ



菜のはなよすえひろ

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口語俳句 作品集 7 〜風光る〜

口語俳句 作品集 7 〜風光る〜


「 風光る 」
~口語俳句〜

来る春よ蛇口を落ちるみずのおと

いちりんよ水面揺れやむうめの花

うぐいすのこえのびのびて尊いぞ

手かざして富士見百景かぜひかる

畑を打つ故郷を打つということか

ひとつぶにそうぞう力よものの種

ものの種まいては大地そうぞうか

きらめいて波間波間のはるかもめ

おもうたび思い出になる日永さよ

おもいだすためのわかれか春炬燵



しゃぼん玉そらいちめ

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口語俳句 作品集 6 〜梅一輪〜

口語俳句 作品集 6 〜梅一輪〜


「 梅一輪 」
~口語俳句〜

とおぞらよへいわのように正月凧

梅いちりんさむい心によりそって

撒きまいてしおの花咲く正月場所

にわひとつかおりのなかよ水仙花

寒鯉よにしきのいろをあたえられ

じんせいよときはながれて冬の虹

寒つばきひと花ごとに散りごころ

いちりんをそっとつつむ手寒牡丹

日がしずむあかいちめんの大枯野

村ひとつとし老いながら春待つか

鳴きだしてふくろうという夜

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口語俳句 作品集 5 〜春を待つ〜

口語俳句 作品集 5 〜春を待つ〜


「 春を待つ 」
~口語俳句〜

雪嶺がそらにうかんでいることよ

スキーヤー銀嶺の風、風、風、風

重力のどれもみごとよつらら折る

はつもうでいまにつづいて一家族

跳びとんでかるいすずめよ雪の上

よろこびを知る人たちよ若菜摘む

生きてこそかがみ開きの槌のおと

もち伸びていつまでとなくお正月

航海よ──夕映えの空──冬銀河

地も天もうごいているか冬ぎんが



詩のなかに住んでい

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口語俳句 作品集 4 〜初詣〜

口語俳句 作品集 4 〜初詣〜


「 初詣 」
~口語俳句〜

空ひろく仕事おさめということか

かるがると重い日記を買い行くよ

数え日よ晴れ雨曇り晴れ晴れ晴れ

めでたさのまえぶれ正月かざり売

すこやかでいることこそよ年用意

駅の灯よ夜やみあかるく年惜しむ

御歳暮をおくりおくられとおい空

めくる手よ文字目を覚ます古日記

いちねんをいちにちずつよ掃納め

早ばやと年過ぎて行くくやしさよ



撞く僧よ間をたっぷりと

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口語俳句 作品集 3 〜年末〜

口語俳句 作品集 3 〜年末〜


「 年末 」
~口語俳句〜

明けがたよ僧たちの大すすはらい

せんぼんのつららしずかに凍滝よ

舞い舞ってときをこえるか里神楽

こと祝ぎの手に手に届け賀状書く

ことしまた降りだす雪の気重さよ

まっしろなせかいにこえよ雪合戦

寒菊のかすかにかおる日なたこそ

また朝よ摘んでも摘んでも蜜柑山

かえりみちはるばる日なた年の市

おでん酒頬でわらっているばかり



水仙よどれを剪ってもか

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口語俳句 作品集 2 〜ふる雪〜

口語俳句 作品集 2 〜ふる雪〜


「 ふる雪 」
~口語俳句〜

京というふる雪というしずかさよ

おどろいて水さわぎだす浮き寝鳥

手ばかりがいきいきうごく冬耕よ

はたらいてよい日があたる蜜柑山

木がらしよ神社の夜明け寺の暮れ

鬼がわら目をみひらいて霜の屋根

一つに手あわす神社よ冬あたたか

あさは掃きひるは焚きあげ神無月

にんげんがまっさきに暮れ浜焚火

ゆきだるましろじろと見え夜の奥



いちまいのそらごとふ

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口語俳句 作品集 1 〜粉雪〜

口語俳句 作品集 1 〜粉雪〜


「 粉雪 」
~口語俳句〜

日をあびてみな棒立ちよ大枯れ野

白鳥よ日の揺れうつるみずのうえ

いちまいのそらどの家も布団干す

そのあしであるいてゆくか七五三

なおあおぐことしのそらよ十一月

幸せをこそおもいだす日なたぼこ

いっせいよ鳩もかけだす初しぐれ

とおくなる日ごとに冬の夕焼けが

マスクしてあたたまりだす胸の奥

あかい大阪あおい東京ふゆの灯よ



木がらしよ身ひくくはし

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現代俳句 作品集 50 〜冬あたたか〜 最終回

現代俳句 作品集 50 〜冬あたたか〜 最終回


「 冬あたたか 」
~現代俳句〜

わたり鳥声さきだててあさぞらよ

さし上げてだれよりたかく秋神輿

木のえだに物見のからす秋まつり

いちねんをながめて立つか大刈田

一身を吹き抜けてよりあきかぜよ

すすき手に旅びと同士ちかよらず

一つついてせんねんのおと鐘の秋

ぐるぐると枝うねってよ松手入れ

ひとりずつちがうこころの観月よ

冷ややかようごかずのほし北極星



飛鳥寺そのものの

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