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記事一覧
口語俳句 作品集 23 〜流れ星〜
「 流れ星 」
~口語俳句〜
天と地よまだまだわたるわたり鳥
大ぞらをうつすかがみかビルの秋
すいこんでそらさわやかよ歩道橋
ちんもくよこどくかりりと落花生
うずもれてまっさおな壜あきの浜
収穫よ葉かげ葉かげのあきなすび
白菊よ葉にかげおとすゆうひなた
じぶんいま秋ゆうやけか島かげか
飛ぶからす羽を上下にあきのくれ
まいとしよ真あたらしくて望の月
見る影よすえひろがりの富士に
口語俳句 作品集 22 〜小鳥来る〜
「 小鳥来る 」
~口語俳句〜
日の枝よすこししなって小鳥来る
沿いあるくなみうちぎわも秋麗よ
ちんもくがこころにおもい八月か
歩道橋羽根のひかりのとんぼとぶ
じんせいよただひと吹きの秋の風
はつこいよ咲きのぼるのは鳳仙花
あおぐ野にかぜふきやまず雁の列
とぶ鳥よいつかの旅もあきのくれ
秋の浜日暮れ行きつくところまで
ひとすじににごるれきしよ天の川
◇
日輪月輪すすきの穂絮
口語俳句 作品集 21 〜花火〜
「 花火 」
~口語俳句〜
すすきみなはるかをさして一本道
生きて飛ぶみちまちがえず秋の蝶
巻貝よしろをひろえばあきのかぜ
つえついてかぜよりしろく秋遍路
ゆうばえよこころにもある盆用意
もくとうよとどけつづける原爆忌
じんせいの歩み止めれば赤とんぼ
われわれにこそある未練門火焚く
この世によひとつあかるく盆の月
この世の手またあの世の手盆踊り
まいとしよちいさくあがる島花火
口語俳句 作品集 20 〜朝顔〜
「 朝顔 」
~口語俳句〜
ビルよりもたかくあおいで噴水よ
風鈴よすごみにまじるかるみの句
風景をうごかしつつよボート漕ぐ
水打ってそれと知られる店がまえ
雲のみね地球はいのちそのものか
ゆうばえよしぜんとあかいかき氷
大夕焼け街とひとつにそめられて
つつまれてだれも消えゆく大夕焼
6階よほかにおとなくせみしぐれ
しんしんと夜をしんまで麦茶冷え
いつか又出かけましょうか遠花火
口語俳句 作品集 19 〜梅雨明け〜
「 梅雨明け 」
~口語俳句〜
文語派も口語派もきくふうりんよ
しあわせなひとは目立たず掛け簾
代々よふるさとを聞くせみしぐれ
さびしさはとおのいてゆく遠雷よ
ひとすじよながれたばねて夏の河
金魚すくい千々の赤また千々の黒
仏塔よ透くまぶしさのせみのこえ
街が持つしずかな意志よソーダ水
灼熱のビーチパラソルたちならぶ
みなこころ落ち着けるのが大夕焼
ハンモックゆっくり沈み込む
口語俳句 作品集 18 〜蓮の花〜
「 蓮の花 」
~口語俳句〜
いっぴきよときがとまった金魚鉢
庭という庭かがやかす濡れ紫陽花
一切れよ菓子の名まえも濃紫陽花
群衆のまつりうちわよひらひらと
おそるべきおとこらのかず荒神輿
山やまよ谷をただようなつがすみ
ひとすじよ雲たなびいて梅雨の月
休日がはじけて冷やしサイダーよ
海一つ日あたるビーチパラソルか
ゆうばえよいまに真向かう海の家
◇
ちょうじょうにきらと
口語俳句 作品集 17 〜夏祭〜
「 夏祭 」
~口語俳句〜
伝統よいまの灯ともすなつまつり
てらしあうふたりの恋の手花火よ
今朝の空うたがいもせず五月晴れ
アイスティー机に琥珀いろさして
ひとすじよかぜ吹きぬけて風鈴祭
みずからをともす空港なつのくれ
東京は灯のかずほどのすずしさよ
いっしんよこおりかち割る夏料理
一灯よひかりを浴びてシャワー室
コンビニのとなりコンビニ夏の月
◇
さわぐ葉よこころで見つ
口語俳句 作品集 16 〜噴水〜
「 噴水 」
~口語俳句〜
和歌集の恋にたか鳴るふうりんよ
軒下よそらに見つけてつばめの子
かたつむり伸び行くさきが新世界
いちぼうよ裾をみどりに五月富士
手で押さえむぎわら帽子かぜの浜
サーファーが乗った波こそ海走れ
ふねのかげかもめのかげよ大夕焼
鎌倉よ鳴る踏みきりもなつのくれ
踊子草いちにちかぜに揺れてこそ
いち族が照らしあうのも手花火よ
◇
広大よこころのなかもひ
口語俳句 作品集 15 〜手花火〜
「 手花火 」
~口語俳句〜
踏んで行くじぶんのかげよ登山杖
ひこうき雲夏の行方を見るような
あじさいよ水たまりごと晴れて空
かたつむりうずまく殻の孤独さよ
手つければ小ながれうまれ川は夏
ぜんいんがうしろすがたか平泳ぎ
木もれ日よきえてはみえて揚羽蝶
蟻ひとつはしり去るさき死か生か
大夕焼せかいのすがたそのものよ
生きなおすことなんどでも夏の星
◇
空高くたたずんでいるベ
口語俳句 作品集 14 〜ヨットの帆〜
「 ヨットの帆 」
~口語俳句〜
絵はがきの風車とともに夏が来る
ざわざわと日かげもうごく葉桜よ
島々よよくはためいてこいのぼり
ちんもくにちんもく返す武者人形
やどかりよ巻きこんで引く波の音
瀬戸うちの島、波、月日、大夕焼
虹一重そらにしんじつのこるまで
この街よすこし見なれて土手の虹
目つむってまたふるさとへ遠い夏
風鈴よ夜々生きたさがあるばかり
◇
葉ざくらよかげと
口語俳句 作品集 12 〜ちる桜〜
「 ちる桜 」
~口語俳句〜
そよかぜよ天地吹きまぜ花すみれ
紋白蝶日ざしのいろということか
日に風にまかせる島よわかめ干す
大空をひっくりかえしつばめとぶ
さくら一枝咲きはじめたか白磁壺
春の富士羯鼓がひびきだすように
富士あおぐ耳におんがくはるの風
さいごまで見おくりはせず帰る雁
まんかいよ咲きうずもれて八重桜
離別後よ問いかけてくるはるの月
◇
おたがいのためにはた
口語俳句 作品集 11 〜花散歩〜
「 花散歩 」
~口語俳句〜
永遠にあたらしい都市あさざくら
エイプリルフールコーヒー店の朝
舞い上がる花スクランブル交差点
ビルが建つ蛙鳴いても鳴いてもよ
東京タワー後の世へ花ふぶくなか
植樹してすでに花咲くわかざくら
菓子楊枝葉かおりたってさくら餅
ショーウィンドウ街を映すか夕桜
住宅街夜ざくらほどのあかるさよ
目にうかぶ「平成」「昭和」朧月
◇
あけぼののベッドタウ
口語俳句 作品集 10 〜初桜〜
「 初桜 」
~口語俳句〜
そよかぜよ空ふるわせて初ざくら
一輪よこころほころぶはつざくら
都市にこそ並木通りのあさざくら
舞うそらよさくらに浮かぶ天守閣
いけの面よ桜のかげのありどころ
ちかづけば紅のうすれて山ざくら
てのひらを波があらえばさくら貝
あらわれる彼岸ざくらの咲く村が
さかみちよみなあゆみ入る花の雲
夜ざくらよ月とも違うほのあかり
◇
一凛よ日ざしのおくには