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現代語俳句への旅 37 〜西へ東へ〜


「 西へ東へ 」
~現代語俳句集~

スカイツリーさえ大自然鳥わたる

そのままで富士そのままで秋夕映

あしおとも熊野の音かほととぎす

ほんもののひびきか奈良の秋の鐘

にわ石よしずかながらも秋のこえ

見ても歌聴いてもうたよもみじ川

琵琶湖からとおい都市まで水の秋

たくさんの船たくさんの秋の暮れ

隠岐の島いついつまでも秋夕映え

千ねんは生きていられず草絮吹く

住む街が問いかけてくる秋の灯よ


こころから歩行者天国ことり来る

オートバイ雲もたびしている秋よ

北アルプスのてんねん水と新米と

跳ぶように街から帰れ秋刀魚焼く

ひとくちの甘さでなにもかも梨よ

釣りびとがいなくなったら台風か

向かい風の二百十日であることよ

よく見ればおもしろい世ぞ鳥渡る

とある家のとあるうたげの満月よ

星明りどれかが宇宙ステーション

ゴスペルにブルースレゲエ長い夜


秋の蚊をたたいてはっと浄土寺よ

採るほどに恐ろしいのがきのこ山

町役場まんなかにしてとんぼとぶ

宣誓のこえそのままにうんどう会

あきのくもじんせいに師が何人も

ぽつとある島ぽつとある秋の暮れ

一晩が芯までしみてかぼちゃ煮よ

露踏んで西へひがしへじんるい史

いにしえの奈良のみやこの鐘か春

スマートフォン人類の手に春光よ

香久山のいくとしつきが春夕映え



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