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俳句 まとめ記事 一覧

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俳句作品のまとめの記事を集めています
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#haiku

現代語俳句への旅 41 〜えらんだ都市〜

現代語俳句への旅 41 〜えらんだ都市〜


「 えらんだ都市 」
~現代語俳句集~

地球とは孤児かもしれずあまの川

果てるのは一日果てないのは秋思

おむすびのおおきなことよ運動会

フライパン火にかけどおし豊の秋

風おとのすき間すき間よのこる虫

とうきょうが顔あげている初雪よ

熱燗よまさにだいとうりょう選挙

手をあげて待つタクシーか木枯か

行くみちのままにそだてよ七五三

釣鐘は打つもの雪はたまわるもの



家いえのこ

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現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜

現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜


「 テント出て 」
~現代語俳句集~

笛吹いて天にとどくかあきまつり

ふるさとはきえのこる灯よ秋の雨

あかるさよ京都しずかに紅葉して

絵を描いてつぎの秋またつぎの秋

ひととして暮れのこったか秋遍路

すみだ川みずのひかりの朝寒むか

既視感のなかにたたずみ赤とんぼ

生きてこそかずかぎりない草の花

とうきょうもひと粒の灯よ星月夜

国じゅうがこころやすめよ十三夜



ふるさとか一

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現代語俳句への旅 39 〜灯していても〜

現代語俳句への旅 39 〜灯していても〜


「 灯していても 」
~現代語俳句集~

大宇宙をものおもいして灯の秋よ

まんてんの星きよめるか虫のこえ

つぎの代つぎの代へとばった飛ぶ

さきもりのすがたをいまに草の花

あかとんぼダムの放流とどろくか

そのむねに手をあててみよ秋彼岸

見つめればだんだん観えて名月よ

あかるさよ世捨てびとらも月見酒

ちんもくをもって真向かう台風よ

嶺揺れるかえで紅葉のそのおくで



デパートが

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現代語俳句への旅 37 〜西へ東へ〜

現代語俳句への旅 37 〜西へ東へ〜


「 西へ東へ 」
~現代語俳句集~

スカイツリーさえ大自然鳥わたる

そのままで富士そのままで秋夕映

あしおとも熊野の音かほととぎす

ほんもののひびきか奈良の秋の鐘

にわ石よしずかながらも秋のこえ

見ても歌聴いてもうたよもみじ川

琵琶湖からとおい都市まで水の秋

たくさんの船たくさんの秋の暮れ

隠岐の島いついつまでも秋夕映え

千ねんは生きていられず草絮吹く

住む街が問いかけてく

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現代語俳句への旅 36 〜天球儀〜

現代語俳句への旅 36 〜天球儀〜


「 天球儀 」
~現代語俳句集~

これ以上踏みいらず山ほととぎす

目つむってしずかな光ひぐらしよ

はるばると呼びあうことよ秋風鈴

あれからのこれからの鐘へいわ祭

年々よ身にしみてくるへいわの鐘

たましいが呼びあってこそ迎え盆

せんそうもえきびょうも越え盆踊

鳥わたる見えるかぎりの山河越え

京よりも奈良のふかさよあきの色

星あかりたたずむ橋の名もしらず

かがやいていのちの故郷

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現代語俳句への旅 35 〜かえってこない雲〜

現代語俳句への旅 35 〜かえってこない雲〜


「 かえってこない雲 」
~現代語俳句集~

しずかさをひびかせている風鈴よ

この世から消えてもきえず京の虹

いまの世の後ろすがたよ奈良団扇

目をつむっても瑠璃光寺蝉しぐれ

人として梅雨のなかゆく熊野古道

草笛は吹いてこそ野は晴れてこそ

富士の嶺はるかにひいてゆく汗よ

故郷までつらなって山ほととぎす

そのはてに都市いくつもよ夏の河

平およぎ海をひらいてゆくことよ

夜釣りして月

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現代語俳句への旅 34 〜いつからとなく〜

現代語俳句への旅 34 〜いつからとなく〜


「 いつからとなく 」
~現代語俳句集~

みな都市を育ててばかり夏の灯よ

まどあけてまっただなかへ天の河

柔らかにふれればともる夏の灯よ

盛りつける手ゆびやわらか冷素麺

おとこらに飲みほすちから生麦酒

ふるさととほろぶかくごの白団扇

遠ぞらよわすれた日々は蝉しぐれ

嶺いつかながし去るのが梅雨の河

ぜんいんの人生が夏ロックフェス

えいえんに明日あるような夏浜よ



とびうお

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現代語俳句への旅 33 ~夏こえゆく~

現代語俳句への旅 33 ~夏こえゆく~


「夏こえゆく」
~現代語俳句集~

ライオンがふと立ちあがる大夕焼

あおぎみるひとのかずだけ夏の月

大阪は灯でできているすずしさよ

咲いた幸せ散った幸せかきつばた

聴くまではきこえず坂の蝉しぐれ

アイスコーヒー氷残してまた街へ

くりかえすせんそうへいわ噴水よ

いのるひと虹でゆるしてきた地球

墓だけを地球にのこすすずしさよ

縄文遺跡いちまんねんの蝉しぐれ

たなばたよ恋でさかえて

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現代語俳句への旅 32 ~おなじ時代を〜

現代語俳句への旅 32 ~おなじ時代を〜


「 おなじ時代を 」
~現代語俳句集~

都市のゆたかさ村のゆたかさ夏祭

ひとびとがうつくしいのは祭の夜

はるかさよいまじんせいの夕涼み

生きてふとたどりつくのが冷や奴

那智の滝天地のものということか

草笛よあしたへつづくじんるい史

飛びたっておもたい尻のこがね虫

ハンモックわかる地球の大きさが

ハンモック歳月というわすれもの

ダイバーとひとつになった海は夏

カクテルに沈んだ

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現代語俳句への旅 31 ~寝静まるころ~

現代語俳句への旅 31 ~寝静まるころ~


「 寝静まるころ 」
~現代語俳句集~

えいえんにときがとまった故宮春

淋しさの行きつくところ奈良よ春

野にふたりだまっていても風薫る

富士の山すえひろがりの涼しさよ

にっぽんよとおくしずかな夏の音

ぼんやりとちきゅうを思う水中花

ハブラシがまだいっぽんの恋よ夏

あたらしい鼻歌がでてシャワー後

扇風機羽根うしなったげんだいよ

生涯に別れがいくつかき氷

咲くいえにやがて婚ある

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現代語俳句への旅 30 ~故郷ほたる籠~

現代語俳句への旅 30 ~故郷ほたる籠~


「故郷ほたる籠」
~現代語俳句集~

桃いちりん鳶舞う空に晴ればれと

ゆく川のさいごはひかりはるの海

藤垂れてむらさきのそらしろい空

せんねんのなかのことしの白藤よ

くっきりと富士がみえた日四月尽

かたらうかコーヒー店で尽きる春

はるがらがらごっとん自動販売機

飛ぶひかりふたつでひとつ蝶の恋

たんぽぽが現代らしく咲く日なた

老画家にえがくしあわせひとり静

八十八夜こころに故郷

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現代語俳句への旅 29 ~そだった家~

現代語俳句への旅 29 ~そだった家~


「そだった家」
~現代語俳句集~

千ねんよ泣いてわらってはるの月

地球から借りたからだで野に遊ぶ

そのはてにわらいがでたか卒業生

たんぽぽとともに時代を吹く人よ

雲雀野よつなぐ右手とひだり手と

書きものよいずれはしまう春炬燵

ねこの子と鏡のなかのねこの子と

遍路杖日々はやいことはやいこと

ときをこえ生きている人はるの墓

雨おとよはるの地球の子もりうた



蝶として羽ばたい

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現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜

現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜


「オカリナ」
~現代語俳句集~

深空からひかりひとすじはるの滝

じんるいのゆめの初めの畑打ちよ

祈るとはこういうことかぼたん雪

コーヒーのかおり千年おぼろの夜

春あかつき逢瀬は夢でげんじつで

われわれもたいようの塔春めくよ

大ホールピアノひとつが春のおと

指揮棒もはずむオーケストラよ春

ふるさとを深呼吸してうららかよ

また一人またひとり消え春の風邪

いちにちの沈黙エープリル

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現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~

現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~


「 春の足おと」
~現代語俳句集~

ひとすじのひこうきぐもよ大枯野

大うちゅうの小さな家の日脚伸ぶ

ボイジャーは今どのあたり冬銀河

ヘッドフォン雪舞う空の静かさよ

世の中にすこしおくれて焼き芋屋

飛行機がとんでいったぞ焼き芋屋

あるくたびとおざかるのが一月よ

とおい島寒ゆうやけとともに消え

家じゅうのこともろともに寄鍋よ

プロキオンカペラシリウス庭焚火



霜ばしらはるば

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