現代語俳句への旅 31 ~寝静まるころ~
「 寝静まるころ 」
~現代語俳句集~
えいえんにときがとまった故宮春
淋しさの行きつくところ奈良よ春
野にふたりだまっていても風薫る
富士の山すえひろがりの涼しさよ
にっぽんよとおくしずかな夏の音
ぼんやりとちきゅうを思う水中花
ハブラシがまだいっぽんの恋よ夏
あたらしい鼻歌がでてシャワー後
扇風機羽根うしなったげんだいよ
生涯に別れがいくつかき氷
咲くいえにやがて婚ある百合の花
こころごと伸びてゆく夏飛行機雲
沖縄と見たことのないあさやけと
◇
十五才スマートフォンとソーダ水
寝ころんでだれもがそらに夏の芝
連山の月日そのまま滝の音
頬ほのとワインにそまり薔薇の花
だれしもがだれか待たせて夏の月
蟻の列すすむいのちのものがたり
罌粟の花ひとつひとつがゆめの中
罌粟ひらくおそろしいのは人の愛
ほどほどの楽しみがある世よ新茶
祇園祭いまもテレビのなかのこと
国ひとつ寝しずまるころなつの月
いつも
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