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現代語俳句への旅 31 ~寝静まるころ~


「 寝静まるころ 」
~現代語俳句集~

えいえんにときがとまった故宮春

淋しさの行きつくところ奈良よ春

野にふたりだまっていても風薫る

富士の山すえひろがりの涼しさよ

にっぽんよとおくしずかな夏の音

ぼんやりとちきゅうを思う水中花

ハブラシがまだいっぽんの恋よ夏

あたらしい鼻歌がでてシャワー後

扇風機羽根うしなったげんだいよ

生涯に別れがいくつかき氷

咲くいえにやがて婚ある百合の花

こころごと伸びてゆく夏飛行機雲

沖縄と見たことのないあさやけと

十五才スマートフォンとソーダ水

寝ころんでだれもがそらに夏の芝

連山の月日そのまま滝の音

頬ほのとワインにそまり薔薇の花

だれしもがだれか待たせて夏の月

蟻の列すすむいのちのものがたり

罌粟の花ひとつひとつがゆめの中

罌粟ひらくおそろしいのは人の愛

ほどほどの楽しみがある世よ新茶

祇園祭いまもテレビのなかのこと

国ひとつ寝しずまるころなつの月




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