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現代語俳句への旅 32 ~おなじ時代を〜


「 おなじ時代を 」
~現代語俳句集~

都市のゆたかさ村のゆたかさ夏祭

ひとびとがうつくしいのは祭の夜

はるかさよいまじんせいの夕涼み

生きてふとたどりつくのが冷や奴

那智の滝天地のものということか

草笛よあしたへつづくじんるい史

飛びたっておもたい尻のこがね虫

ハンモックわかる地球の大きさが

ハンモック歳月というわすれもの

ダイバーとひとつになった海は夏

カクテルに沈んだ夕日さくらんぼ


噴水よいついつまでもへいわの世

顔あげていた夏ブルーインパルス

東京に立ちつくすとき梅雨のおと

冷し酒むかしばなしはさせてやれ

その怒りほのかにあかいかぶと虫

ダービーよどっと駆け出す名馬達

たましいの灯が一つずつ梅雨の街

世のなかをあらい流して梅雨の月

どのひとものぼりゆく鯉梅雨の坂

年老いて死後がまぶしい籐椅子よ

都市の空あかるみだして夏の暮れ

生きるとは灯をともすこと夏の闇


日本じゅうおなじじだいを夕涼み

飛んでゆくいち羽いち羽が大夕焼

飛んでくるいち羽いち羽が大朝焼

革靴が去ってゆくおといなかの夏

水てっぽう平和のはてのきのこ雲

たえまなくひらくへいわの日々草

しずかさよ平和のはての蝉しぐれ

降りしきる音のおもさよ梅雨の家

街じゅうをわれにかえらす落雷よ

オートバイ光りのなかへ梅雨の月

かおよせてことごとく過去扇風機

はるかさよ大夕焼けのビルの群れ



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