現代語俳句への旅 32 ~おなじ時代を〜
「 おなじ時代を 」
~現代語俳句集~
都市のゆたかさ村のゆたかさ夏祭
ひとびとがうつくしいのは祭の夜
はるかさよいまじんせいの夕涼み
生きてふとたどりつくのが冷や奴
那智の滝天地のものということか
草笛よあしたへつづくじんるい史
飛びたっておもたい尻のこがね虫
ハンモックわかる地球の大きさが
ハンモック歳月というわすれもの
ダイバーとひとつになった海は夏
カクテルに沈んだ夕日さくらんぼ
◇
噴水よいついつまでもへいわの世
顔あげていた夏ブルーインパルス
東京に立ちつくすとき梅雨のおと
冷し酒むかしばなしはさせてやれ
その怒りほのかにあかいかぶと虫
ダービーよどっと駆け出す名馬達
たましいの灯が一つずつ梅雨の街
世のなかをあらい流して梅雨の月
どのひとものぼりゆく鯉梅雨の坂
年老いて死後がまぶしい籐椅子よ
都市の空あかるみだして夏の暮れ
生きるとは灯をともすこと夏の闇
◇
日本じゅうおなじじだいを夕涼み
飛んでゆくいち羽いち羽が大夕焼
飛んでくるいち羽いち羽が大朝焼
革靴が去ってゆくおといなかの夏
水てっぽう平和のはてのきのこ雲
たえまなくひらくへいわの日々草
しずかさよ平和のはての蝉しぐれ
降りしきる音のおもさよ梅雨の家
街じゅうをわれにかえらす落雷よ
オートバイ光りのなかへ梅雨の月
かおよせてことごとく過去扇風機
はるかさよ大夕焼けのビルの群れ
いつも
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