現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~
「 春の足おと」
~現代語俳句集~
ひとすじのひこうきぐもよ大枯野
大うちゅうの小さな家の日脚伸ぶ
ボイジャーは今どのあたり冬銀河
ヘッドフォン雪舞う空の静かさよ
世の中にすこしおくれて焼き芋屋
飛行機がとんでいったぞ焼き芋屋
あるくたびとおざかるのが一月よ
とおい島寒ゆうやけとともに消え
家じゅうのこともろともに寄鍋よ
プロキオンカペラシリウス庭焚火
◇
霜ばしらはるばると空あってこそ
着膨れてつぶやく言葉あたたかよ
だれひとりたどりつけずよ寒夕焼
めがねかけてまっただ中へ冬銀河
旅客機の行くさきは春飛びたつか
あるきだすひとりの春の足おとか
いちりんの梅の香りがひらく世よ
バンクシーの絵を飛立った風船よ
セスナ機のひとすじのおと春空よ
ふるさとはとおい春夕焼けであれ
マンションの春灯やがて星のなか
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