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現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜


「オカリナ」
~現代語俳句集~

深空からひかりひとすじはるの滝

じんるいのゆめの初めの畑打ちよ

祈るとはこういうことかぼたん雪

コーヒーのかおり千年おぼろの夜

春あかつき逢瀬は夢でげんじつで

われわれもたいようの塔春めくよ

大ホールピアノひとつが春のおと

指揮棒もはずむオーケストラよ春

ふるさとを深呼吸してうららかよ

また一人またひとり消え春の風邪

いちにちの沈黙エープリルフール

風になること雲になること遍路杖

そのはてにおおきな夕日へんろ旅

生きてゆくふる里じゅうの春灯と


たいせつなひとがまわりに大花見

いま笑えさいげつという花ふぶき

朝をひらひら夕をひらひら花の宴

灯ひとつのうたげ桜が満ちるなか

まいにちが花のとき花ふぶくとき

ひとはみな飛花かもしれず空港よ

住まわせてもらう地球よはるの芝

山々よ散ると決めてはちるさくら

おおひなた桜ふぶきのむこうがわ

ふるさとにおともなく住む山吹と

ゆうきゅうの大河の流れ山ざくら

オカリナか山河にひびく春のおと

世をつつむはるゆうやけの安心が



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